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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
3章〜生まれ落ちたシンイ〜
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70話「平穏は脅威から生まれ恐怖にて消える6」

「ってな訳っす」

「紛らわしいわ!」


ハクレイ が騒ぎ立てた経緯を レイジ に説明し終わった。

レイジ は取り越し苦労を被った訳でドッと疲れを感じた。


「で、その子が件の子か?」

「そうっす」


レイジ が幼女に視線を向ける。

全てを包み込む様に錯覚させる漆黒の黒髪を後ろで二つにに結い、床を引きずる程まで伸ばしている。

年相応の柔らかそうな真っ白頬のせいで美しさよりも可愛らしさが先行してしまう程の美の形態。

その身を包むのはよくわからない色合いの幼児服。様々な色をごちゃ混ぜにしたその色を一言で表すなら『混沌』だろう。


「....」

「超可愛いっすね!」

「...そうだな」

「あぁ!」


レイジ が見つめていることに気づいたのか幼女が立ち上がりヨチヨチと不安定な足取りで近寄ってきた。


「あ、ああうぅ」

「ん?なんだ?」


何とか レイジ の元にたどり着いた幼女は レイジ に抱き上げられ満面の笑みを浮かべた。

そして...



「ぱ..ぱ..?」



爆弾を投下させた。


「「「「ッ!」」」」


一斉に振り返る少女達。

その瞳の奥には宿ってはいけない炎に火がついた。


(貴方様を...『パパ』? つまり、あの子に母親と認識されれば...私が....! ああ! いけませんそんな事! はしたない...はしたなくてよ私! ...でも...でも...今を逃したら...私は...)


(お兄ちゃんを『パパ』呼び!? つまりコレは...既成事実のチャンス! 何としてでもあの子を洗の....じゃない、調きょ...じゃなくて...そう! 教育! 教育して ゼーレ をお母さんと思わせればいいんだ!)


(ますたーの...ていそうの...きき..? きんきゅうじたい....。さいゆうせんきけんじんぶつは...)


(ヤバイっす...先輩達の目がヤバイっす...もう狂気のレベルに進行してるっす! どうせあの子にお母さんと認識させて既成事実を作ろうってとこっすかね。....今回は防衛に回らせてもらうっす! あの子に罪はないんっすっから!)


少女達全員が見合った。

お互いを牽制し合い、一歩でも動けば容赦はしない、そう目が物語っていた。

そして...


「あ、あ、あうあ!」

「どうした? 腹でも減ったのか?」


レイジ の一言に パンドラ が反応した。


「あ、貴方様! 恥ずかしいですが私なら...」


言いながら駆け寄ろうとした パンドラ の一歩先に一筋の剣が通った。

剣は床に一本の軌跡を残しながら パンドラ の髪を数本散らした。


「これは...けいこく...つぎは...ない...」


剣線の出所を見れば ミサキ がククリナイフを抜いた状態で立っていた。

その目には獲物を逃さない狩人の心得の様なものが映っているの。


「お、おい、何して...」

「だ、だああ!」

「ん?何だ遊びたいのか?」


パンドラ と ミサキ の攻防の最中幼女は レイジ の手の中で両手を一杯に広げ何かを伝えようとアピールをする。

それに...


「遊ぶなら ゼーレ が相手するよ!」


ゼーレ が反応した。

一直線に レイジ と幼女に駆け寄ろうとするその速度は戦闘経験が皆無とは嘘だろうと思えてしまう程だ。

だが...


「させないっす!」

「ぷぎゃ!」


タッチの差で ハクレイ の鎖が壁を作った。

突然現れた障害物に避けることができず ゼーレ は顔から鎖の壁に突っ込んでしまい女の子らしからぬ声をあげる。


「いったあー!」

「させないっす...今回は...と言うかさっきの恨みっす!」

「何のこと!?」


ハクレイ は恨み辛みを抱えた怨念の様になっていた。

何を考えてか顔を赤く染め、目尻には若干の涙をためている。


「ハクレイちゃん...ゼーレ を裏切るのかい?」

「今回は...今回ばっかりは ゼーレ先輩の相手になるっす! と言うか恨みを晴らすっす!」

「いや本当何の恨み!? ゼーレ 何かした?」


「ミサキ様...通してはくれませんか?」

「だめ...いまのパンドラ...きけん...」

「...左様ですか...ならッ!」


レイジ と幼女を挟んで二ヶ所で行われる攻防戦。


片や、完全に抜刀しガチ戦闘を繰り広げている。

縦横無尽に駆け巡る パンドラ に瞬足で防衛を行う ミサキ。

本来ならあり得ないことだが、パンドラ が瞬殺されていない。


片や、言い争い、罵り合いを繰り広げている。

涙目を受けべギャーギャーと叫ぶ二人の少女。

本来なら即負けする程弱い ハクレイ が珍しく歯を食いしばり、涙をため抵抗している。


「...」

「あう?」

(旦那...)

「.........帰るか」

「きゃきゃ!」

(ええんか?)

「なんか...疲れた」


そう言って レイジ は幼女...階層主『トテラ』を抱えたまま最下層へ戻った。

帰るときの足取りがどうにも重く感じたので『ダンジョン内転移』も使用してしまった。


その後も戦いは続き、レイジ が戻ったことに気づいた少女達は早急に追いかけていった。


その後その部屋が忽然と消えていることに気づかずに...。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


ーーーーー

名前:トテラ

種族:自然霊

性別:女

Lv:5

HP:100

MP:100

技能:成長阻害(-)、成長促進(-)、???

称号:不思議な存在

ーーーーー


ーーーーー

成長阻害(-)


特定の条件下以外での成長を極端に遅らせる。

ーーーーー


ーーーーー

成長促進(-)


所有者の成長を倍加させる。

ーーーーー


ーーーーー

不思議な存在


偶発的に生まれた必然的存在。

その存在意義は唯一を除く何者は理解できない。

ーーーーー

茶番回が多い階層でした。

いや、重要ですよ? 結構アレですよ? だって幼女だもん。

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