二日目・朝
モンハンやってました。
よくよく考えたあるマネキンもあるな。
*あらすじ:魔法訓練場を破壊してしまいました・・・
こっちに来て初めての夜は中々に大変だった。
まず昨日の夕飯時、アリナ含めた彼ら王族たちに揉みくちゃにされたのだ。まぁそれはそれで楽しかったのだが、大変だったのは事実である。
どこから来たとか、好きな食べ物は何だとか、迂闊に答えると少し不味そうなことばかり聞かれたので、内心ひやひやだった。その後彼らの部屋の場所を教えてもらった。暇な時ならいつでも遊びに来ていいと言われたので、そのうち行くことにしよう。
まぁ総合すれば大変だったというのが勝るだろう。だけどこれはあまり大したことではない。一番疲れたのはその後の方。大浴場に案内されたのだが、これが結構な問題だった。
「おや、リュート殿。お背中をお流ししましょうか?」
リンダさんがいたのだ。これだけだったらただの交流会で終わりうるのだが、残念なことにそれだけでは終わらなかった。
あまりこういうことを言うのはよくないのだろうな、でもいうよ。この世界に来た時から薄々わかってはいた。でも確信はしていなかった。でもこの大浴場に来て服を脱いだ瞬間気付いた、生前あった”アレ”がないのだ。もともとアレがあった場所はつるつる、マネキンみたいになっていたのだ。
当然そんなものをリンダさんに見せるわけにはいかないので・・・。
「あぁ、いえ。申し訳ないですし・・・」
可能な限りの遅延行為、しかしリンダさんも中々引き返さない。
「いえいえ、私も貴方様にはかなり失礼な振る舞いをしてしまいました。申し訳無いのはむしろこちらの方です」
その後はいつぞやみたいに同じことの繰り返しである。でもあの時とは違って、今の俺とリンダさんの間にはちょっとした信頼関係が生まれていた気がした。なので少し賭けをすることにしたのだ。
「ところで、なんですけど・・・。この世界で異世界人ってどんな扱いなんですかね?」
どのみち俺が人間か魔人かの判決は、これから下されるのだろう。そしてこのままだと、多分俺は魔人扱いされるはずだ。この世界にもアレはあるのだ、その証拠にリンダさんにはついている。
だったらもう俺が転生してこの世界にやってきたことをカミングアウト、そのまま「へぇ~、転生したら魔人だったんですか。大変でしたねぇ」に持ち込ませた方がまだ助かる可能性があるだろう。
「ふむ。異世界人ですか・・・、確か東の大帝国にはそんな事例がありましたな」
「そうなんですか・・・、ってそれより、その人達ってどんな扱いなんですか?まさか迫害されたりしてませんよね?」
「申し訳ありませんが、帝国の情報は中々頑丈でしてな、異世界人の扱いに関してはよく分かりません。ただ我らの国においては心配いりませんよ」
良かった、それが聞けて安心した。何も心配することなく、話が出来る。
「あの、リンダさん」
「なにか?」
「実は俺、向こうで死んでこっちに渡ってきた異世界人なんですよ」
「・・・なんですって?」
リンダさんが訝しげな顔をしている。でもまぁ無理はないかもな、俺だってそう簡単には信用しないだろう。
「いや、本当なんです。目が覚めたら洞窟にいて、声がする方に駆け出してみたら皆さんが戦ってたんですよ」
リンダさんは未だに何か考え込んでいる様子、信じてもらうのも中々難しいかもな。
「・・・ふむ、俄かには信じがたいですが、貴方がそう言うなら真実なのでしょう」
と思っていたが、思ったりよりあっさり。というのも、どうやら俺の扱いに関して、既に取り決めがなされていたらしい。
「私は貴方様を信用することにしました。それに我らギルレオン王国は、あなた様を国の客として取り扱うことが決定致しましたからな。人間であれ魔人であれ、或いは異世界人であれ、我々の決定は変わりません」
「そうなんですね、良かった。・・・というかいつ決まったんです?」
「ついさっきですな。皆様が夕食をとられている際に」
結構早い決定だな。あっさり決まったわけだ。
でもこれで俺の居場所が出来たわけである。永続的な物かどうかはわからないが、今の俺にとっては一時的な物だとしてもありがたい。
「結構早く決まりましたね」
「そうですね。それはそうと、明日少し頼みたいことがあるのですが・・・」
「構いませんよ、ただそちらから呼び出していただけると助かります」
「もちろんですよ。用意が出来次第お呼びします」
なら問題ないな。
さてと、難しい話はこれで終わり。ちょっとした談笑をして背中を流してもらった後、リンダさんと別れたのだった。
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窓辺から日の光が差し込んでくる、その光を合図に俺の瞳が開いた。そして少し憂鬱な感情を抱きながら、ゆっくりとベッドから起き上がる。
