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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 桜桃
第一章 安倍家

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修行終了

「んで、お前は結局誰なんだよ。駄目だぞ、目上の人には礼儀正しくしないと」


 まぁ、今の俺はただの少年だけど。


 なんとなくだけど、この少年と背丈が似てる──というか、まったく同じなんだよな。目線がぴったり合う。


 それに、性格もわがままで自由奔放……。

 あれ、なんか既視感。聞き覚えのある性格。


『あんた、鏡見なかったわけ?』

「鏡? こっちで目覚めてからは見てないけど……」


 なんでいきなり鏡?


『はぁぁぁああああああああ。袖の中』


 なっがいため息と一緒に、袖を指さされた。


 袖の中にまだ何か入ってるのか?


 そういえば、普段着と比べると少し重い気がする。


 今までは色々ありすぎて気にする余裕がなかったけど、改めて意識すると確かに重たい。


『そこに浄化用の魔鏡がある。それで自分の顔を見てみなよ』

「う、うん」


 よく分からないまま袖に手を入れて探る。

 色々触れるけど、魔鏡ってどれだ?


 あ、硬くて丸いものがあった。

 表面もつるつるしているし、多分これだろう。


 取り出すと、見た目は普通の手鏡だった。

 裏には白と黒の勾玉が組み合わさった模様が入っている。


 これって陰陽師の印だったりするのか? 詳しくは分からない。


 とりあえず鏡を見る。


「…………え?」


 目の前で不機嫌そうな顔をしている少年と、鏡に映る自分の顔を何度も見比べた。


 何度も、何度も。

 確認するように。


 だって──鏡に映る顔と少年の顔が、


「まったく、一緒?」

『やっとわかった? 僕は安倍闇命(あべのあんめい)。あんたが今、依代として使ってる、天才陰陽師様だよ』


 鼻を鳴らしながら、少年──もとい闇命君がドヤ顔を向けてくる。


 いや、いやいやいや!!!


「どゆこと?! どうして俺が目の前にいるの!?」

『“俺が”って言い方は違う。それは僕の体だよ。そして今の僕は、鼠を利用して姿を保ってるだけ』

「鼠?」


 鼠なんていたか?

 まるっきり記憶にない。


 見回しても穴なんて見つからない。

 まぁ、暗いから見えないだけかもしれないけど。


 あ、いつの間にか雷火がいなくなってる。

 だからまた部屋が薄暗くなってたのか。


『僕は悪霊退治の際、大怪我を負うほどの攻撃を受けて結界を張った。その時、何となく“何か”を感じたんだよ』

「何か?」

『そう。それで僕の脳が訴えてきた。“自身の魂を安全な場所へ”ってね』

「なにその非現実的な現象」

『黙って聞いてろよ』


 えぇ……スイマセンデシタ。


『それで瞬時に周りを見て、依代になりそうなものへ意識を集中させた。無事に魂を移すことには成功したけど、その時点で力が切れて結界は簡単に砕けた。僕はそのまま攻撃を受けて意識不明。すぐ戻れると思ったのに戻れない。だから君をここへ呼んだ』


 説明はしてくれた。

 でも、天才の言うことってやっぱり分からない。


 脳が訴えたって、何。


『よく分からないって顔してるね。でも結果的には良かったじゃん。僕がいなかったら水人にやられてたわけだし』

「そもそも君が俺を呼ばなければよかったのでは? まぁ……感謝はするけど……」


 納得はできない。

 けど今は、受け入れるしかないらしい。


 凡人には理解できない話だ。


「はぁ……」


 頭を抱えた、その時。


 部屋の襖が開いた。


 眩しい。


「闇命様、ご無事で何よりです」

「あ、琴平だ」


 琴平が安心したような顔で近づいてくる。

 心配してくれてたんだよな。なんだか嬉し──


「おい、闇命様の体に傷を付けなかっただろうな」

「……ダイジョウブカトオモイマス」


 低い声で脅すように囁かれた。

 目つきが怖い。青い瞳が鋭く光って、背筋が冷える。


 ……あぁ、なるほど。


 ()の心配じゃなくて、()()()の体の心配だったのか。


 うぅ、ちょっと悲しい。俺も頑張ったのに……。


 琴平の圧に耐えていると、襖の向こうからあのじーさんと厳格男も入ってきた。


 あ、分かった。


 さっき小声だったのは、この二人に違和感を持たせないためか。


「どうにかなったらしいな」

「お陰様で……」


 何度か死にかけましたけどね。


 文句は山ほどある。

 でも立場上言えない。


 なんとか飲み込んでいると、琴平が俺の足元を指さした。


「闇命様、その足元にいる生き物は何でしょうか?」

「え、足元?」


 ――――あ。


 もしかしてこれが、闇命君の依代になってる鼠か。

 その場でじっとしていて、ほとんど動かない。


 そういえば、さっきまで立っていた闇命君の姿が消えてる。

 鼠に戻ったってことか。


 そっと拾い上げて手のひらに乗せる。

 鼠ってもっと苦手だったけど、こうして見ると意外と可愛い。


 頬を緩めて見ていたら──


 がぶっ。


「いった!!」

「闇命様!? お怪我はありませんか?!」

「だ、大丈夫だよ、琴平!」


 こんの。

 やっぱりこいつ、さっきの餓鬼だ。


 俺の指を噛みやがって……。

 睨むと、鼠は不機嫌そうにそっぽを向いた。


 こいつ……。


「ひとまず、今日の修行は終わりだ。後はいつも通りに過ごすがいい」


 拳を振り上げかけたところで、じーさんが淡々と言った。


 これで修行は終わり。

 この後は自由行動らしい。


 ……案外ホワイトなのか?


 じーさんはそれだけ言い残し、厳格男と一緒に去っていった。


「────はぁ。おい、本当に怪我はないんだろうな。闇命様の体を傷つけようものなら、ただじゃ済まさんぞ」

「心配いらないよ。琴平が大大大好きな闇命様に助けられたからさ」


 鼠を差し出しながら言うと、琴平は首を傾げた。


 まぁ、当然か。


 さっきまでの出来事を簡単に説明する。


 その間、琴平は何度も表情を変えながら聞いていたが、最後には渋い顔で考え込んでしまった。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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― 新着の感想 ―
[良い点] ここまで拝読いたしました! 陰陽師ものはなかなか手に取らないので、新鮮な気持ちで読んでいます! 靖弥と闇命のバディものなのか、二人の掛け合いが楽しいですね。 まだ序盤なのでわかりませんが、…
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