表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手紙  作者: ひいらぎ 梢
10/11

手紙の秘密

CM発表会の帰路のハイヤーの中で喜八郎はあの日の出来事を思い出していた。


異世界から届けられた手紙に秘められた秘密とは…

それは異世界からの便りをたずさえて沢野井市子がやってきた日のことだった…


予想外の客人を迎え、二人は久しぶりに賑やかな夕げを過ごした。そして市子が帰ったあと五十嵐家には再び穏やかな静寂が戻ってきた。


 楽しい宴の余韻が残る食卓を夫婦は二人で片付け、キッチンで並んで汚れた食器を洗った。そして居間のソファで食後のお茶をすすり、そろそろ休もうという頃、喜八郎はふとあることを思いついた。


「そういえば、カレーまだ残ってたよな」


「ありますけど……足りなかった?」


「いや俺はもう十分。ほら、せっかくだからあいつにも食べさせてやりたいんだ。食後のデザートもあることだしさ」


「?」


 けげんな顔をするみどりに普段の実直さからは想像出来ないイタズラっぽい笑みを浮かべて彼は言った。


「お供えするのさ」


 はっ、としたみどりの顔に一瞬で喜びの色が広がる。妻の心底嬉しげな様子をみて彼はこの素晴らしいアイデアを思いついた事を心から誇らしく思った。


「そ、そうね! じゃ、ちょっと温めてくるわ」


いうが早いかいそいそとキッチンへ向かったみどりは程なくトレーに2つの器をのせ、満面の笑みをたたえてリビングに戻ってきた。


少し深めのシンプルな磁器の洋皿にはスパイスの香りも芳ばしいトマトカレー。そして隣の志野の厚手の角皿には丸くて白い素朴な風合いの和菓子が二つ。どちらも娘が生前お気に入りだったものだ。


「この菓子皿まだ取ってあったんだな」


「ええ、また役にたって良かったわ」


神への捧げ物よろしく、2つの供物を恭しげに運ぶ妻に先導され喜八郎は仏間へ入った。明かりをつけると二人は仏壇の前へ進み出て供物用の台に暖めたカレーと白い饅頭をおいた。


そして仏壇の前に正座して二人で瞼を閉じ手を合わせる。喜八郎は異世界での娘の無事を祈り、その新たな境遇を反芻した。


「あなた、あれ……何!?」


隣に座っているみどりの怯えた声で眼を開いた彼の前には異様な光景が広がっていた。


〈続〉

手紙 第10話お届けしました。


さあいよいよ大詰め、佳境でございます。もっと短いはずだったこの物語もようやく完結が近付いております。


次回が最終話になります。何卒お付き合い頂きたく宜しくお願いいたします。


ではっ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