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ゾンビが交ざる新世界までのカウントダウン 〜業界人が気まぐれな神からもらったチート能力で無双しながら現実世界を救う物語  作者: opocho


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5-4 業界人、企画をぶち上げる



はしゃぐヒカリを眺めながら夕方まで冨川の資料に目を通して過ごした。


嵌められた形ではあるが、託された資料は完璧でこれなら急場の私でも対応はできそうだった。


冨川はこういうところに隙がない。

単なる無茶振りじゃないのがまたムカつく。


17時前に迎えがきて私たちは打合せに向かった。


「では宜しくお願いします」


広い会議室で市長のシオ、オーナーの初岡さん、漁港代表の魚崎さんと向き合う。


「特別室、とても素敵な部屋でしたよ。こんな豪華なお部屋をフロアごと貸し切りにしていただくなんて申し訳なさすぎますよ」


「いやいや、実はあのフロア、屋上を改築したものなのですが、力を入れすぎまして…。価格的にもあまりお客様にご利用いただけてないんですよ」


「勿体ないですね。ちょっと考えてたのですが、ヒカリやウチのユニットの雑誌撮影に使ってみたいと思います。タイアップにいくつか媒体をセットしますよ」


「本当ですか! それはありがたい!」


「リゾートの客層に合う大人向けの雑誌か……いや、ここは客層を広げることを狙ってあえて若い読者のついた雑誌を選ぶのもアリだと思いますよ」


「それはいいですね。熱山は東京からも近く、交通費の負荷が少ないのが利点です。若い観光客が増えてくれるのは市としても嬉しいことです」


「では部屋をスタジオ代わりにした動画も配信していきましょう。すぐに聖地化して若いファンが集まってくれると思います」


「私たちを応援してくれる人はアクティブな人が多いから、平日でもたくさん来てくれると思うよ。きっとファン同士のオフ会みたいに集まってくれると思うな」


「さっそくいいアイデアですな!」


「ウチのチームがいま島内に新しくイベントスペースを作る企画を準備してます。リゾートの客室数に合わせた限定キャパのライブを開けば話題になる。すぐに森ノ島がエンタメと音楽で話題のスポットになるでしょう」  


「いやもう、絶対にやるべきですよ!」


初岡オーナーは大興奮だ。


私はシオへ投げかける。


「そこで市長にご相談なのですが。その日は思い切って熱山エリア全体のイベント日になさいませんか? 今回市長とは明日のコラボ発表会見に合わせての軽い顔合わせということでしたが、せっかくいいアイデアになりそうです。ここはひとつ本格的にご一緒しませんか?」


「熱山市としては島内の計画をお聞きして主に導線面……鉄道や自家用車の交通整理を警察に指示する程度のつもりでした。あとはおこぼれでホテルや商店街にわずかでも経済効果が得られたら、くらいでしたが……」


「計画を聞いてみての感想はいかがですか。これは会って5分で思いついたジャストアイデアだ。でも必ず実行できて必ず成果が出ます。それに……シオ、まだまだこんなもんじゃないぜ」


硬い表情をしていたシオは最後のひとことに仕方ないなという風に笑い出した。


「……まいったな。わかった。乗るわ。そもそも会ってみたらツバメとの再会や。普通に終わらんやろなと思ったわ」


「市長。賢明なご判断かと思います」


初岡オーナーも企画が大きく転がり嬉しそうだ。


「熱海のホテルの一部の部屋をイベント日に合わせて聖地化するのはどうです? 出演ユニットに『自分が泊まりたい部屋』としてアレンジさせるんです。メンバーごとに部屋をコーディネートさせてメンバー名の部屋にするとか」


「それもいいなー! 話題になるね! だったらさ、写真をアートにして飾ったり、カップやシャンプーなどの備品もラベルをオリジナルにしたりしてコーディネートしたいなー!」


「いいアイデアだなヒカリ。ノベルティは売ってもいいだろう。日帰りのお客様にも喜んでもらえるように、メンバーたちといろいろ考えてみてくれ」


「それは面白そうだ。イベント日の宿泊客に限らず、日帰りのお客様が増えてくれるなら街も活気づく」


「苦戦しているホテルがあるならツバメグループで買い取らせてください。1棟まるごとタレントコーディネートの宿をやってみたかったんです」


アイデアは止まらなかった。


「私も熱山の再生を公約に市長になりましたからね。千載一遇のチャンスをいただいたと思って参加しますよ」


私たちは席を立ち、力強く握手をした。


「ありがとう市長。時間はないですがシルバーウィークを狙いましょう。行政としては異例の時間軸でしょうが、民間主導の突貫プロジェクトに市政が仕方なく協力する線でご了解いただけませんか?」


「握手してから良いも悪いもありませんよ。協力は惜しみません。というより、熱山のメリットになる企画をどんどん逆提案させてもらいますよ。……相変わらずやな、ツバメ。こりゃ忙しくなるわ。おもろなってきたでほんま」


「お、俺たちの出番も考えてもらえるかな」


最後に漁港代表の魚崎さんがポツリと呟く。

私はそれに笑顔で答える。


「漁の動画コンテンツは強力ですよ。ウチのユニットに釣り好きがいますから魚崎さんに弟子入りさせますよ」


「そ、そんなことでいいならもちろんだ。若者の漁師離れを食い止めたかったんだ」


「漁師体験なんかもいいかもしれませんね。事故が起きないようにソフトなものにアレンジする必要はありますが」


「料理が得意なメンバーも結構いるんだよ! オリジナルの海鮮メニューとかデザートを考えるのはどうかなあ」


「いいですね! それを熱山の新しい名物にしちゃいましょう!」


みんなのアイデアがアイデアを呼んでいく。

こういう時にいい企画はどんどん生まれるものだ。


熱山と森ノ島のイベントは間違いなく成功するだろう。

同時にこの街の人たちを必ず守れるように備えも進めてみせる。

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