53話「湧き立つ希望、溢れる光、その後に1」
仕掛け、防がれた奇襲に最も早く動いたのはレイスだった。
「...」
「「「「ッ!」」」」
目にも止まらない必殺の刃。
それを感じ取ったのは経験か、はたまた偶然か、その凶器を四人は各々の方向に大きく散開することで逃げ切った。
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「おいおい、あんな早えのがいるのかよ」
マーダはレイスの異常な速さを目の当たりにし嘆いた。
「貴方の相手は私が勤めさせていただきますわぁ。それ!」
そして、休む暇もなく攻撃が仕掛けられた。
飛んできたのは影の槍。
それをマーダは苦もなく自身の影を伸ばし撃ち落とす。
「...へぇ、俺の相手は嬢ちゃんか?」
そう聞く マーダ の前には黒のワンピースを着た少女 エイナ が笑顔を向けていた。
「ええ。私の名前は エイナ。貴方は?」
「俺か?俺は マーダ だ。あんまり覚えなくて良いぜ」
「ええ、それは私のも同じですわ。どうせ...」
「貴方はココで死ぬのですから!」
「お前はココで死ぬからよ!」
両者の掛け声を起点に影がうねった。
その影は周囲を暗黒に染め上げた。
その影は奇怪な造形を生み出した。
その影は空間ですらも捻じ曲げた。
暗く染まった周囲から生物が生み出された。
その生物はまるで誰が敵であるかを認知しているように エイナ の影を、マーダ の影を食らった。
生み出された武具はまるで命を授かっているかのように浮遊し、動き出した。
そして障害を穿ち、切り裂き、叩き潰した。
「中々やるねえ」
「まだ序の口ですのよぉ」
両者がさらに力を、魔力を込めれば激しさが増した。
生物達は死に絶え、武具は破片と化し、周囲には亀裂が入っていた。
「...狭えな」
「同意ですわぁ」
場の配慮を度外視した攻防が与えた周囲への影響は大きかった。
「なら決着は...」
「闇の中で...ですわぁ」
新たに加えられた魔法で出現したのは数多の腕。
腕は両者の足を絡め、腰に回し、手を握り、肩を抱き寄せ、頭を掴んだ。
「では、参りましょうかぁ」
数多の腕は エイナ と マーダ を地の下、影の世界へ連れて行った。
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「何という速さだ...」
マーダ 同様 レイス の攻撃を何とか躱したもののその速度に ラルカ は驚愕を隠せなかった。
「お初にお目にかかります。...貴方は勇者ですか?」
辛くも攻撃をかわした ラルカ の前には紫のドレスを着こなした女性 パンドラ が裾を摘みお辞儀をしていた。
「...残念んだが、私は勇者ではない」
「あら、そうなのですか? 先ほどの魔法は光魔法だと思うのですが?」
「確かに光魔法を使ったが私は勇者ではなく騎士だ」
「そうでしたか。では、改めまして私は パンドラ 申します」
「....随分丁寧な挨拶じゃないか。私は ラルカ・フェリウス。首都の騎士団副団長を務めている」
「お答えありがとうございます。...では、始めましょうか」
「...」
そう言って パンドラ は細剣を中段に構え、ラルカ は腰の西洋剣を半身を前に出し剣を下ろし構えた。
「....」
「....」
両者が見合った。
一瞬の隙を見せず、ジッと観察した。
手元を、足元を、太ももの筋肉の動きを、そして、視線を。
「ハッ!」
先に動いたのは パンドラ だった。
鋭い踏み込みと掛け声と共に細剣を ラルカ の鎧に覆われていない首を狙った。
「フッ!」
対する ラルカ はカウンター。
首に接近する点を際どいタイミングまで引きつけた。
そして、寸でのところで躱し、下ろしていた西洋剣を下から上に切り上げた。
だが...
「なっ!?」
その刃は パンドラ のドレスすらを切り裂くことができずに静止した。
そして、その動揺を見逃すことなく パンドラ は手を伸ばした。
「ハアアァッ!」
手から放たれたのは新たな細剣の切っ先。
躱される前提で攻撃を仕掛けた パンドラ に迷いはなかった。
「ッッ!!」
ラルカ は驚きと交錯の瀬戸際、己の直感を信じ左腕を掲げ、盾とした。
「うっぐっ!」
細剣は ラルカ の鎧を貫き、腕を貫通させていた。
しかし、勢いが足りなかったため、その切っ先は首には到達しなかった。
「クッソっ!」
パンドラ の奇襲とも呼べる攻撃を間一髪で止めた ラルカ は強引に細剣を外し距離をとった。
「...まさか、『概念種』が混じっているとはな」
「あら? 私の事ご存知でしたか?」
「当然だろう。数は少ないが魔物に中で最もと言って良いほど殺し難い存在だからな」
「それはそれは。でしたから降参しますか?」
「ハッ、冗談だろう」
「では、どうするのですか?」
「...こうするのさ!」
その一言共に ラルカ の左手が光り輝いた。
その光は左手の傷を癒し、全身を包み、剣を輝かせた。
「貴様の弱点は魔力の乗った攻撃。...さあ、再戦と行こうか!」
ラルカ はその体を眩かせながら パンドラ を襲った。
多視点です。
分かりやすいように頑張って書いていきます。




