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イザベラの廃墟
「さあ、ブリッジをかけて」
コフィが言った。
「えっ、僕がかけるの?
君とトムトムは?」
コフィとトムトムは一瞬、目を合わせ。
「あ、いや僕は、そっち方面のマジックは…」
「あなた、三時間も人を待たせたのよ。
その位しなさいよ」
と、同時に話し出した。
そんなこと言うなら、何時何分、って決めておけばよかったのにさ…。
どうも、この二人は、あやふやな事が多すぎるよなぁ。
とはいえ、スピン教団に見つかるのも面倒だし、今日のところは仕方がない。
僕は、マジックを発動させた。
白く輝く光の橋が、川の上に伸びていった。
おおっ!
とトムトムとコフィは、こっちが驚くほど正直に、感動した。
たぶん…、と僕は考える。
この二人、魔法、使えないな…。
橋を渡るにも、すったもんだ、があった。
「いやいや、やっぱりウラガスミから渡るべきよ…」
僕は、溜め息をついて、光の橋をわたった。
川の上は、けっこう涼しい。
コフィは盛大なくしゃみをした。
長い橋をわたりきると、巨大な三本の塔が、三角柱のように連結した、黒く煤けた建物が見えた。
これが、イザベラの廃墟だった。