冒険者、怒る
河原から、かなりボロボロで、あちこちから雑草の生えたコンクリート製の土手を登り、野生のままの草原が百メートルくらい続いた先に、荒れ果てた有刺鉄線がぐるりと張られた、その奥が、イザベラの廃墟だった。
コフィとトムトムが無造作に草に入っていくので、この辺には腐り蛇がいるようだよ、と声をかけたら、血相を変えて逃げ帰って来た。
僕は、さすがに溜め息をつき、
「君たちって、レベル幾つなの?」
と詰問した。
「や…、やーねー。
あたしたちを疑っているの?」
「疑っています!」
僕が断言すると、コフィは、酷いわ、と嘘泣き紛いの行為をしだした。
僕も、さすがに、イラッときて、
「嘘泣きで誤魔化すような奴は信用できないし、信用できない奴と、初めてのダンジョンなんて入れないから、ここでさよならだよ」
僕は、決然と言って、対物理シールドのマジックを発動させると、草むらに飛び込んだ。
無論、そのまま、潜入、をかけて、近くに戻る。
「もう!
何なのよ、空間移動者って!」
コフィは怒鳴り散らした。
トムトムは下を向いて黙っていたが。
「仕方ないよ。
空間移動者なんて、誰も会った事がないんだから、何を考えているのか、も判らなくて当然だ。
しかし、君は下手を打ったな」
「あたしが悪い、って言うの!」
「いきなりヒステリーをぶつける事は無かっただろ。
あそこは友好的に進めるべきだった」
コフィは叫んだ。
「あの糞餓鬼に、この世界の常識ってもんを教えよう、と思ったのよ!
あたしたちが、あいつをリードしなきゃ、意味がないでしょ?
奴は、魔王なのよ!」




