16時間目 写真
集合時間まであとだいたい1時間無いくらい。今、俺たちはソフトクリームを食べている。コーンの中の方までしっかりアイスが入っているタイプのやつで幸福感は結構高い。
最後の一口を口の中に放り投げ、食べ終えるとみんなはいつでも行ける準備バッチリみたいな感じで待っていてくれた。
「ほら〜乃蒼くん次ケバブ食べよ〜」
「誠空、飯食ってまだそんなに経ってないのによく食えるな」
「だって美味いもんは美味いもん」
理由になってねーよとツッコミたくなったが、いつもの事なので笑って誤魔化した。
「あ!そういえば!」
菜愛が思い出したかのように声を上げた。
「写真!ほとんど撮ってないじゃん!」
「あ」
俺たちの学校は修学旅行を終えたあと体験してきたことなどをまとめたスライドを作って2年に発表するとかいう謎の行事があるのだ。そのためスライド作成に使う写真は現地調達しなければならない。
「ったくこれだからこの学校はよ」
「えーケバブ食べないのー」
「写真撮らないで怒られる方がダルいから行くぞ」
俺たちは来た道を戻りながら要所要所で写真を撮り、スライドの資料調達に励んだ。雷門撮ったり、色んな屋台的なのがずらっと並んでるとこ撮ったり、普段地元じゃめったに見ることの出来ないバカ長い行列を撮ったりした。
そんな風に過ごしていれば時間もあっという間に過ぎていくものだ。気づけば2時40分、集合時間の20分前になっていた。
「思ったより時間食っちゃったけど写真撮る時にも食べ歩いたしいいよな」
「だいぶお腹いっぱいだしね」
「みんな〜こっち来て!」
少し離れたところで梨空が大きく手を振っているのが見えた。
色々考えながら梨空のいる方に向かった。
「みんなで写真撮ろ!スライド用じゃないやつ!」
「みんなで撮るなら自撮り?自撮り棒なんて持ってないぞ」
「1番身長あるの乃蒼だし乃蒼が持って撮ったら?」
大雅が言った案にみんな賛同するため渋々俺はスマホを取りだして、カメラアプリを起動した。
「みんな笑えー!」
「ほら!慎也と大雅顔硬い!もっとスマイルスマイル!」
「はい、チーズ」
パシャリ
とシャッター音がいい感じに響いた。
俺は確認のために撮った写真を見ると、いい顔をしたみんながそこにはいた。写真の下の方でピースをして笑う梨空と菜愛、俺の隣でダブルピースをしている誠空、普段は見せないような笑顔を見せた慎也と大雅、こんなにもいい写真はなかなかないと思えるほど、その写真には青春と言えるものがたくさん詰まっていた。
「なんだ、俺ってこんな風に笑えんだ」
「なんか言った?」
「いや、なんでもない。みんなもグルラに送っとくから見て」
「あいよー」
「てか、急ごそろそろ行かないとここからだと間に合うかやばいよ」
「そういやそうだね。走れー!」
俺たちは人混みの中を小走りで進み、集合場所に急いで向かった。
ちょっと転けたりしても止まらない、こんなとこで止まったらなんか恥ずいとかそういう話じゃなくなるからな。
2時57分。俺たちはギリギリの時間で集合場所に着くことができた。他の班はというと、思っていたよりも集まっておらず結果的に全ての班が集まったのは3時15分頃だった。
学年主任の話が始まりボケーッとしていると「ねぇ」と梨空から話しかけられた。「ん?」と返すと
「もうちょっと遊んでられたかもね、ちょっと真面目すぎたかな?」
彼女は普段見せないような無邪気な顔をしてそう言った。俺はそれに対してフッと笑い
「しっかり守ったからなんかいい事あるかもな」
と、返すと梨空はニコッと笑い「かもね」と言った
学年主任の話も終わり俺たちはバスに乗り込み次の観光場所に向かった。
「え〜まだホテルじゃないの〜」
「最後だって言っただろ誠空、次はスカイツリーだ」
なんだかんだ文句を言いながらも楽しみにしているのがよくわかる誠空だった。




