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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
4章〜崩れて壊れても私はあなたの事を...〜
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75話「崩壊の足音4」

レイジ達は女性職員の言われた通り道なりに下って行った所である物を発見した。


「これは...時刻表?」

「時刻表だね」


バス、電車で必ず近くにある時刻表がそこにあった。

そこには時間と場所が書かれているだけだ。


「時間とか書いてあるが...今って何時かわからんしな」

「そうだね。待つ?」

「そりゃあ待つしか...」


レイジ が言葉を続けようとした時、遠くから大きな音が鳴り響いた。


「何だ!?」

「あ、お兄ちゃんあれ!」


そう言って ゼーレ が指を指した方を向けば鉄塊の蛇....電車が簡単に舗装された道路を勢いよく走っていた。


「うおー! これが電車!?」

「...おい、ちょっと待て」


初めての電車に驚きながらも楽しんでいる ゼーレ を横に レイジ はあることに気づいた。


「あの電車....浮いていないか?」


そう、電車は確かに道に沿って走っているが地上にその足を着けていない。否、そもそも車輪が付属されていない。


つまり、ただの鉄の箱が僅かに宙に浮いて猛速度で走ってるのだ。


「え?電車って浮かないの?」

「浮かねえよ! つっても、これが異世界の電車なら何かあるのかもな」


レイジ と ゼーレ が言い合っている間に電車は目の前に到来し、二つあるうちの一つの扉を開いた。


「ご乗車ありがとうございます!」


そして、中から出て来たのは藍色の駅員服を着込み、肩からは小型のバックを下げ、頭には鍔のついた同色の車両帽子を被った茶髪の青年が笑顔でそう言った。


「え、あ...」

「あれ? ご乗車の方ではございませんでしたか?」

「いえ、乗ります! ....この電車って でぃらーみんぐ って場所に行きますか?」

「『ディラーミング』ですね。はい、勿論停まりますよ。案内の方は前の駅でお知らせしています!」

「じゃあ、乗ります。お願いします」

「はい! お二人様で大銅貨二枚です!」


レイジ は予め渡されていた大銅貨を駅員に渡すと駅員は笑顔でそれを受け取り肩に下げていた小型のバックに入れた。


「あ、そうでした。もしかして電車のご利用は初めてですか?」

「そうです」

「でしたらご乗車の時はこちらの扉でしたけど、降りる時は向こうの扉から降りてください。間違ってもこちらで降りますと乗る方のご迷惑になりますので」


それだけ言い残すと駅員は電車の最車車両、運転車両に入っていった。


「...降りる人が先、みたいなもんか..?」


レイジ はポツリと日本でのマナーを呟きながら車両に入って行く駅員の背中を見送った。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


「しかしこれは驚いたな」


電車に乗った レイジ は電車の内装に驚きを隠せなかった。


まず目に入ったのは座席。地球で見た物同様かそれ以上に柔らかく、反発力のある座席はまるで人をダメにするクッションのようだった。


次に扉。これは出口専用というだけあって大きめに作られている。その幅は大人が三人並べるだろう。そしてよく見ると段階式になっていることから狭めたり広げられたりできるのだろう。


そして最後に液晶。ここまで驚くような仕掛けや工夫があったがこの液晶だけは違った。クルクルと表示が変わるだけで他の何かは無かった。本当に現在駅を教えるためだけの様だ。


「なんか中途半端に発展した電車だな」

「それは多分この世界の歴史が関係してるんだと思うよ」

「そうなのか?」

「うん、この世界って昔から魔法についての研究は盛んに行われてたの。でも、科学の研究がされる様になったのはつい最近らしいの」


ゼーレ はどこか思い出す様な様子でそう言った。


「最近? それってどのくらいの尺度なんだ?」

「うーん...大体100年くらいかな。そのくらいに突如天才って呼ばれる人が現れたの」

「...それって」

「で、その人は次々にいろんなものを作っちゃったんだけど寿命が近かったらしくもうこの世界にはいないみたい。そのお陰でその人が作ったものは残ってるけど構造は誰も理解できなくなってるから“中途半端“だって感じるんだと思うよ」

「成る程な...その天才って転生者じゃないか?」

「うーん...どうだろう? お兄ちゃん達がいるから否定もできないんだよね」


ちょっと異世界事情が詳しくなった所で液晶に目的地の表示が現れた。


「お、次で到着か」

「そうみたいだね。どんな所だろう」


そして、レイジ達は目的地『ディラーミング』へ到着した。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


都市『ディラーミング』それは レイジ の想像を超えた場所だった。


眼前にそびえ立つ巨大な城門と城壁。到着した駅から門まで近いと言っても、その端が見えない。


そして、その城門を遥かに超えるこの都市のシンボルだろう巨大な塔。天まで届くのではないかと錯覚してしまうほどに高い塔は レイジ の首を痛めるには十分だった。


「こ、ここが都市...か?」

「...すっごいね...ゼーレ も初めてだからビックリだよ...」


レイジ 達は周囲に流される様に歩いて行くと城門には列ができていた。順当に進むその列はすぐに レイジ 達に順番を回した。


そして、城門には数人の兵士達が居る。そのうちの一人、目つきはやや鋭く髭を気持ち蓄えた男が レイジ達に近づいてきた。


「次...君達身分証明書持ってる?」

「それがないと入れないのか?」

「いや入れるけど、仮身分証の手数料とか説明とか聞いてもらうよ」

「それじゃあその説明を受けたいんだが」

「説明と言っても簡単だよ? 一週間以内に身分証を作って役場までに返しに来る。返しに来なかったら捜索され強制連行か、罰金ってぐらい」

「身分証はどこで作れるんだ?」

「どっかのギルドに所属すればギルドカードが貰える筈だ。それで十分だ」

「わかった」

「それじゃあ、通行料大銅貨一枚、仮身分証の手数料で大銅貨五枚だ」

「ああ」


レイジ は催促された金額を兵士に渡した。

兵士は数えると「通っていいよ」 と一言告げ次の人に着いた。


こうして レイジ と ゼーレ は目的地『ディラーミング』にその足を踏み込んだ。

やはり前哨戦が長くなってしまう...

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