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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第二章 死絡村

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我慢

 ペア分けはこうなった。


 陰陽頭の調査:村長、雨燕さん

 件:琴平、紅音

 その他:闇命君、俺


 …………その他ってなんだよ!!!!


 それに、一瞬なぜか雨燕さんは闇命君を件から外すのを渋ってたし、闇命君は闇命君で顔を逸らしているし……。


 まぁ、いいや。つっこむとめんどくさい。


「琴平、これから紅音を呼びに行くの?」

「そうだ。また怒ってしまうだろうからな。足の怪我もあるし、本当は休んでほしいが、これ以上仲間外れにすると泣いてしまう」

「泣く!? 紅音が!?」


 強気な印象の紅音が泣く?

 何があっても泣かないイメージなんだけど……。


「紅音はさみしがりやな一面があるからな。難しそうだったらすぐに引くつもりだ。無理だけはさせない」

「琴平も無理しないでよ?」

「…………」

「返事」

「わかった」


 んー、本当かなぁ。

 目は合わせないし、顔は逸らすし。信じられないんだけど?


 ここで気にしても変わらないだろうし、これ以上は言わないけど……なんだかなぁ。


『よし、行くよ』

「え、どこに?」


 話の切りがいいところで、闇命君が誰よりも早く動き出した。


「闇命様、一体どちらへ?」

『どっか』

「……闇命様も危険な真似はやめてくださいね。闇命様なら大丈夫ですが、優夏は心配なので」


 ごもっともですよ、もっと言ってください琴平様。

 俺は本当に役立たずなので。


『僕が近くにいるから問題ないよ』

「分かりました。ご無理だけはなさらぬようお願いします」

『お互い様って言葉を琴平に送るね。絶対だから』

「……はい」


 渋々頷く琴平。俺の時と反応違うんだけど、かなちぃ。


 その後、闇命君と琴平が目を合わせて頷き、そのまま行ってしまう。

 俺も追いかけようとするが、雨燕さんに肩を掴まれた。


 な、なんですか?


「闇命からは何があっても離れるな。いいな」

「え、あ、はい」


 そう言うと雨燕さんは手を離し、「ワシらも行こう」と村長に声をかけた。

 ……なんなんだろうか、一体。


『早く来てよ』

「あ、うん」


 下から怒りマックスの声。やべっ、急がないと毒舌が飛んでくる。

 下まで降りて合流すると、闇命君は何も言わず歩き出した。


「え、ちょっと。何を考えてるのか教えてよ」

『まだ、セイヤが近くにいるはずだよ』

「…………え、なんで靖哉が?」


 ど、どういうことだ?


『セイヤだけじゃないけどね』

「いや、本当にわかんないんだけど」

『あいつ、お前を分かってるよ』

「…………え?」


 意味が分からない。


 俺を知ってる?

 それなら、なんで俺を──闇命君を殺そうとするんだ?


 靖哉は、そんなことをする人間じゃない。


『一旦戻る』

「え? あ、そっか」


 村の中では目立つから、鼠の姿に戻る。

 肩に乗せて歩きながら、これからのことを聞いた。


『これから僕達は漆家へ向かう』

「え、雨燕さん達と合流するの?」

『いや、別行動。琴平から連絡が来たらすぐ向かう必要があるしから合流はめんどくさい』

「琴平からの連絡?」


 そんな話、してたっけ?


『そこは僕が把握してるから問題ない。漆家に行って、セイヤと一緒にいるであろう蘆屋道満を見つける』

「な、なんで?」

『漆家の呪いは特別だからだよ。他の陰陽寮では使いたがらない術を平然と扱うし、必殺呪術──摧魔怨敵法も使える。狂ってる奴なら欲しがるのが当然だ』


 ……確かに、道満ならやりかねない。


「じゃあ、魔魅ちゃんは自分からいなくなったんじゃなくて、攫われたってこと?」

『十中八九ね』

「でも、それならもうこの近くにいないんじゃない?」

『あの二人に普通は通じないよ』


 その言い方は、冗談じゃない。


 また戦うのか。

 また危険な目に遭うのか。


 話し合いで済む道は──


『我慢だよ、優夏』

「っえ、我慢?」

『今はね。でも必ず取り戻す。僕がそう言ってるんだから、お前はそのままアホ面晒して待ってればいい』


 あ、アホ面……。

 でも、不思議と安心できた。


 この人は嘘をつかない。


「というか、どこに──」


 ん?


『……森に行こうか』

「うん」


 何かを感じた。

 視線でも、殺気でもない。


 でも、確かに“いる”。


 ※


 村の外、森の中。

 半透明の闇命君と歩く。


 カサカサと音が鳴るたび、緊張が増していく。


 さっきの気配が、近づいている。

 相手は動いていない。このままなら──


「────え」


 草をかき分けた先にいたのは、倒れている少女。

 漆家の陰陽頭、漆魔魅だった。


「え、ちょ、大丈夫?!」


 急いで駆け寄り、体を支える。

 小さくてうまく抱えられない。


 頭を支えて、膝で体を支えるのが限界だ。


「おい! 大丈夫か?! おい!!」


 反応がない。揺らしても変わらない。


 どうすれば──


『大半の呪いが消えてる』

「…………え」


 黒い痣が、ない。

 あれだけ体を覆っていた痣が、綺麗に消えている。


 ――カサッ


「っ、誰だ!!!」


 確かに音がした。

 だが、見回しても誰もいない。


『……遅かったみたいだね。でも、道は示してくれた』

「どういうこと?」

『わからないわけ?』


 いや、分かるわけないだろ。


『目的は魔魅の力、それと僕達の排除。村を観察してたのがその証拠だ』

「そ、そうなんだ……」


 ……ん?


 水色の蝶が飛んできた。

 光を反射して、やけに綺麗だ。


『琴平から連絡だ。行くよ』

「あ、これが?」


 ――って、平然と行こうとするけどさ!!


「ちょっ、この子どうするの?!」

『放っておけばいいでしょ。どうせ雨燕達が来る』

「駄目だって!!」


 こんなところにこんな小さな女の子を残すなんてできない。

 まだ、危険は残っているかもしれないんだから。


『なら運べるの?』

「百目に頼む」

『また眠くなっても知らないよ』

「ここに置くよりマシだよ」


 百目を呼び出す。


「この子、頼める?」


 頷いた百目が、魔魅を優しく抱き上げる。


『じゃあ行くよ』

「うん」


 そのまま宿へ向かう。


 百目には、雨燕さん達のところへ連れて行くよう頼んだ。

 すれ違ったら面倒だからな。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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