もしや原因は私!?
イーサンは女心を学び、令嬢を喜ばせる方法を知りたいと思っている。
なぜ?と思ったが、気付いてしまう。
そう、そうなのだ。
縁談話に乗り気ではないイーサンには、好きな人がいる!
好きな人のために、自身の恋愛力を向上させたいと思っているんだ……!
イーサンであれば、どんな想い人でも間違いなく落とせる……と思う。それなのに本人は乙女心を理解できていない、令嬢を喜ばせることができないと思っていた。しかもどうすればいいのか、私からわざわざ習おうとしている。
ここから導き出される答えは一つ。
イーサンは自信がない、これにつきる!
自信がないから意中の相手に想いを伝えられない。それでいて縁談話は持ち込まれる。必然的に持ち込まれた縁談話には消極的になってしまうのだろう。
自信がない原因は……私だ。
仮面舞踏会での私との一件を気にして……。
いや、待って。
縁談話があったのはいつ?
ここ半年なのかしら?
「ちなみに縁談話を断られているのは、ここ半年のことですか?」
するとイーサンはフルフルと首を振る。
な……!
その様子がなんだかとても可愛らしい。
なんだかぎゅっと抱きしめ、なでなでしたくなるような……。
「最初の縁談話が出たのは、十六歳の時です。十八歳になるまでは、頻繁に話がありました。でも僕があまりにも断るので……。以降、一年に一度の年中行事のように持ち込まれますが、副団長に就任してから、一気にまた増えました」
それはそうでしょうね。超優良物件。令嬢の皆様は勿論、そのご両親も喰らいつくはずだ。
一方のイーサンはため息をつく。
「正直、困っています」
「それは好きな方がいるからですね」
視線を伏せているイーサンがとろけそうな表情を浮かべ、またも頬を桃色に染め「はい……」と頷く。
これを見せられた私は両手で顔を覆い、「キャーッ」と叫びたくなるのを堪える。イーサンの意中の相手がこれを見ていたら、間違いなく恋に落ちているだろう。
いろいろと知識を仕入れた私のように、イーサンも恋愛知識武装が必要?
私のように恋愛テクニックを駆使する必要が、イーサンにはある?
必要ないと思う。
このピュアさで十分だ。余計な知識やテクニックで武装する必要はないと思う。
てっきり私のせいで、自身の恋愛力について自信を無くしてしまったのかと思ったが、そうではないようだ。何しろ十六歳の時から縁談話を断っているのだから。
そこで安堵して、尋ねる。
「十六歳の時から、好きな方がいたのですか?」

























