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なんてことはなかった。昨日は一睡もせずずっと起きていた、いわゆるオールってやつである。
昨日リンダさんと別れた後、召使さんがこの部屋に案内してくれたのだが、その時に、
「この城にある蔵書は、自由に持ち出し、閲覧していただいて構いません。ただし規定日までには返却するようにしてください」という連絡を受けたのだ。
せっかくだしこの世界について詳しく知りたいなぁ。なんて考えていたので早速蔵書室から本を何冊か借りてきたのだけど、これが思ったよりも面白かった。
そして時間を忘れて本を読み漁った結果、気が付いたら朝になっていたってわけだ。
ただ今の所、俺の体調に対して特筆するべき異変はない。たまたまなのか、はたまた魔人には睡眠が必要ないのかは不明だが、初めてのオールは・・・、なんというか不思議な気分である。
さてと、それでは一つ、このオールによって得られた情報をまとめてみようか。今回得られた情報は、この世界の生き物の仕組みについての物が多い。周辺風土の情報はわざわざ本で読まなくても、十二分に知識を得られる環境が整っているので、今回は除外した。本当は魔法について調べようと思っていたのだが、いつの間にか横道それて気が付いたらこのジャンルで一日潰していた。まぁ魔法についてはロメオさんに質問してみればいいか。
では、得られた情報を説明しよう。まずこの世界の生物は”物質体”と”精神体”という二つの”体”を手にして始めて生き物として扱うことができるそうだ。
これだけではよく分らないと思うので、この二つをさらに詳しく見てみる。この”物質体”はその名の通り生物の体のことを指す、血肉だとか脳だとか。ただし前述したとおりこの世界では”物質体”だけでは生き物としては扱われない。厳密に言うと恐らく”精神体”が無くても生き物として存在することは可能らしいが、今の所”物質体”と”精神体”のどちらか片方のみを持っている生物は発見されていないらしい。
で、ここからが本題なのだが、この”物質体”あるいは”精神体”と呼ばれるものには”能力”が宿ることがあるらしい。この”能力”の分類は大きく分けて三つ、一応四つあるものの、これは神話の中でしか存在が確認されていないため、実在するのか分かっていないそうだ。
この”能力”の内訳だけど、一番階級が低いとされているのが”基本能力”である。これを入手するのは非常に簡単、多少の錬磨は必要とはいえ大した手間ではないのだ。
その次の階級が”応用能力”、”基本能力”を知り、十分に活用できるものが到達できる境地。その名のニュアンスの通り基本能力の強化版であり、応用版。所有者による特色が強く出始める。具体的には”基本能力”である”剣術”が、成長によって”剛地流”や”柔天流”といった流派に枝分かれするといった感じだ。
”基本能力”に比べると習得は当然難しくなってくる。しかし練磨さえ積めば誰でも獲得できるため、次の階級に該当する”特質能力”に比べると所有者は多い。
ではその”特質能力”なのだが、前述したとおり獲得するのがかなり難しい。積み重なった経験はもちろんのこと、いくつかの”応用能力”と”精神体”の強さも必要となってくる。
”能力”というものは、”物質体”に根付くものもあれば”精神体”に根付くものもある。ただ”特質能力”のほとんどは”精神体”、つまり”魂”から放出されるエネルギーを糧とするため、”物質体”に根付くことはほとんどない。仮に根付いたとしても、”精神体”に根付くそれとは能力の強弱に雲泥の差が生じるのだ。
ちなみに”基本能力”と”応用能力”はたいてい”物質体”に宿る。そこから”特質能力”が”精神体”に移るメカニズムなのだが、”精神体”はもともとエネルギーの塊であり、限りなく飽和に近い状態にある。当然練磨を積むとエネルギーの容量は増えるのだが、ある一定の値を超えるとそれが抑えきれなくなり、エネルギーが溢れ始める。その溢れ出るエネルギーをせき止める役割をするのが、”応用能力”なのだ。
”応用能力”が複数個あれば溢れ出るエネルギーをせき止めることが出来る。そしてせき止められた”魂”のエネルギーと、それをせき止めた”応用能力”とが結合し生まれるのが”特質能力”ってわけだ。
”特質能力”は元となった能力はもちろんのこと、その他新しい能力も付随して生まれることが多い。またその強さも、”魂”のエネルギーを得たことから、”応用能力”との間には大きな隔たりが生じている。最もその隔たりは絶対ではなく、特質能力を持たない人間が、特質能力を持つ人間に勝利したという事案もあるそうなので、油断は禁物である。
なお剣術から派生して生まれる”剛地流”などは”特質能力”への進化がなされると消滅することが知られている。ただしあくまで欄から見えなくなるだけで使えなくなるわけでは無い。剣術は肉体に叩きこむ技能なので当たり前であろう。
