幕間 『告白』
彼が私の部屋のドアを開け放ってやってきた。誰だろうと、私はすっかり重くなっていた体を持ち上げた。立ち上がるのも面倒だった。まぁ、適当にあしらって帰ってもらおうと思い、ドアへと向かう。私はすっかり油断していた。
スコープから覗くとそこには、ジャージ姿の一人の青年が立っていたのである。何かの勧誘の類だろうなどと悠長なことを考えていたが、私はもっと考えるべきだったのである。その青年がどこから来た人なのか、誰なのか、少し考えれば分かるはずだったのである。そう、私はすっかり油断していたのである。
外開き式のドアを開け、少しの間があったけど、私は胸倉を掴まれた。そこで、なぜか分かってしまった。雰囲気、ううん。もう今となっては良くわからない。ただ思ったことは。
(……ああ、そんな顔だったんだ)
それだけ。だけど、彼から放たれる一言一言は、とても痛くて、だけども言われた後は、少し軽くなる。そんな感じだった。不思議な感じだった。
彼が眠り、また、部屋には一人。だけど、彼は言ってくれた。一人じゃないって。だから、今回は、今回だけは甘えたかった。彼の優しさに。
いつ終わるかわからない甘い幻想を私は受け入れた。
だけど。
神様、嘘つきな私をどうか許してください。
私は、これからも嘘を突き通していくでしょう。
でも、それがきっと最善の選択なのです。
だから、私は今のままで構いません。
ただただ、生きるだけの人生で構いません。
望みなど叶わなくていいです。
だから、これ以上夢を見せないで。
彼を、私に近づけないで。