3ー8
最近の瑠璃の日課になりつつある、城に行き、守衛に話しかている最中。
瑠璃の背後から、近づいてきた男がいた。
「なにか、御用がお有りなら、私がお伺いいたします。」
その声に、振り返る。
そこには、白金色の髪色が、その男の優しい面差しに似合う20代前半に見える男がひとり立っていた。
その男は、瑠璃を上から下まで検分し、左手にも目をやったあと、瑠璃ににこやかな笑顔を向けてきた。
「ワタシ、会いたい、エラい
エラいひと。」
必死に覚えたオビ語を話す。
「ワタシたち、困る。」
「エラいひと、助けて。」
瑠璃のつたないオビ語を、真剣に身を入れて聞いてくれた上に、
笑顔を崩さないまま、ゆっくりと瑠璃にわかるようなペースで声をかけてくれた。
「あなたが、お困りなことは、よく、わかりました。私は、領主の執務補助をしているナオと申します。
主は、陳情があれば、直接会って聞きたいそうです。面会を許可する、と。」
「明日の昼すぎであれば、面会が可能なので
できれば、あなたのお住まいまで、お迎えにあがりたいのですが、いかがでしょう。」
マナナ寺の女たちに、城に通っていることは内緒にしていた。
遠慮深い彼女たちのことだから、瑠璃がしているお節介を、辞退することは予想できたから。
ある程度、見通しが立ってから、みんなに伝えたい、と思っていた。
ナオとの間で、しばらく、押し問答し、また、必ず指定された時間に城にくる約束をすることで、迎えは断った。
とりあえず、偉いひとが、話しを聞いてくれる。
ここの偉いひとは、話しがわかる好い人みたいで、良かった。
この分なら、マナナ寺の現状にも、心を砕いてくれるかも、と期待をした。
はやる気持ちを、もてあましながら、マナナ寺への帰り道についた。




