13時間目 はぐれたよ
はぐれた。
修学旅行で来た動物園で俺は班のみんなとはぐれてしまった。
トイレに行ってから待ってくれているはずだった男子3人が見当たらず、今現在わかることは動物の鳴き声がそこら中で聞こえてて他の情報があまり入ってこないということだけだ。
「どうしよう…」
知らない土地ということもあり完全に足を前に進めることが難しくなってしまったのだ。
電話の後にした連絡にも返信は無し、周囲を見渡しても知っている人はいない。
「とりあえず、近くのベンチにでも座るか」
俺はこれ以上なにかするよりは動かない方がどうにかなるのでは、と思い近くのベンチに腰をかけた。するとスマホから着信音が鳴り響いた。あいつらの誰かが気づいたのだろう、そう思って画面を見た、だが画面に広がっていたのは男3人の名前ではなく菜愛だったのだ。
正直なんだ、こっちかよ。と思いながらとりあえず電話を受けた。
「もしもし、どうした?」
「あ、乃蒼、今あんたらどこいる?そろそろ合流しようと思ってたんだけど」
「その…」
俺はここまでのことを簡単に菜愛に話した。話している時も周りにいないかしっかり見て探しながら情報共有をした。
「で、つまりあんたは今一人ではぐれて座ってんのね」
「そういうことになります」
「はー、わかった今から梨空とそっち向かうから」
「はい、すまぬ…」
電話を切って数分して2人が俺のところに合流してくれた。
「じゃあ探すよ、行こ」
3人で残りの班の3人を探し出した俺たちだったが知人にすら出会えないほど人が多くなっており、真っ直ぐ前に向かって歩くのすら少し難しく感じた。
歩みを進めていると元々行こうと思っていたレッサーパンダのコーナーが見えてきた。見たかったのは俺だけではなかったらしく梨空が「あー!」と指をさしてレッサーパンダのいる方に3人で向かった。
「もふもふしてて可愛いな…」
「乃蒼こういう動物好きなの?」
「………まぁ」
「ちょっとギャップあるかも…そう思わない?菜愛ぁ」
「ん?そうだね意外と可愛いとこあんだね」
「……どうもと言うべきなのか、なんて言うべきなのか」
そう言うと笑われた。面白がられてんのかバカにされてたのかわかんないけど笑われた。
「じゃあそろそろ3人探すの再開しよっか」
「そうしよ」
と言って歩き出してすぐだった。トコトコと3人でなんかすげえ笑いながらこっちの方向に向かってくる3人の姿があったのだ。
「お前ら…なんでトイレ待っててくんなかったんだよ!」
「ん?言ったじゃん俺ら魚とかいるとこで見てるって」
「なのにいつになっても来ないのは乃蒼だろ、まぁ会えたからいいけど」
大河がそう言って数秒の間ができた、俺はそうだったーみたいな感じでポカン状態。女子2人はなんだか呆れたような感じの態度で俺の方を見てきた。
「で、でさ!なんで笑ってたんだよ」
『こいつ強引に話を変えてきやがった!』
その場にいた乃蒼以外の5人がその時同じように思った。
「なんで笑ってたか、か。さっきそこを通ってきた時他の学校から来たんだろうやつのスマホからバカでかい音で音楽流れてなんかおもろかったんだよ」
「ふーん、聞いといてなんだけどすげぇどうでもよかった」
『こいつめんどくせぇ』
またしても5人の考えが一致したなんならお互いに目が合って頷きあってその感情を伝えあったくらいにはみんな同じように思ってた。それを乃蒼は知らない。
班も合流して残りのここでの時間もあと少しになった。乃蒼は今回の戦犯と言われ罰として全員の荷物を少しずつ持たされた。
「うっあー!さっきより軽ーい」
「走れるわ〜これ」
そんなことを口々に言われ乃蒼はもっとしっかり話を聞こうと誓った。




