怒り
…………はぁぁぁぁあああああああ。
疲れるなぁ。本当に、疲れる……。
この世界に転生してきてから、休む暇がないん。
水の化け物と戦わされたり、村の火事について調べたり、猫を捕まえたり、友人の靖哉と出会ったり。
闇命君みたいに、一番最適な行動が出来れば、もっとスムーズに物事を進められたのかなぁ。
まぁ、一番最適だったとしても、人の犠牲から成り立つ最適解なのなら嫌だけど。急がば回れ精神で行くわ。
「とりあえず、魔魅ちゃんが落ち着くまではここにいようか。一人になんて出来ないし。琴平も疲れるだろうから、タオルとか持って来た方がいいかも。あと、目を覚ました時、お腹空いているかもしれないから、お腹に優しい物とか準備しておこう」
そういえば、熱出た時、お母さんがよくリンゴを剃ってくれてたなぁ。それか、うさぎさんにカット。
もう高校生なんだからうさぎさんカットはやめてと言っても聞いてくれなかった気がする……。
「あっ……。良かった」
琴平が冷やし続けてくれているおかげか、少し呼吸が落ち着いてきたように見える。
それでも苦しそうだけど……。
早く、良くなるといいね。
頭を撫でていると、後ろからの視線が背中に突き刺さる。な、なんですか。
振り向くと、何故か紅音、闇命君が俺をジィっと見ていた。プラス、前からは琴平の視線。いや、なに。
「手馴れていると思ってな」
「ふんっ」
『変なの』
おいこら、それはどういう意味だ。
いや、琴平のは褒め言葉として受け取るとして、他の二人はなんだ。その、不満そうな顔。おいっ。
ん? 闇命君がいきなり俺の方に近寄ってきた。
なんですか、まだ文句がありますかこの野郎。
『ひとまず、看病は琴平と紅音に任せるとして、僕達は僕達で動くよ』
「え、でも件はまだ……」
『事前準備が大事なんだよ。もしかしたら明日には復活しているかもしれないでしょ。早めに考えておくに越したことはない』
まぁ、そっか。
早めに考えて、いつでも動けるようにしておいた方がいいかもしれないね。
「分かった。琴平、紅音。魔魅ちゃんをお願い出来る?」
「問題ありません」
「お任せ下さい」
良かった。まぁ、闇命君直々の司令だからね。断るわけが無いか。
『主』
「あ、百目は一度御札に戻そうかな。なんか、都合よく使ってごめんね」
『それが、我々の使命です』
短く言うと、百目はそのまま御札へと戻っていく。ついでに、座敷童子にも戻ってもらって、闇命君と共に廊下に出た。
広さ的には安倍家とさほど変わらない。
違うところをあげるとしたら、明るさかな。
蝋燭が立てられているのは変わらないけど、数が多いからか、足元とかよく見える。
壁には絵画が飾られ、オシャレな感じだ。
安倍家もこんな感じにしたらいいのに。
周りを見ながら歩いていると、闇命君がいきなり道を逸れてしまう。
え、どこ行くの?
まっすぐ進んでいると、左側に曲がり角が現れて、闇命君は迷わずそちらに向かってしまった。
慌てて追いかけ聞いてみるけど、意味は無い。無言のままスタスタと歩いてしまう。
おいおい……。無言を貫き通すスタイルやめた方がいいって。嫌われるよ?
いや、闇命君はそんなの気にしないか。
呆れ気味に歩いていると、女性の話し声が聞こえてきた。
二人で何かを話しているみたいだ。
一体、何を話しているんだろう。
歩き続けていると、徐々に声が大きくなる。
闇命君が気づかれない場所で立ち止まり、耳を澄ませる。
堂々と盗み聞きするつもりだこの少年……。
まぁ、気にならないと言えば嘘になるから、何も言わないよ……、うん。
同じく耳を澄ませていると、内容がやっと聞こえてきた。
『陰陽頭様が倒れて、運ばれたらしいわよ』
『えぇ。しかも、顔のアザが無くなっておられたわ。あれって……』
『そうよ。きっと、もう陰陽頭様は呪いを扱えなくなってしまったのよ。私、聞いたことがあるわ。あの顔の痣は、呪いを扱うための制御術だと。もし、あの痣がなくなっってしまったのなら──』
『もう終わりかしら。ここも』
『そうね。元々、あんな子供が陰陽頭だったのがおかしいのよ』
『本当よね。何を考えていたのかしら』
そのまま女性二人は、その場から俺達とは反対側へと歩き去って行く。
ふざけっ──……
『落ち着け優夏。取り乱すな』
「……取り乱してない」
『その割に、声は怒りで震えているし、拳を握っているように見えるけどね。とりあえず、一回落ち着いて。あんなので怒っていたら、この先血管破裂するよ』
……………ふぅぅぅううう。
確かにそうだな、落ち着かないと。
冷静になれ俺。こんなの、この世界なら当たり前なんだ。
当たり前なんだよ。だから、こんなことで取り乱すな。
「はぁ……。なぁ、どの陰陽寮もこんな感じなのか?」
『力が全てと考える人達の集まりだからね。でも、僕は他の陰陽寮には行かないから詳しく知らない。それだったら雨燕か琴平に聞いた方がいいよ』
「そうか……」
やっぱり、この世界は、理不尽だ。
「もうそろそろ、潮時かな……」
『優夏?』
胸が苦しい。まるで、大きな手が俺の心臓を握り潰そうとしているような。そんな感覚がある。頭に血が登っているのがわかる。
もう、限界。ここで、仕掛けてやるよ。
俺の覚悟、誓いを。
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