また”応用能力”に比べ、生物の根幹に近い”精神体”の影響を強く受け始めることから、”特質能力”は”応用能力”に比べさらに個人個人の特色が強調された物になるそうな。分かりやすく言えば、より自らの望みに適した形へと変化するのだ。
それでは”特質能力”の例、この論文の作者ー名前がないなーが所有している”探究者”を見てみよう。
この能力の内訳は、解析・鑑定、思考加速、統合・分離の三つ。当然”応用能力”の”解析・鑑定”や”思考加速”よりも”精神体”の力を得たことにより強力になっていて、利便性も向上している。
まぁ”特質能力”っていうのは、パソコンのフォルダ名みたいなものだと思ってもらって構わない。若干の違いはあれど、大体仕組みは同じである。
一応これで全部なのだが、先ほども言ったとおり神話の中でだけ、存在が確認されているものがある。
かつて二柱の神が争っていた時代、その神話に登場する伝説の魔人。想像を絶する強さを誇り、二柱の神を屈服させたその”力”を”至天能力”と呼んだ。
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さてさて日も昇り切ったし、何をするべきなのか。そう考えていた矢先、俺の部屋のドアがノックされた。
「はい、どうぞ」
「失礼します」
そう言いながら入ってきた女性は、このお城の召使・・・、というか普段はアリナ専属のお付きであるラトさん。昨日、お城の中を案内してくれたのもこの人である。
年はかなり若い。幼少のころからメイドとしての訓練を積んだらしく、メイドの技能はトップクラス。その腕前はギルレオン三大貴族はもちろん、他国の王族たちの召使ですら霞むほどらしい。
「リュート様、朝食の準備が出来ました」
早いな。この世界の人間って朝方なのか。
いや、単に俺の生活習慣が狂ってただけかもしれないのだが。
「わかりました、すぐに行きましょう」
「かしこまりました。それでは私の後ろに」
それだけ言ってラトさんが歩き出す。毎日毎日遅れないように付いて行ってんな・・・。
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朝食だが思っていたよりもおいしかった、塩だとか砂糖だとかそういった調味料がないと思い込んでいたのだが、その辺はゴケンコウ共和国から輸入しているそう。
どうもゴケンコウは軍事力の生産よりも生活の向上のために生産力を割いているらしく、その辺の産出物において、右に出る国は本土単位で見ても存在しないそうだ。
で、朝食を食べ終わった後俺が何をしているのかというと、昨日俺が問題を起こした訓練場に向かっている。
食事が終わった後にラトさんから、訓練場に行ってくれとの連絡があったのだ。昨日リンダさんから呼び出すかもしれないみたいなことを言われていたので、多分それだと思う。
「あ、リュートさん!!」
「ん、おぉ、ラガルト君じゃないか!!どうしたんだ?」
その道中、城の廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
声の主はこの国の第四王子ラガルト・ギルレオン。昨日の夕べ、一緒に夕飯を食べながらお話していたのだが、その時に意気投合、付き合った日数は短いが結構気が合うと思っている。
ちなみにそのラガルト君なのだが、銀髪で非常に中性的な顔立ちをしており、背も低い。親父とは死ぬほど似ていないので多分母親似なのだろう。
「いえ、用事ってわけじゃないんです。ただリュートさんが通りがかるのを見かけて、少し気になっちゃって・・・」
「ほーん、俺は今から訓練場に行くとこだよ。せっかくだし一緒に来る?」
「行けるなら行きたいですけど・・・。そんなことして大丈夫なんですか?」
「・・・まぁ一人で来いって言われてないし大丈夫だろ。知らんけど」
実際問題これが大丈夫か大丈夫じゃないかはわからないのだが、さすがに王国でも上層の人間になれば、その辺しっかりしてるんじゃなかろうか。別にこれに関しての報告を受けているわけではないので、怒られることもないはずだ。
「でしたらご一緒させていただきます。実は僕、訓練場に行ったことがあまりなくて、少しだけ楽しみなんです」
「そうなのか。まぁ俺も何をするのかまでは聞かされてないし、ご期待に沿えるかはわからないけど、楽しみにしておいてくれ」
ラガルトがはい!!と元気な声で返事をする。満面の笑みだ。この笑顔といい人懐っこい性格といいアリナとそっくりだな。さすがは兄弟ってことか。
その後一緒に話しながら歩いていると、いつの間にか訓練場に到着しているのだった。
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「ごめんなさい、ちょっと遅れちゃって」
