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俺様、神様、創成主!?~いいえ、人間です~  作者: 慧斗
第3章 そして神様を中心に、世界は変わり始める
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第30話 チョコはドラゴンに禁止

「お兄ちゃーんっ!良かったよっ、目を覚ましてっ!」


「ちょ、くぅ?痛いから抱きつくのやめてくんないかな?俺、ようやく起き上がれるようになってきたとこなんだけど。目が覚めた時に無理したから」


「嫌だっ!ずっとずぅぅぅぅぅっっと、心配してたんだからねっ!」


 部屋に飛び込んできたくぅが俺にしがみついたまま泣きじゃくり始めてから、もう三十分は経ったと思う。

 嬉しいし、心配かけたのは悪かったけど、今はとにかく痛い。

 包帯も、くぅの涙ですっかりぐしょぐしょになっている。


「な、なあくぅ。とにかく落ち着けって、な?ほら、見舞いの品何か食うか?」


「食べるっ!」


 途端に顔を上げるくぅ。涙の痕が残ってるし目も腫れているけど、顔はきらきらと輝いていた。なんて現金な奴なんだ。


「どれがいい?たっぷりあるからな」


 見舞いの品は、俺のベッドの横に山積みにされている。

 アリシアが持ってきてくれた果物、リオラが名残惜しそうに置いていったお菓子、軍隊長が「早く体力を取り戻すように」と言って置いていった(多分、というか絶対モンスターの)肉、じいさんが郵送してきた手作りらしい栄養満点ドリンク。ただし、色がどこか青汁っぽいからまだ飲んでない。

 そして―――エルがくれたのは、コートと剣だった。

 コートはエルの奴と色違い。エルによるとこのコートはエル特製だそうで、内ポケットがいっぱい付いている。ナイフを何本かと短銃をいくつか、毒針までが入っていて、いつ何が起こってもこのコートを着ているだけでその敵を倒せるというスグレモノらしい。

 剣の方は、これまたエル特製だそうだ。どれだけ器用なのかと関心して、思わず嫉妬してしまった自分を恥じた。

 俺でも振り回せるように軽くなっていて、しかも切れ味抜群らしい。

『ありがとな』って言ったら、顔を赤くして帰っていった。


「お兄ちゃんっ!ボク、このお菓子がいいなっ!前にもらったキャンディー、ものすっごくおいしかったんだよっ!」


「そうか。じゃあ、それにしろ。好きなお菓子選んでいいからな」


 ポテチみたいなのもあって、どの世界も似たようなもんだなぁと改めて思った。まあ、ここのポテチ、半分はモンスター味らしいけど。〈牙狼味〉とか〈腐豚味〉とか。腐豚ってなんだよ酢豚かよ。


「ボク、これがいいかなっ!」


 くぅが選んだのは、〈冠チョコ〉ってやつ。この世界にも、チョコはあるらしい。『これを食べればあなたも王様になれる!』らしい。いや、なれるかよ。食っただけで王様になれるような極楽下克上菓子があったら、この国王様だらけだっつーの。その内訴えられんぞ。


「くぅ?それ、食っても王様にはならねぇからな?」


 一応忠告しておこう。まあ、そんなのはいくらくぅでも信じてないだろうし……


「ええっ、そうなのっ?」


 信じてたんかい。

 思わずエセ関西弁になってしまった。


「まあいいやっ!チョコってどんな味なのかなっ?」


 くぅがパクッと口に入れて―――そのまま吐いた。


「ううっ……。お兄ちゃん、これ毒入ってるよ……」


「毒?」


 いや、でもこのチョコ俺も食べたけど、なんともなかったぞ?

 くぅの肌には湿疹が出ている。そう、まるでアレルギー反応みたいな……


「ん?」


 そういや、犬とか猫にチョコは毒だって聞いたことある。もしかして……確かに、鳥類にもダメだとか聞くし……。ドラゴンって、鳥類だよな?一応。


「ドラゴンにも、チョコは毒なのか?」


 いや、あくまで推測に過ぎないけど。だって、ドラゴンなんてこの世界で初めて見たから。


「待てよ?チョコ使ったら、ドラゴンも退治できたりして……」


 それは、ただの推測。でも、このくぅの反応を見るかぎり……


「やーめたっと」


 そんなことを考えるのはよそう。確かにあのドラゴンは俺とエルを殺しかけてたくさんの兵を殺した退治すべき危険人物ならぬ危険モンスターなんだろうけど。

 それでも、くぅとナオのお母さんってことに反応してしまう。

 あのドラゴンを殺したら、きっと二人は悲しむだろうから。

 今は、そんなことを考えるよりも先に……


「うぇぇぇぇぇぇぇぇ」


「ちょっ、吐くな!洗面所に連れてってやるから……って痛っ!ごめんくぅ、そういや俺、やっと起き上がれるようになったばっかの重病人なんだったわ……。悪いけど、あそこが洗面所だから、吐くならそこで。な?」


「うぇぇぇぇぇぇぇぇ」


「うわっ!だから話を聞けぇ!」


 チョコはドラゴンに禁止。これは豆知識だ。

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