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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第二章 死絡村

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死角からの──

「死絡村は、そこまで大きな村ではないはずです。何度か依頼で行きましたが、違和感などは感じませんでした。活気のある良い村でしたよ」

『表面上だけならいくらでも見せられる。仮面を被れば、悪い奴も良い奴に見える。目だけでの判断は大きな見落としを生むよ』

「そうですね、失礼しました」


 見た目だけだったとしても、琴平がそう感じているのなら、一応は活気のある村なのか。

 なら、話を聞いてくれる人も多分いるよな。村長とかに話を聞けたら一番いいと思うんだけど。


「死絡村に行く事自体は可能なんだよね?」

「闇命様がここから出られるようになったからな。道のりや手段などはどうにでもなる。心配するな」

「なら、まず行かないと表面上の村しか分からないし、行こう。呪いの回避方法とか、浄化とかも。万が一に備えて色々準備した方がいいかな?」

「そうだな、いろいろ準備しよ。万が一に備えるのは悪くない」


 そんな事を話し合い、今日は解散となった。

 紅音は途中から鼻ちょうちんを膨らませ、座りながら目を瞑っている。


 うん、確実に寝てました。


 ※


 それから数日後、陰陽助である雨燕さんの準備がやっと整ったらしく、俺達三人は死絡村に向かうため馬車に揺られていた。


 自然豊かな道。周りには緑が広がり、太陽の光が隙間を縫って俺達を照らしてくれていた。


 そんな景色を楽しみたい道を、優雅に馬車に揺られているんだけど、空気が重たい。


 俺の両隣には当たり前のように琴平と紅音が守るように座り、向かいには雨燕さんが腕を組み、目を閉じながら座っている。


 いや、普通は二人ずつで座らない? なぜこんな偏った座り方に……。


 まぁ、隣に座りたくないんだろうなぁ。気持ちは分からなくもない。


 分からなくもないけどさぁ。

 この沈黙、どうにかならない? めっちゃ空気が重たいよ!!


 ――――ちょ、誰か喋ろう!! なんでもいい。なんならしりとりでもいいから、誰か話さない?!?!


 重すぎる沈黙に耐えられないんだけど!

 闇命君は俺の肩で寛いで鼻ちょうちんを出しているしさ!!!


 なんで俺がこんなに気まずくならないといけないんだよ!!


 理不尽な怒りを堪えていると、琴平が外を眺めながら眉を顰め始めた。

 雨燕さんも腕を組みながら難しい顔を浮かべる。


 何も分かっていないのは俺と紅音だけ。

 なんでそんな顔をしているんだろう。


「…………気づいておるな」

「はい。この気配……近いですね」

「うむ。ぬしも気づいているだろう?」

「え、いえ。まった──あんたに気づいて僕が気づかない訳ないだろ。心配無用だよ」


 …………はぁ、何かに気づいたのね、闇命君。


 噛む前に教えてよ。思わず叫ぶところだったよ?

 今回は甘噛みだったから叫ばずに済んだけどさ。


「なら、良い」


 あ、これで会話が終わりか。

 一体、何に気づいたんだ。


「妖の気配が近づいている。そこまで強くないが、警戒はしておけ」


 琴平が気を利かして教えてくれた。


 なるほど。…………ん? 近づいてる?

 え、近づいてるって、まさかこっちに妖が向かってるの?!


 ――――――――ズドンッ


「────なっ?!」


 体に重い圧が……っ! 急に、なんだこれ!!


 横目で琴平達を確認すると、俺と同じく体に圧がかかっているらしく、歯を食いしばり汗を流し耐えていた。紅音も、雨燕さんも。


 体が重い、座っているのがやっとだ。汗が流れ落ちる。

 なんだこれ、なんなんだよこれ!!


 ────右だよ


 頭の中に突如として聞こえた甘い、優しい声。これは、安倍晴明さんの声だ。


「っ!」


 言われたまま、咄嗟に右に結界を張る。


 ────バンッ!!!


 何かが破裂した音。赤い何かが放たれたのか、結界にぶち当たった。


 今のって、炎……?


 これ、確実に俺達を狙って妖か陰陽師が放った攻撃……だよな……? なんで……。


 御者席に座っている人が慌てて馬車を止めた。そのタイミングで俺達は外に出る。


『あっちの方に微かな式神の気配を感じる』


 闇命君の視線の先は、道が無い森の中。

 俺達に気づかれないように、森に囲まれた場所であえて奇襲を仕掛けたな。


『…………行くだけ無駄だね。もう遠くまで移動している』

「気配は感じるんでしょ? まだ間に合うんじゃ……」

『時間の無駄だよ。何か目的があるのならまた来るでしょ。その時、返り討ちにすればいい』


 こういう時、闇命君はいつも冷静だなぁ。

 琴平も俺達の会話は聞こえていたらしく、雨燕さんを説得し、何事も無かったかのように馬車へと乗り込み、死絡村へと向かい始める。


 何となく気がかりだけど、今はどうする事も出来ない。

 目的を達成した後に考えるとしようかなぁ。


『………………』

「ん? どうしたの闇命君。鼠の顔でも分かるほど難しい顔を浮かべてるよ?」


 小さな声で問いかけるも、闇命君は顔を逸らし、また寛ぎ始めてしまった。

 あ、あれ? いつもは倍の言葉で帰ってくるのに、なにもない?


 な、なんだよぉ……もう。

ここまで読んでいただきありがとうございます

次回も読んでいただけると嬉しいです


出来れば評価などよろしくお願いいたします( *´꒳`* )

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