約束
「──と、こんな感じです」
ひとまず、俺がわかっていることだけ話した。
転生前、靖弥とは友人だったこと。
村で再会した靖弥が別人のようだったこと。
意識を飛ばす前、聞き覚えのない声が聞こえたこと。
話し終えると、闇命君を含め三人は顎に手を当て、黙り込んだ。
今は敵同士だ。友人だったと言われても、反応に困るだろう。
「なるほど。それは少し、めんどくさいねぇ」
はっきり言われた……。でも、俺もそう思う。
敵だけど、友人だ。助けたい。
『本当にめんどくさいね。普通に殺っちゃえばいいじゃん。友人だろうと関係ないでしょ。今は君を裏切ってるんだからさ』
冷たい言葉が、胸に突き刺さる。
痛い……物理で刺されたときより、よっぽど痛い。
「裏切っている、とは少し違うと思うよ、闇命君」
『違う? なんで。結局、殺しに来たじゃん。記憶がないにしろ、名前を呼ばれた時点で、知り合いかもって考えはよぎるはずだ。それでも躊躇なく殺しに来た。裏切っている他に何かあるわけ?』
「――まぁ、今考えても仕方がない。確かめる手段がないから」
その通りだ。
ここで考えても、答え合わせはできない。
「紫苑様、これからどういたしますか」
「そうだね。今は情報が欲しい。しかし──」
言葉が途中で途切れる。
理由は、言われなくても分かる。
ここでは自由に動けない。
外に出るにも制限があるし、紫苑さんと常に一緒にもいられない。
依頼で外に出ても、監視付きだ。
調査なんて無理だろう。
本当に厄介な寮だ。逃げ道がない。
早く改変したい。
そんなことを考えていると、闇命君が琴平を見上げた。
『琴平は外の世界、どのくらい知ってるの?』
「依頼で各地には行きましたが、詳しいわけではありません。終わればすぐ連れ戻されますので」
『ふーん。じゃあ紅音や夏楓は?』
「俺よりは知ってるかと。買い出しによく出ていますし」
『ふーーーーん』
……何を考えてる?
聞いといてそれかよ。
ん? なんでこっち見るんだ。
俺、何も思いつかないぞ?
首を傾げていると、紫苑さんが怪訝そうな顔を浮かべた。
「────闇命君、それは無謀じゃないかい」
『無謀を何とかするのがあんたでしょ。立場、使ってよ』
「無茶を言うね」
……通じ合ってるのか、この二人。
説明なしで進むな、置いていくな。
「……闇命様、まさかかと思いますが、この陰陽寮を出るおつもりですか?」
『それが一番早いでしょ。邪魔が多すぎる。排除するより出た方が楽だ』
――――え、まじか。
ここ、捨てるのか?
でも、それだと残された人は変わらないままじゃ……。
そもそも、当てはあるのか?
『ないよ。だから今すぐじゃない。準備ができるまではここにいる』
「ナチュラルに心を読まれたけど……まぁ、そうだよね」
なら……まぁ安心か。
でも準備って、誰がやるんだ?
……さっきの流れ的に、紫苑さんだよな。
口元は笑ってるのに、顔はめちゃくちゃ面倒そうだ。
というか青い。大丈夫かこの人。
「……はぁ。仕方がないね。協力すると言った以上、やるしかないか」
え、マジで?
断ると思ってた。
「その代わり、複数の依頼をこなしてもらうよ」
「ですよねぇ~」
優しいだけで上司は務まらない。
琴平も闇命君も、揃ってゲンナリしている。
「その依頼、具体的には?」
「これを見た方が早いかな」
紫苑さんは部屋を見回し、何かを探し始めた。
「これじゃない」「あれ、こんな所に」「違うか」
……不安しかない。
「あ、あった。この封筒の資料、まずまとめてほしい」
三つ。しかもパンパン。
少しでも触れると爆発しそう。
「これ、爆発しません?」
「したら拾ってね」
「キヲツケマス」
怖すぎるだろ。
こんな汚い部屋で、爆発した資料を探すとか、冗談じゃない。
「中に依頼内容が入ってる。後回しにしてたのもあるから、全部片付けて」
……全部?
これ、全部やるのか?
琴平と闇命君を見る。
あ、同じ顔してる。終わったわ。
中を確認して、闇命君は震えている。怒りで。
試しに一枚、爆発しないように取り出す。
びっしり文字。逃げ場なし。
内容は──
「猫探し」「子供が泣き止まない」「家の修理」「夜に物音」
いや待て。
陰陽師どこ行った。
猫は自分で探せ。子供はあやせ。家は業者呼べ。
物音はたぶん湿気だ。
「これ、本当に全部?」
「やらなくてもいいよ。その代わり、私は協力しない」
はい出た。
この人、こういうタイプ。
「どうするんだい、優夏君」
「そこで振るのやめてくださいよ……」
……はぁ。
やるしかないだろうがあああああああああ!!
ここまで読んで下さりありがとうございます!
出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!
出来れば☆やブクマなどを頂けるとモチベにつながります。もし、少しでも面白いと思ってくださったらぜひ、御気軽にポチッとして頂けると嬉しいです!
よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ




