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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第三章 水仙家

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☆自由

 よしっ。体力チャージ完了。今日は紫苑さんに話をするところから始めるとしようか。


 闇命君は俺の肩で寛いでいる。

 もう日常茶飯事だ。問題なし。


 琴平達と合流し、紫苑さんの元へ向かおうとした時、前方から慌てた様子で夏楓が走ってきた。手には大量の資料。


 …………嫌な予感。


「闇命様!! 紫苑さんから任されていた資料を整理していたのですが、気になるものが!」

「えっと、なに?」


 肩で息をしながら、資料を渡してくる。

 久しぶりの再会がこれかよ……。


「これって、七人ミサキ?」


 一枚目には七人の男。僧のような格好で笠をかぶり、錫杖を持って森を進んでいる。


「これがどうしたの?」

「最近、活発に動いているようで……入れ替わりが短期間で何度も起きています」


 七人ミサキ。災害や事故で死んだ人間の死霊。

 一人が成仏すれば、一人が加わる。


 入れ替わりって……?


『出会うと高熱を出して死ぬ。その時に入れ替わるんだよ』

「あ、おはよう闇命君。ありがとう」


 つまり、活動が活発=人が多く死ぬ。

 ほっとけない。


 けど、今は手が足りない。


 ……まずは漆家だ。


『全部に手を出す気?』

「やるよ。七人ミサキは件より危険だ」

『他に任せればいいでしょ』

「依頼はここに来てる。少しは情報を集めないと。それに――いろんな案件に触れた方が、成長できる」


 無茶なのは分かってる。

 だから、ひとつずつ潰す。


「革命、ですか?」

『一度は諦めた。でももう一度やる。こいつもいるしね。夏楓は? 無茶も多いよ。こいつ、馬鹿だから』

「誰が馬鹿だこら」


 ……まぁいい。


 夏楓はどうする。これからは確実にきつくなる。


「もちろん協力します。必ずお役に立ってみせます」


 即答。迷いなし。


『じゃあ、今度は途中で投げないようにね』

「はい!!」


 嬉しそうだな。

 闇命君と一緒に入れるし、実力的にも安心できるんだろう。


 別に、うらやましいと思ってはいないけど……なんかなぁ。


『僕だけじゃないよ』

「え?」


 何が?


「優夏さんも、これからもよろしくお願いします。貴方がいると心が楽になります」

「いや、俺は……助けたいから言っているだけで、別に特別なことは……」


 ……ほんと、それだけだ。


 でも。


 俺、何もできてないな。

 口だけで、全部押し付けてる。


 何のために転生したんだよ。


「その“助けたい”が、私達を救っているんです」


 夏楓が笑う。


「思うのは簡単。でも実行は難しい。でも、優夏さんは行動をしようとしている、心が温かい人。だから、ついて行きたいと思うんです」


 ――まっすぐだ。


 心が暖かい人についていきたい。


 ……分かる。


「ありがとう、夏楓」

「はい!」


 よし。


 七人ミサキは後だ。

 まずは漆家。そして紫苑さん。


 ※


「相変わらずですね……」

「やぁ、待っていたよ。さぁ座って」


 座る場所がないんだけど。


 紙と筆を避けて、なんとか座る。巫女さん泣くぞ、これ。


「漆家の件は聞いているよ。お疲れ様」

「ありがとうございます」

「こちらも話は通してある。すぐ準備に入ろう」


 ……は?


「陰陽頭には話をつけた。君達はもう安倍家を出られる」


 え。


「自由だ。ただし逆に言えば、戻るのは難しい。安倍家からの支援も期待しないでほしい」


 ――マジか。


「ありがとうございます!!!」


 自由。

 それだけで十分すぎる。


 ……どうやったんだよ。


 聞いてもはぐらかされるだろうけど。


 闇命君も驚いている。

 でもすぐに切り替えて――


 俺達は、これからの話を始めた。


 ※


「これから君達は安倍家の人間ではなく、旅人として動くことになる。だから、狩衣など目立つ服装は避けた方がいい。こちらで手配した物を着るといいよ」

「何から何まで、ありがとうございます」

「大変な依頼を頼んでいるからね。このくらいはしないと対等じゃないだろう?」

『確かにそうだね』

「こらっ!」


 紫苑さんは終始、笑みを崩さずに話していた。

 服はすでに琴平達に渡してあり、もうすぐここに来るらしい。


 ……この部屋に? 汚れないか?


『陰陽助、琴平です』

「入っていいよ」


 襖が開き、琴平と紅音が入ってくる。手には袋――いや、風呂敷か。

 夏楓も無事に合流したようで、同じく風呂敷を持っている。


「優夏、話は聞いたか?」

「さっきね」

「ならいい。俺達も陰陽頭から直接話を受けて、これを渡された」


 陰陽頭から直接!?


「ものすごく眉間に皺を寄せていたけどな」

「納得」


 容易に想像できる。

 納得していないだろうし。それでも服を用意してくれるとは……どう説得したんだ。


「早速見せてくれないか。隣が空いているはずだ」


 紫苑さんに言われるまま、隣の部屋へ。男女で分かれて着替える。

 風呂敷を開くと、子供用の服一式。


 ……どれから着るんだ?


 ワイシャツっぽい服に、七分丈のズボン。袖は狩衣みたいに広い。

 着物じゃないのか。というか、この時代にワイシャツ?


「何を固まっている?」

「いや、予想外すぎて……」

「いいから着替えろ。時間がもったいない」

「あ、うん」


 とりあえず中からだな。


 ※


 着替え完了。鏡で確認する。


「へぇ、この時代にこんな服あるんだ」


 袖の広い青い上着に、白いシャツ。七分丈のズボン。

 動きやすいし軽い。肩には可動しやすいように切れ目、腰にはベルト。


 ……ちょっとオシャレじゃない?


「動きやすいな。これ何で出来てるんだろう」

「考えなくていいだろう」

「いや、ちょっと気になっ──こんの、イケメンがぁぁあああ!!!」

「っ、いきなりどうした?」


 琴平。

 服変えただけでモデルかよ。


 青のロングコートに袴。和と洋が混ざった感じ。

 似合いすぎだろ。ずるい。


 ……大人の余裕出てるし。


挿絵(By みてみん)


「とりあえず戻るぞ。あっちも終わっているかもしれない」

「うん……」

「優夏」

「なに?」

「似合ってる。さすが闇命様だ」

「あー……ありがとう?」


 最後の一言で全部持っていかれる。

 苦笑いを浮かべていると、琴平が笑い出した。


「あはは。仕方ないだろ。お前の元の姿知らないんだから」

「まぁ、そうなんだけど……」


 ……仮に俺が着ても、絶対似合わない気がする。

 服に着られるタイプだ。


 そんな話をしながら部屋を出て、紫苑さんのところへ戻る。

 まだ紅音達は戻っていない。


 二人とも似合うんだろうな。絶対。


「おや、終わったみたいだね。うん、よく似合っている。取り寄せたかいがあった」

「ありがとうございます」

「私が着てほしかっただけだからね。女性陣ももうすぐだろうし、楽しみに待とう」

「分かりました」


 ……とりあえず、筆の近くには行かないでおこう。新品が台無しになる。


「闇命様、今後の行動について話したいのですが、姿を見せていただけますか?」

『いいけど、姿は変わらないよ』

「……大丈夫です」


 いや、ちょっと落ち込んでるだろ琴平。

 見たかったんだな、半透明でも。


 今の俺と変わらないと思うんだけど。


 ……まあいいか。


 紅音達が来るまで、今後の話を進めよう。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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