青天霹靂
※作中、倫理にもとる内容がございます。ご了承の上お読み下さい。
「ごめん」
友だったひとは、うわごとのように、そう繰り返していた。
「ごめん」
痛いくらいに握り締められた手を引かれ、腰を抱かれて、半ば運ばれるように走らされる。
「どうして」
「ごめん」
周りにいる人間は誰も彼も傷だらけ煤だらけのボロボロで、それでも目だけは光らせて、前を向いて。
「どうして」
それで救うのが、なぜ。
振り向くことも許されず、前を向かされる。前に走らされる。
「待って、ねえ、待って」
「ごめん」
「謝るだけじゃわからない、ねえ、どうして」
何人も周りにいるのに、誰一人、わたしの言葉に答えない。
「ごめんね」
ただ、友人だけが応え、しかし、それすら答えではない。
「ごめん。落ち着いたら、ちゃんと、説明するから」
「待って、どうして、わたくしは」
「こちらです!」
満身創痍のみなが向かう先で、白いローブに身を包んだ人影が叫ぶ。
「早く。妨害が入る前に」
「待って、どこに、逃げるなら、」
「行きますよ」
最後までわたしの言葉は誰も動かさず、ぐわんと、視界が回った。
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