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憑依転生した先はクソ生意気な安倍晴明の子孫  作者: 文月朔夜
第二章 死絡村

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隠し扉

「魔魅(まみ)様。件が保管されている村の村長からお話が──」


 一人の女性が声をかけた場所は、札が貼られた大部屋だった。


 壁際には座布団が寄せられ、奥には仏教や寺院において信仰の対象として安置される仏像──本尊が、金色に輝きながら置かれている。


 その正面に座っているのは、物静かな少女。


 黒く、腰まである長い髪を緩く二つに結び、狩衣を身にまとっている。


「そうか。今から行く」


 声をかけられると、少女は静かに立ち上がり、振り向いた。


 その声は鈴の音のように澄んでいて儚く、今にも消えてしまいそうだった。


 少女の顔の左半分は黒く変色している。

 瞳は藍色に光っているが、生気は感じられず、子供らしい無邪気さは一切感じられない。


「志美津(しみず)。件が死んだか」

「そのようです」

「そうか。なら、また蘇るのを待つとしよう」

「ですが今回は、死(・)ん(・)だ(・)のではなく、死(・)な(・)さ(・)れ(・)た(・)ようです。如何致しますか」


 淡々とした会話の中、その言葉に少女はわずかに片眉を上げた。


「死なされた? ……わかった。とりあえず、件を保管している死絡(しがら)村へ行こう」

「かしこまりました。ただいま準備いたしますので、魔魅様もご準備を」

「ああ」


 二人は大部屋を出て、扉を閉じた。


 並んで歩いても余裕のある廊下を進む。

 その時、目の前に顔を隠した男が二人、突如として現れた。


 まるで空間を切り裂いたかのような出現に、志美津は息を呑む。

 咄嗟に魔魅を背後へかばい、自らが前に出た。


「……貴方達、どうやってここに入ったのですか。お帰りください」

「…………」


 返答はない。


「お帰りください」

「…………」


 再度言い放っても、沈黙は変わらない。


 志美津は苛立ちを覚え、一歩踏み出す。


「お帰りくださっ──」


 その瞬間。


 一人の男が、どこからともなく抜き放った刀を手に、一瞬で間合いを詰めた。


 そして――志美津の心臓を貫く。


 壁も床も、鮮やかな赤に染まる。

 血は広がり、静かに溜まっていく。


 魔魅の頬にも鮮血が降りかかる。


 目をわずかに見開き、後ずさる。

 手が小刻みに震えていた。


「やれやれ。あまり大きな声を出さないでくれよ。バレたら面倒だろう?」


 男は口角を上げ、愉しげに言った。


 志美津の体はぐらりと傾き、そのまま床へ倒れる。

 浅かった呼吸はやがて途絶え、痙攣していた体も動かなくなった。


 男は血に濡れた刀をひと舐めする。


 布の隙間から覗く黒い瞳が、魔魅を射抜いた。


「さぁ、邪魔者はいなくなった。用事を済まそうではないか」


 男の黒い瞳が、魔魅を射抜く。


「君の呪いを、ワシにくれるかい?」


 刀を振って血を払うと、手を差し伸べる。

 しかし、魔魅は青ざめた顔で後ずさるだけだった。


「こ、来なっ──」


 背後に何かが当たる。


 振り向くと、もう一人の男が立っていた。


 肩を掴まれ、動きを封じられる。


「セイヤ、よくやった。――それじゃ、君の呪いを頂くとしようか」


 刀を構えた男が、しゃがれた声で言う。

 少女の頭を掴み、にたりと笑った。


 ※


 何度も来ている調書室。

 淡く光る蝋燭は、もはや相棒だ。


『早く調べなよ。余計なこと考えてないで』

「はい……」


 とりあえず、漆家について調べる。


 同じ陰陽師なんだし、多少は情報共有とかあるだろ。

 なかったら本気で詰む。


『漆家の資料は厳重に保管されている。呪いだからね』

「え、それじゃ見れないじゃん」

『忘れてない? 僕の立場』


 ああ、はいはい。

 天才陰陽師少年ね、わかってるわかってる。


『保管場所くらい把握してるよ。僕は闇命様だからね』


 はい、出ました闇命様。


『件の本棚まで行って』

「あ、うん」


 慣れた道を進む。

 蝋燭に手を伸ばそうとした瞬間、止められた。


『ここはいい。灯す必要はない』

「え、でもここ行き止まりじゃ──いだだだだ!! 耳噛むな!!」


 地味に痛いんだってそれ!!


『棚を横にずらして。地下への扉がある』

「なにそれ、かっこいい」


 いや、でも、無理でしょこれ。

 子供じゃなくても、本棚一つを横にずらすとか。


 本、たくさん入ってる棚をずらすとか、無理だろう。


『側面に雷の印があるだろ。そこに雷火の札を当てて』

「なんで雷火?」

『いいからやれ』

「はい」


 ほんと説明雑!!


「これでいいの?」

『法力込めて』

「はいはい」


 札に法力を込める。

 すると、火花が弾け始めた。


 本棚の印も呼応するように光り出す。


 光が、棚全体を包み込んだ。


「な、なにこれ」

『見てれば分かる』


 いや分からんて――


 ――ズズズズズ……


「え、本棚動いた!?」

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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