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ダンジョンマスターは魔王ではありません!?  作者: 静電気妖怪
3章〜生まれ落ちたシンイ〜
69/108

67話「平穏は脅威から生まれ恐怖にて消える3」

ーーーーー

<階層>


洞窟:1000 DMP

草原:1000 DMP

部屋:1000 DMP

暗黒:8000 DMP

墓場:8000 DMP

餓鬼道:10000 DMP

ーーーーー


「さて、何処を作るか」


レイジ は半透明の画面に移されている項目を見て呟いた。

新たに加わった項目はなく以前と変わっていない。


「『墓場』がいいんじゃないかな?」

「...その心は?」

「初期からある階層って階層主がいないからだよ」

「そうなのか?」

「初期の階層は新しく作っちゃう(・・・・・)から階層主は後付けになるの」

「ほぉ....初耳だな」


レイジ はそう言い、ゆっくりと ゼーレ に近ずいた。その顔に深く、昏い笑顔を貼り付けて。


ゼーレ は口を閉ざし後ずさった。額には汗を浮かべ、その顔は恐怖で彩られていた。


「なぁ、ゼーレ」

「な、何かなお兄ちゃん?」

「今の、もっと別のタイミングで言うべきことじゃないか?」

「え、えと....あ! ゼーレ 急用思い立ったから...」

「逃すかっ!」


適当な言い訳を付け逃げようとする ゼーレ。

行動を読み、ゼーレ の逃げる方向へ先回りした レイジ。

結果...


「いはーーーーーーーーっ!」


ゼーレ は捕まり、その白く柔らかい頬を餅のように引っ張られた。


「いはいはいはいっ!」

「そう言うのは! もっと! 早く言えと! 言ってるだろうがあぁ!」

「ひゃあーーーーーーーっ! ごへんなはいごへんなはいおにひひゃん!」


ビヨンビヨンと伸ばされては戻る白いお餅。

それに連動して響き渡る ゼーレ の悲鳴。

その現場を何処か羨ましそうに見守る魔物達。


場は、混沌を極めていた。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


一通り伸ばし終え、やっと解放されて ゼーレ は赤くなった頬をさすっていた。


「うぅ...痛いよ...」

「自業自得だ」

「こんなに引っ張られて...もうお嫁に行けない...」

「お前嫁ぐ予定でもあったのかよ...」

「行けないからお兄ちゃんに養ってもらおうそうしよう」

「何言ってんの!?」

「何さダメなのお兄ちゃん! 見てよこの頬っぺ! 赤いでしょ!」

「...」

「誰のせいでこうなったと思ってるの!」

「お前のせいだろうが!」

「ちゃんと責任とってよね!」

「知るか!」

「あ、貴方様...責任を取られるのですか?それって...」

「いや取らないよ!?」

「わ、私は...その...恥ずかしいので二人での時で...お願いしますね?」

「しませんから!」

「あ、自分はいらないっすよ? 痛いのいやなんで」

「だからしねえっつてんだろ!?」


この無意味なやり取りはその後 ミサキ によって仲裁され、報酬にまた血液を要求された。


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


「で、『墓場』が良いと思うの」

「お前数分前の自分を見直してこい」

「自分の階層っすか! やっと自分に昇進の道がっ! 栄光の架橋がっ!」

「いやどこでそんな言葉覚えたんだよ...」

「この前流れていた どらま? と言うお話ですわね」

「そうっす! いやー、やっと自分の階層っすか! なんか無性に嬉しくなるっすね!」


話が再開してから終始笑顔を絶やさない ハクレイ。その姿は子供が新しいオモチャを買ってもらった時に似ている。

そして、その姿を見てか全員の顔が綻ぶ。


「はぁ、そんなに喜ばれると却下しにくいな。前回は大人しかったのに」

「前回はきたばっかで緊張してたんだよ」

「...そう言うことにしておくか」


そう言って レイジ は徐に画面を触り増築を承諾した。


それと同時にダンジョン全体が揺れた。

既に慣れてしまったその揺れは何処か赤子を泣き止ます揺り籠の様にも感じる。


次第に揺れが収まり、『墓場』の階層が完成した。


「終わったみたいだな」

「終わったんすか? 出来上がったんすか? じゃあ行こうっす! 今すぐ行こうっす!」

「あ、おい」


ハクレイ は喜びを年相応に全身で表現し、レイジ の裾を引っ張り先を急がせた。


「どんな所っすかね」

「...たのしみ」


◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


『墓場』の階層に入るとまず目にしたのは墓場の数々だった。

十字架、墓石、棺桶。

死体を埋葬する場所が所々に散乱していた。

そして、それらを取り囲むように所々に置かれている枯れた木は今にも動き出しそうにその身体を捻っている。


そして、それらの奥には大きな三階建の屋敷が一つそびえ立っていた。

近ずいて見れば大きな外開き、両開けのドア。

木製でできているそれは腐って変色した箇所も少なくない。


「こ、これは...」

「中々に...趣のある場所ですわね...」

「これがお兄ちゃんの世界にあるお化け屋敷って言うやつ?」

「まぁ、大体合ってる」

「ん...いい...ところ...」

「そうっすね! 住みやすそうな場所っす!」


それぞれの感想が口からこぼれた。

その恐々した外見と雰囲気に押される レイジ達。

逆に、好ましい感想を述べる ハクレイ と ミサキ。その瞳はキラキラと輝かせさながら秘密基地を見つけた子供のようだ。


実際、もう既に屋敷の中に足を踏み入れている。


「...」

「ますたー...?」

「あれ? 入らないんすか?」


我先にへと入っていった ハクレイ が二の足を踏む レイジ に声をかけた。


「...行くしかねえな」

「お兄ちゃん、ヤバイのでたら守ってね?」

「パンドラ 頼んだぞ」

「承りました」

「え? ゼーレ はお兄ちゃんに守って欲しいなぁー、な?」


覚悟を決め レイジ 達も足を踏み入れた。

そして、全員の入場と同時に...



静かに、急速に扉は口を閉じた。

まるで、来るものを拒まず去ることを許さない、そう物語っているようだ。

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