気づかれずに
聞きこみ調査に一区切りをつけ、今は宿屋の一部屋で休憩中。
畳部屋だから、畳の匂いが部屋に広がってる。
広さで言うと二十畳。四人が泊まるには充分の大きさ。
紅音は女性だから他の部屋にと思ったんだけど、本人が「部屋に一人か」と。
ものすごく落ち込んでしまった為、琴平も苦笑いを浮かべつつ、一緒の部屋に泊まる事になってしまった。まぁ、何もないと思うけど。
「今日は成果という成果はありませんでしたね。明日も聞き込みを致しますか?」
「今日と同じ事を繰り返すだけだろう。意味は無い」
「だったらどうするわけ? 何か案あるの?」
闇命君や、上司なんだからそんな口調はやめようよ。俺が緊張するからさ。言っている俺が緊張するからさ。耳元で囁かないで、俺の自由に話させて。
「そういうぬしは、何かあるのか。口で文句を言うだけではなく、考えてみろ」
「村の人に気づかれないよう怪しい所を直接見たいかな。その方が手っ取り早いしね」
一言一句間違えないように気をつけながら言っていると、琴平が口を開いた。
「ですが、村の人に気づかれないようには難しいかと。小さな村なだけあって、四方に目があります」
「問題ない。こっちの方が一枚も二枚も、百枚も上手なんだから気にする必要性皆無」
…………俺の台詞じゃありませんからね?!? 断じて!!! 俺ではない!
だからお願いします。青筋を立てないでください雨燕さん!!! むかつきますよね分かります!!! 俺もムカついております!!
「そこまで言うのなら、ぬしの作戦に乗ろう。もし失敗すればどうなるか……分かるな?」
怒ってる。確実に怒ってます。
額に青筋を浮かばせ、鋭く冷たい眼光で見下ろしてくる。
頷くしか、今の俺に残された選択肢はなかった……。
ずっと黙っていた紅音がこの時だけは怒りを露わにし、握り拳を小刻みに震えさせている。
よく我慢したね、偉いぞ紅音。
※
今は夜中の二時くらいだろう。
布団で眠っていると、なぜか琴平と闇命君に起こされた。
琴平は優しく揺すって起こしてくれようとしたけど、闇命君が容赦なく耳を一噛み。一気に意識が覚醒したよこの野郎。叫んだらどうしてくれるつもりだったんだ。
「痛い……」
『間抜けに寝こけているのが一番悪い』
「いや、こんな時間。普通寝てる時間だからね」
『話聞いてた? 村の人に気づかれないように井戸を調べる必要があるの。分かる? 普通、人が出歩かない時間を狙うって考えない? 馬鹿だからそこまで思考が回らなかったわけ?』
「あぁ、ナルホドネー。ワカッタヨ」
とりあえず、周りの人に気づかれないように井戸へと向かわないといけないのね。
今は俺と闇命君、琴平が一緒だけど。雨燕さんはどうするんだろう。
「雨燕さんは──」
『あいつは外に出てるはずだよ。まとまった行動は目立つからね』
「たしかに。二人でも目立つ可能性がっ──すいません」
冷ややかな視線が…………いや、だって。闇命君は頭数に入れなくてもいいじゃん。どうせ、俺の肩の上で寛ぐくせに。
琴平も呆れたような顔を向けないで。
闇命君の冷ややかな視線だけで充分だよ。
とりあえず、聞き込みしている際に村の中は把握出来たし、出来るだけ近道して、村の人の目を掻い潜って井戸に向かおう。
「あ、そういえば紅音は……起こすのも可哀想だし、大丈夫か」
ごめん、紅音。大人数だと目立つという理由で今回は寝ていてくれ。
布団の上で気持ちよさそうに寝ている紅音を起こすなんて、俺には出来ない。
※
「…………どうすればいいの、これ」
「さすがに予想外だな」
『ババァはババァらしく、早寝早起き朝ご飯をしっかりしろよ』
「口は悪いけど、言っている事は正しい闇命君」
長屋を使い、隠れながら移動していたんだが、目的である井戸の周りに二人の人影があって近づけない。
あれが本当の井戸端会議。なぜこんな時間に……。
「というか、ババァじゃなくて、ジジィじゃないの、あれ」
「優夏よ。口が悪くなっているが大丈夫か?」
「あ、やべ。つられた」
まぁ、良いか。関係ないし。
あの二人がどこかに行ってくれないと調べたくても調べられない。それに、こんな所で待っていると、他の人に見つかる可能性が……。
うぅ、早くどっかに行ってくれ……。
「って、あれ? 井戸の中に入った?」
『入ったね。やっぱり、中はただの水じゃないみたい』
「そのようですね、行きますか?」
琴平が闇命君に聞くと、頷いた。
『周りに気をつけながらね』
闇命君の言葉通り周りを見て、人が居ないか確認する。
月明かりのおかげで、少しだけ辺りが見やすいな。
今は俺達しか外に居ないみたいだし、今のうちに井戸の中に入って、何が隠されているのか見つけよう。
足音に気をつけながら井戸に近づくと、木の板で蓋がされていた。
それを開け中を覗き込むと、そこには縄ばしごが引っかかり揺れている。
「これを使って下に行ったのか」
『僕達も行くよ』
「あ、はい」
闇命君が琴平を見ると、直ぐに動き出した。
琴平が先行し、その後に俺が降りる。
「なんで琴平が最初?」
「もしもの時、闇命様の体を受け止められるからな」
なるほどね。俺が足を踏み外したりしても、琴平がそれをキャッチしてくれると。それは安心だ。
それでも落ちないように気をつけながら、井戸の下まで降りた。
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