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5-5 業界人、太陽に救われる



ミーティングは大成功に終わり、その後の会食もおおいに盛り上がった。


魚崎さんは飲むとはっちゃけるタイプだったようで、昼間の寡黙さは何処にいったのかとヒカリにツッコまれていた。

初岡オーナーも興奮したのかそうそうに潰れてしまった。


そして私も。

シオとの再会があまりに嬉しく、だからこそ……らしくない酒を飲み方をしてしまい、すっかり泥酔してしまったのだった。


「うー、すまんヒカリ。水くれー」


どうにか部屋まで連れて帰ってもらい、楽な服に着替えようとしたがトランクを開けるのが面倒で部屋にあったガウンに着替えた。

あれ? ヒカリいたな。

まあいいか。おっさんの着替えに価値などないよな!

テラスに出てビーチソファへ倒れ込む。


「めずらしいねー、こんなに酔っぱらったツバメさんなんて初めてみたよ。なんか得した」


「そりゃそうだー! 第一拠点も嬉しかったしなー。シオに会えたのもデカいかなー」


「今日は最初からイキイキしてた! それは私のおかげじゃないかと思うんだよ」


「あー、それはそうだな」


「認めた! 意外!」


「オレだってたまには素直になるんだよー」


「醉うと私じゃなくてオレになるんだねー。社長や友達と話すときもオレだよね」


「んなことはいいんだよー。なんかさ、久しぶりに企画とか考えられたのがすごく楽しかったんだよ。でも打合せが終わって逆に落ちた」


「世界が終わるから?」


「オレのアイデアを彼らはめちゃくちゃ喜んでくれてさ。でもそのほとんどがこっそり拠点に手を加えるためでもあるわけじゃん。もちろん彼らの命を守るためのことでもあるんだけどさ。そもそも熱山を巻き込むのだって新世界になったあとのことを考えたシナリオどおりだ。その相手が友達のシオなわけでさ」


「それはちょっと複雑だね」


「嬉しかった! 楽しかった! けどズルかった! ギャップきつかった! みんないい人すぎた! それがしんどくなった! だから! 飲んだーーー!」


そう言って私はプールに飛び込んだ。


「えーー!!」


「ひゃー、冷たくて気持ちいい! 酔い覚ましにちょうどいいぞ! ヒカリも飛び込めー!」


「水着じゃな……『気にすんなー!』」 


「まあいいか! ちょい待ち! ―――いくぞー!」


水しぶきを上げてヒカリが飛び込んでくる。

嬉しそうにしがみついてはしゃぐ。 

なんだかとても楽しくなってふたりでめいいっぱいはしゃいだ。


プールで身体が冷えると隣の露天風呂へ。 

温まるとプールへ。何度かそれを繰り返す。


あー、確かアルコールが入ったときの風呂はダメなんだよな。

それを言ったらプールもだめだな。


でもウチのバスケ部は宴会のあとは酒を抜く! とかいっていつもみんなでサウナにはいってた。

あれ危なかったぞ。


少しだけ酔いが覚めた気がする。


隣にはヒカリ。

薄手の白のワンピースが濡れて全部が透けてる。

 

そう、全部が。


あれ、下着つけてなくね?  


さらに酔いが覚める。


「どんだけ酔ってたんだオレ。ちょっとあり得ないシチュエーションなのはなぜでしょう」


「水着取りに行くって言ったのに『そんなのいらん』ってツバメが言ったんですケド」


「呼び捨ててるし」


「ハダカ見られたからね。今日から呼び捨てだよ」


そういってヒカリは抱きついてくる。 


今日は面倒かけたし。

彼女の世界最後のオフかもしれないし。 

あれこれ並べてみるけれど―――。  


―――違うな―――。


世界の終わりに抗うこんな時に。

いやこんなことになるもっと前からか。

いつも明るく名前を呼んでくれて。

救ってくれたのはヒカリだ。


「オレでいいならいいのかな」


つぶやくとヒカリは笑って答える。


「ツバメが! いいんだよ! 最初から好きって! 私は! ずっと! 伝えてたよ!」  


波の音を聴きながら抱き合ってユラユラ漂う。


月明かりが綺麗で。

昼の月が好きだけど。


ここからは見えない太陽に照らされて、

夜に輝く月も良いものだと思った。


あー、そうか。

ヒカリはオレの太陽だったんだ。


プールで抱き合ったまま、私はヒカリにキスをした。

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