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Y-2.愚かな世界樹

「お願いします!」


世界樹の妖精はそう頼み込んだ。




世界中で魔力が大量消費されているから、魔力の消費をやめさせた上で

世界樹に向かって欲しい、そうだ。

色々と矛盾がある。

この妖精はおそらく馬鹿なので嘘はついてないと仮定しよう。

まず、魔力の消費を減らしたいのに勇者候補生を大量に生産するのは逆効果だ。

次に世界樹に集める意味も不明だ。

以上から次のケースを想定する。


1.何か理由があって公開できない情報があり、妖精には伝えていない説。

 魔力消費を止めるとか無理だろうから、勇者候補生を世界樹に集めたいのかな?

 世界戦争でも引き起こしたいのか、勇者候補生を生贄に捧げるとか?

 どちらにしろ有力者を集めるのが目的になる。


2.実は世界樹が乗っ取られている、もしくは狂っていて世界を混沌に落とそうとしている説。

 勇者候補生の大量生産の時点で混沌としているんだけどなあ。

 この場合でも有力者を集めるのが目的かな?


3.たくさんの勇者候補生を使って蠱毒の法をおこない、勇者を完成させる説。

 この場合、生き残った勇者がどんな性格になるか危ないんだよなあ。

 勇者様!みたいな性格では生き残れないだろうし。


4.何も考えていない説。

 とりあえず助けを呼んでみた。

 可能性としては十分ありうるから怖い。


他にないかなあ。


「そもそもなんで世界樹が滅びたらまずいんだ?」


根本的な質問をしてみる。


「世界樹が滅びると世界から魔力が消滅します」


「え、それだけ?」


「とんでもないことです!大変なんですよ!」


妖精が喚いている。うるさい。

魔力が無い世界も経験しているボクとしては遺憾である。

魔力が無いと妖精が生きていけないからだろうけど。

そりゃ必死にもなるか。


「どうなるか分かっているということは前例があるんだね?」


「…前回世界樹が滅びた時は復活まで1000年かかったそうです。

 僕は生まれていないので詳しくは知りません」


よし決めた。たぶん世界樹の馬鹿が悪い。




次の日、世界樹は白竜と巨大な液状の何かに襲われ、消滅した。

その結果、魔力は消失、勇者達は沈黙、国家間戦争は沈静化し、世界に平和が訪れたという。

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