乙女のように夢を見ている。
クラエス公爵夫妻に、私自身も気に入って欲しい――そう考えていたことに気が付く。
さらに。
……今、会話してみて、さすがイーサンのご両親。とても気持ちがいい方だった。よって彼らに好かれて、嫌なことなんてない。
それに元既婚者だから? なんとなく舅と姑として二人を見て、この二人となら上手くやっていける……なんて思っているのだけど。
おかしな話ね。
この二人が私にとって、舅と姑になることはないのに。
まさに乙女のように夢を見ている。
「ローズベリー伯爵令嬢、素敵なお土産ありがとうございます。早速ですが、東屋へご案内します」
そう言うと、そのままエントラスからのびる小道へ私をエスコートし、イーサンは歩き出す。
小道には、ストロベリートーチとも呼ばれるベニバナツメクサが、沢山咲いている。前世ではお馴染みのシロツメクサは、丸くて白い。だがこの世界では、ロウソクに灯った炎のような形をしている。葉はシロツメクサと同じクローバー。グリーンとストロベリー色のコントラストが、とても映える。
「あれが母親自慢のウィステリアです」
ストロベリートーチばかり見ていた私は顔をあげる。
「……!」
藤の花を生かした東屋に、目が釘付けになった。ドーム型の東屋の屋根は、ガラスになっていた。その下に藤棚が作られている。
東屋の中に入り、見上げると……。
まるで藤の花が降り注いでいるようだ。
ガラス窓から良く晴れた空も見え、明るい陽射しも届いている。
空の色と藤の花のコントラストも、最高だった。
「どうぞ、こちらに」
イーサンが椅子に座るよう、勧めてくれる。
視線を白い丸テーブルに移し、そこに並べられた可愛らしいお菓子に、胸が躍ってしまう。
三段スタンドの上段にはマカロン、焼き菓子、メレンゲ菓子。中段にはブルーベリーのタルト、クッキー、下段にはカナッペなどのフィンガーフード。
「昨日、フルーツティーをいただき、とても美味しかったです。そこで今朝、出入りの商会に頼み、いくつかフルーツティーを用意させました。珍しいものがあるんですよ。メロンティー、アプリコットティー、マンゴティーなどがありますが、いかがですか?」
「メロンティー! 初めて聞きました。飲んでみたいです」
「かしこまりました」とイーサンが微笑むと、すぐにメイドが用意してくれる。
イーサンはアプリコットティー、私はメロンティーで、ティータイムスタートだ。
メロンティーは、本物のメロンのような、ジューシーな香りがする。紅茶自体にメロンの味はあまり感じられないが、とにかく香りがメロン! フィンガーフードと一緒に飲んでも、口の中で軽食の味を邪魔しないので丁度良かった。
しばらくはティータイムを満喫し、場が温まってから、いよいよ本題に入る。
「二冊目のロマンス小説はいかがでしたか?」














