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壁越しの二人   作者: 雄たけび巨人
第1章 壁越しの本音
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幕間 『告白』


彼が私の部屋のドアを開け放ってやってきた。誰だろうと、私はすっかり重くなっていた体を持ち上げた。立ち上がるのも面倒だった。まぁ、適当にあしらって帰ってもらおうと思い、ドアへと向かう。私はすっかり油断していた。


 スコープから覗くとそこには、ジャージ姿の一人の青年が立っていたのである。何かの勧誘の類だろうなどと悠長なことを考えていたが、私はもっと考えるべきだったのである。その青年がどこから来た人なのか、誰なのか、少し考えれば分かるはずだったのである。そう、私はすっかり油断していたのである。


 外開き式のドアを開け、少しの間があったけど、私は胸倉を掴まれた。そこで、なぜか分かってしまった。雰囲気、ううん。もう今となっては良くわからない。ただ思ったことは。


(……ああ、そんな顔だったんだ)

 それだけ。だけど、彼から放たれる一言一言は、とても痛くて、だけども言われた後は、少し軽くなる。そんな感じだった。不思議な感じだった。

 

 彼が眠り、また、部屋には一人。だけど、彼は言ってくれた。一人じゃないって。だから、今回は、今回だけは甘えたかった。彼の優しさに。


 いつ終わるかわからない甘い幻想を私は受け入れた。


 だけど。


 神様、嘘つきな私をどうか許してください。

 私は、これからも嘘を突き通していくでしょう。

 でも、それがきっと最善の選択なのです。

 だから、私は今のままで構いません。

 ただただ、生きるだけの人生で構いません。

 望みなど叶わなくていいです。

 だから、これ以上夢を見せないで。

 

 彼を、私に近づけないで。


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