31話「祈りを願いに、願いを力に1」
閑話です。
予想だと...と言うか現状まだ書き続いています。
なんか知らないけど長いです。
気づいたら長くなっています。
ですから、本編を楽しみにしている方にも楽しんでいただけるように頑張ります。
ローブの人物...否、ローブの少女はダンジョンから脱出するために必死に走った。
走って走って走った。
深めにかぶったフードが脱げても、途中でつまずきそうになっても、魔物が突然に襲ってきても。
少女は走り続けた。
少女自身が死なないために。
憧れた逢いたい人のために。
その人を救うがためだけに。
少女は走った。
そしてついに、光を見つけ、ダンジョンから脱出することができた。
少女の体には、擦りむいた跡、引っ掻かれた跡が無数に残り、髪型は切断され変になってしまっている。
それでも少女は生きて帰った。
安心した少女は、休めるような場所を探し求めた。
先程までのような元気はなく、疲れ切った体を引きずり、眠い瞼を無理に開けゆっくり、ゆっくりと探し求めた。
10分だろうか、1時間だろうか少女には分からなかった。
だけど、長い時間のその先でようやく休めそうな場所を見つけた。
「はぁ....はぁ...」
とうに限界を超えていた少女が腰を下ろすと、我慢していた眠気が、耐えていた疲労が少女を襲った。
「...もう...いや...。何度目なの...?何度繰り返せば...ーーーを...救えるの...?」
その嘆きは誰へ呟かれたものだろうか?
少女自身であろうか?
助けたい子にだろうか?
はたまた神様へだろうか?
その嘆きを最後に少女のまぶたはゆっくりと、ゆっくりと閉じられていったのだった。
◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾
少女が目覚めたのは人気のない森の中だった。
「...ここは?」
近くには川が流れており、水面を除けばいつも通りの自分の姿が映っていた。
背中まで伸ばした黒いストレートの髪、パッチリと開いた可愛らしい黒目、顔つきはどこか幼さを見せるが、少女は自分自身が嫌いではなかった。
「...夢?じゃないよね?」
少女にはわからなかった。
昨日は特に何かするわけでもなかったため早めに寝たのだ。
だが、目がさめると寝ていたベットも、いつも見ていた天井も、嫌だった勉強をする場所も、何も、何もないのだ。
ただ、パジャマ姿の自分がいるだけなのだ。
「...?」
呆然としていると少女の耳には一つの足跡が近ずいてくる音が入ってきた。
「あ、足音!?ど、どこかに隠れないと!?」
少女は周囲を見渡し隠れられる場所を探した。
だが、その努力は虚しく、少女が隠れられる場所を探し当てる前に足音の人物が姿を見せた。
「あれ?こんな所に女の子?」
肩上まで伸ばした赤茶色の髪、瞳もどこか茶色っぽい感じもする。
そして、見た目は少女と同じくらいに見え、少し汚れた服を着ていた。
「こんなところで何してるの?」
赤茶色の髪の少女が近ずき問いかけた。
「あ、え...っと...道に迷った?」
「道に迷った?どこから来たの?」
「日本...です...」
「にほん?にほんって何処にあるの?」
「日本は国名ですよ」
「国名?うーん、どこだろ?私は聞いたことないな」
「聞いたことない?だ、だったらここはどこなんですか?」
「ここ?ここは首都『ディラーミング』からちょっと離れた『ザイト』って村だよ」
「『ザイト』?」
少女にはわからなかった。
相手は日本を知らず、自分はこの少女の村の名前を知らない。
「あ、私ーーーって言うんだよ。よろしくね!」
ーーーは不安で、困惑する少女に笑顔でそう言った。
「あ、すいません!私は七草 千代です」
「え?苗字?もしかして貴族様!?」
少女...千代の名前を聞いたーーーは跪ずいた。
「え?えぇ?」
「貴族様とは知らずご無礼を働いてしまいました!どうかご寛大な配慮を!」
「あ、あのちょっと待って...」
「どうか!」
「だから!」
ーーーの話を聞かない姿勢に困惑した千代はつい大きな声を出してしまった。
「ヒィ!」
「あ、ごめんなさい...」
「い、いえ...」
「あのね、私の国では皆んな苗字を持ってるの」
「...え?」
「だからね、私だけが特別ってわけじゃないし、貴族じゃないから頭をあげて」
「...ほんと?」
そう言いながらーーーはゆっくりと頭をあげた。
「こんなことで嘘言ってもしょうがないふぇしょ?」
「....わかった。...ごめんね」
「私もよく知らなかったし、いいよ」
「ありがと...。...ってなんか恥ずかしいな!」
先ほどの態度や言葉遣いを思い返したのだろうーーーは急に赤面し両手で顔を覆い千代に背を向けた。
「...ふふ、確かにさっきのーーーちゃんの動きはすごかったよ!」
「な!?ち、千代ちゃん!?もうぶり返さないで!」
「ふふふっ」
「ぷぷぷっ」
2人は互いの顔を見つめると不思議と笑っていた。
そして、少女達は互いの持つ故郷の話、日常的なことを話した。
自慢も、後悔も、幸福も、苦痛も。
少女達の笑顔が消えることは日が暮れ始めるその時まで一度もなかった。




