☆歌
琴平と闇命君と話し合っていると、襖の方から声が聞こえた。着換え終わったみたいだな。
「どうぞ」
紫苑さんが返事をすると、襖な開かれ、新しい服を着た紅音と夏楓が入ってきた。
わぁ、やっぱり元が綺麗だからか、見惚れてしまうなぁ。
紅音は、赤色を主体なんだな。赤色のノースリーブのインナーに、着物。
なんで、着物が下がっているのか。肩が、肌が見えているぞ。筋肉質な上腕二頭筋が……さすがです。男性二人を軽々持てるんだから、そうだよね。
足元も着物を上げ、中には動きやすそうな七分のズボン。
夏楓の方は、女性用の袴を軸にしたような服だ。
袖はすごく広くて、薄紅いろ主体。夏楓の見た目にマッチしている落ち着いた大人っぽいデザインだ。
すごいなぁ。こんな服、お取り寄せって……。お金ってどのくらいかかったんだろう。いや、考えなくてもいいな。どうせ、上司なんだから。上司はお金持ってる。これは、どの世界でも共通だろ。
「二人とも、よく似合っているよ」
「うん、似合ってる!」
紫苑さんの次に思った事を言うと、紅音と夏楓は嬉しそうに微笑んでくれた。いや、紅音は少し顔を逸らしただけで微笑んでいないな。でも、少し頬染めてる。
『まぁ、悪くないんじゃない?』
「闇命様! ありがとうございます!」
…………複雑だなぁ。俺も、言ったんだけどなぁ。なんで、闇命君だとそんなに大きく喜ぶのさぁ。俺、泣いちゃうぞ……。
「紅音と夏楓もよく似合っているな。動きやすいか?」
「っそ、そこは問題ない」
「そうですね。動きやすさ等は大丈夫そうです。見た目は重たそうに見えたのですが、実際に着てみると軽く、今までより動きやすいかもしれないです」
夏楓は服の袖や裾に触りながら答えてくれた。動きやすいのなら良かったよ。うん。
…………紅音、耳真っ赤。闇命君と琴平に褒められたんだもんね。そりゃ、嬉しいよね。
闇命君の姿をしている俺が言った時はそんな反応しなかったけどね!!!!
『全員そろったから、明日までに準備を整えてこんな所すぐにでも出て行くよ』
「はい」
「分かりました」
琴平と夏楓、紅音が返事をし、頷き合う。
今日がここに居れる最後か。そう思うと少し寂しい気もするけど、行動を起こすのには早い方がいいし、岱平さんからの連絡もいつ来ていいようにしておかないと。
そういえば、今すぐに出て行くとして、連絡手段って……?
『安心していいよ。こっちから連絡して、漆家に向かう事を伝えるから。どうせ、数日はお世話にならないといけないし、あの陰陽允なら話が通じるから問題ないと思うよ』
「あ、そうなんだ」
そっかそっか、今後の事は少し考えているみたいだ。心配事といえば、夏楓が資料を消化している時に見つけた七人ミサキについてだな。
漆家と仲が良い煌家と話をして、そのついでに七人ミサキについても聞いてみよう。
顔見知りになり、信用してもらいつつ情報を引き出す。闇命君と琴平が居れば問題ないな、俺は無理。
☆
「………んっ、あれ……。夜……?」
いつも通り布団の中で眠りについたんだけど、変な時間に起きちゃった……。
まだ夜中なのかな、外がまだ暗い。
目を擦りながら体を起こすと、隣には鼠姿の闇命君が、体を丸めて鼻ちょうちんを出し眠っていた。
その鼻ちょうちん、割ってやろうか。起きるのかな。
…………起きたら困るからやめておこうか、絶対にうるさい。
「目、覚めちゃったな……」
少し外の風でも当たろうかなぁ。
闇命君が起きないように気をつけないと、グチグチ絶対に文句言われる……。
気をつけながら布団から出て、部屋の外へと向かう。
廊下には人がいない。という事は、朝方とか言うわけでもなく、本当に真夜中なのか。もしかしたら、夜中の二時ぐらいかもしれない。
朝方だったら巫女さん達が慌てて廊下を掃除したり、いい匂いがしてきたりするし、そもそも琴平に起こされるからな。
外に出ると、死神が持っている鎌のような形をしている月が、漂っている白い雲で見え隠れしている。
風が少し冷たいけど、そこまで寒さを感じないなぁ。肌を撫でるような感じで気持ちがいい。
この陰陽寮のいい所は、自然豊かな所だろうな。鳥のさえずりや葉が重なりあう音。
俺がいた世界では、味わうのが難しい自然の音。心を洗い流してくれるような感覚だ。
「…………ん? この声……、紫苑さん?」
なんか、歌ってる?
ここまで読んでいただきありがとうございます
次回も読んでいただけると嬉しいです
出来れば評価などよろしくお願いいたします( *´꒳`* )




