3-9 業界人、アメリカで仕上げ
ジョニーがバックアップメンバーに加わった。
アメリカ陸軍の仲間はあまりにも強力だ。
アメリカでの最後の仕込みは燃料の確保となる。
いろんな手段を考えたのだが、最終的には直球で進めることにした。
ガソリンスタンドのオーナーになったのだ。
街のスタンドで経営が苦しそうな店を訪問して相場以上の買い取りを提案する。
従業員はそのまま雇って表の経営を続けてもらいながら、燃料をガンガン取り寄せて備蓄していくのだ。
幸いマイクが危険物取扱者の資格を持っていたこともあり、買収はスムーズに進み、すでに2軒のスタンドを手に入れることに成功した。
「やり方がストレートすぎませんか」
「金で解決できるなら楽なもんだろう」
『オレたちの本業はマジックボックスに収納済みだ。手は空いてるからちょうど良かったぜ』
タンクローリーは最大30000リットルのガソリンを運搬できる。
買い取り頻度をできるだけ増やして地下に貯蔵するフリをして回収。
ひたすらこれを繰り返し、帰国までに600万リットルをマジックボックスに収めていた。
『あとできることはなんだ?』
「マイク、銃をもっと買っておこう」
『ジョニーが回してくれるぜ?』
「あるに越したことはないだろ」
『いいだろう。派手にいくか!』
マイクの取引先にいき、新店舗を開けるといい、大量の武器と、特に弾薬を買い占めた。
見る目の確かなプロの取引だ。
足元をみられることもなくスムーズに "買い物" は進んだ。
『これだけ弾丸があればさすがに足りるだろ!』
「もしかしたら弾丸は出に入らなくなるかもしれないだろ。銃をいくらメンテナンスしても弾がなきゃただの鈍器だ」
『そりゃそうだな……。ボス、適当な倉庫をもっと出しておいてくれよ。このあとも集めておく』
マイクの集める武器弾薬をしまう倉庫のほかに、ゴローの集めるクルマも置けるように、広い土地も借りることにした。
こうしてひと通りの目的を果たした私たちは一度日本へ戻ることにした。
『これからはボスがいないからな。燃料はスタンドの地下タンクを限界まで満タンにしたら通常の
買い取りに戻しておくよ』
「返事待ちのガソリンスタンドの買収がうまく進んだら連絡してくれ。また回収しに戻るよ」
『任せてくれ。交渉しているうちの少なくともあと2軒は手に入ると思うぜ。ジョニーも横流しの方法を考えてくれてるからきっと大丈夫だ』
ゴローとアンナ、マイクとアンジーには引き続きアメリカでの資材調達を頼んだ。
日本での拠点づくりが形になりそうなタイミングで一度みんなには来日してもらう予定だ。
今回の渡米ではゴローのカーショップとアンナの工場のほかに、陸軍から入手した装甲車などもマジックボックスへ収めることができた。
彼らには今後の活動資金としてこちらで得た資金のうち50億を預けることにした。
『オレが集めておくものは引き続き武器と弾薬だな。ジョニーから掘り出しもんが出たら日本に連絡するから電話で相談させてくれ』
「ボクとアンナは引き続きタフなクルマとキャンピングカー探し。そして大事なのは部品のストックだね」
「ああ、よろしく頼むよ!燃料以外にも大量ストックしたいものがまだまだある。医療品なんかは残った大きな課題になるな。とはいえあとは日本でも手に入るものだから無理はしなくてもいいが、チャンスがあれば金は惜しまず、必要なアイテムをストックしておいてくれ」
『『オッケーだ、ボス!』』
『さみしいけどがんばるからね! またすぐ会いにきてね!』
アンジーを連れてアンナも見送りにきてくれた。
みんなと握手とハグを交わして、私とタクスケはテキサスをあとにした。
テキサス遠征は大成功だった。
なにより頼もしい仲間が増えたことが最大の成果だ。
アメリカ編、こちらで終了です。
次からまた日本での準備編となります。