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首飛びかけたら側室になった悪役令嬢見習い

作者:ぱつぷぇ





 幼い頃、周りの大人達からよく言われたことが脳に蘇る。


『貴女は側室なんかじゃない、正妻になって、この国を救うのよ』

『王女となる者がそんなことをするんじゃない』

『あの王国の王女はお嬢様以外に考えられませんね』

『もうお前しか頼みがいないのだ』


 泥遊びも、交流も、自分の国から出ることも許されなかった。外は危険だからと焦った顔をした門番が必死になって止めていた。

 全ては娘が可愛いから、ではない。全ては国を維持するため。皆、私が大きな王国の王女になれば……と思っているから。


「なんてなれる訳ねえっつーの!! 頭よすぎて頭ぶっ壊れてんじゃないの!?」

「リスア様落ち着いて下さい」

「落ち着ける訳ないでしょ! この可愛い可愛いお嬢様の首が空の彼方へ飛ぼうとしてるのよ!?」

「か、帰らなければいいんですよ! 人生死ななきゃ何とかなりますって」


 それが死にかけてるんだよこの馬鹿。とまでは言わなかった。なぜなら唯一の理解者兼味方だから。孤立は嫌だね。

 さっきまで謎の自信を持っていた私だったが、呆気なく違う国の姫様が選ばれた。

 その子は可愛らしい仕草で、ほんのりと赤く染まった頬を隠した。あれが女子という生き物か、初めて見たわ。


「――っじゃなくて!! さっさと何か打開策考えてよこの馬鹿! 私は私自身が可愛過ぎて仕方ないの!」

「自分勝手過ぎますリスア様。……あ、そうだ」

「何? いいこと? まあ、君はいざという時は冴える人だからね……」

「首洗わなくて大丈夫ですか」


 生まれ変わったらコイツの細胞になって暴れ回って何か困らせてやろうか。

 でもやっぱり命が恋しい。すっかり誰もいなくなった大広場に冷たい風が走る、でも帰る気にはなれない。

 もう国には伝わっているだろう、誰も私のことを必要としなくなった。今の私の価値はそこに転がる紙くず以下と言ってもいい。


「……やっぱり、寒いから帰ろう。首切られる時ってどんなのか調べておいて」

「急にそんなになられたら、私の方が悲しくなるではありませんか」

「切られるにしても、きっと一時間は猶予がある。だから首を切られても痛くない方法を調べておいてね」

「そんなの脳の痛覚神経の有無を判断するくらい難しいですよ……」


 首飛ぶ系悪女とか笑えないから。
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