「問題ありませんよ。どの道ロメオがまだ来ておりませんし。所で何故ラガルト様もご一緒に?」
「あぁ、ごめん。僕がリュートさんに無理を言ったんだ、駄目だった?」
「私は構いませんが・・・、リュート殿はよろしかったのですか?」
「ん?問題ないですよ。っていうか俺は何でここに呼び出されたんです?その辺の説明をまだ受けてないのですが」
「そういえばそうでしたな、これは失礼しました。」
そう一言詫びた後、リンダさんが取り出したのは石板である。ていうかタブレットか?よく見ると中央とその周囲で若干の色の違いがある。規則的な形をしているので、多分人工物だと思われた。
「これはアビリティボードと呼ばれる道具です。この道具でリュート殿について少し調べさせてもらいたく、この場に呼んだ次第です」
アビリティボードと呼ばれたそれ、一見すると本当にただの石なのだが、実際はまるで別物らしい。思っていたよりもファンタジーな世界だな。
「そうですか。なかなか面白い道具ですね」
「そうでしょう。この道具はですね、ラガルト様とロメオが共同で解析・開発して完成させた道具なのですよ」
なんでも隣国であるゴケンコウの遺跡から発掘された古文書をラガルトが購入、その後ロメオと一緒に解析し、その内容を基に開発されたのがこのアビリティボードらしい。
「そりゃすごい。ラガルト君、君ってすごい人だったんだな・・・」
「とはいってもほとんどロメオさんがやってくれたんですけどね」
そう言いつつもラガルトの顔は嬉しそうだ。
その後はラガルトに、俺の身の上話をしていたのだが、全部話し終わる前にロメオさんもやってきた。
「いやぁごめんなさいね。遅れちゃって」
謝ってはいるが反省の色は見られない。その態度にリンダさんは我慢ならなかった様子。
「ごめんなさいではないわ!!お前はいい加減その遅刻癖を何とかしろ!!貴様のそれに我々は何度苦労してきたことか!!」
リンダさんがカンカンに起こり始め、ロメオに説教を始める。それをラガルトがまぁまぁと窘める。
だが当の本人であるロメオは我関せず見たいな顔をしているので、再びリンダさんが怒り始め・・・。
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「失礼、つい頭に血が上っておりました」
「まったく、気をつけろよな」
流石に同じ失敗はもうしないのか、リンダさんは動じない。
「ところでロメオ、頼まれた物はちゃんと持ってきたんだろうな?」
「それに関しては抜かりなく。っていうかこれ探してたから遅れたんだよな」
そう言いながら取り出したのは大きな水晶玉。これは見ただけで分かる、あれだ、魔力を測る奴だ。
「ならばよい。してリュート殿、ロメオも来たことですしさっそく測定に移りたいのですが・・・」
「いいですよ、早いところ終わらせちゃいましょう」
「かしこまりました、それではこちらの石板の上に手をのせてください」
言われたとおりにのせてみた、すると。
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名前:イカルキ・ユウキ
種族名:魔人
種族能力:魔法妨害 能力妨害 思考加速 高速再生 王の盾
各種耐性:物理攻撃耐性 魔法攻撃耐性 精神操作耐性 自然影響耐性
特質能力
創造者:解析・鑑定 膨張・縮小 結合 変換・創造 能力改造 能力模倣
破壊者:分離・崩壊 弱点看破 破壊身
*物質体と精神体の統合性のため、一部機能に制限が設けられております
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先程まで何も書いていなかったその石板に、突如として文字が浮かび上がった。
「ふむ、やはりというかなんというか・・・」
「やっぱ人間じゃなかったんだね」
「あらかじめ聞いてましたし、あまり驚きはないですけど、やっぱり魔人だったんですか」
皆様同じようなことを言ってらっしゃる。
ていうか何気に”特質能力”が二つもあるな。これって結構凄いことなのでは?
・・・そういや特質能力って所有者の願望に沿った能力じゃなかったか?その割には名前が少し物騒な気がするぞ。
「とりあえずもう少し細かい内訳をみてみましょうか。浮き出てきた文字列を触ってみてください」
ますますタブレットみたいだな。とりあえず言われた通りに触ってみる。
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種族特性
魔法妨害:魔素の隊列を乱すことにより、魔法の威力を減衰、もしくは消滅させる。
能力妨害:”基本能力”と”応用能力”による影響を減衰、或いは消滅させる。
思考加速:普段の百倍程度の速さでの思考を可能にする。
高速再生:魔素を代償に、受けた傷を治療する。
王の盾:自身の”眷属”が受けた傷を肩代わりできる。
→眷属とは魔に適性を持ち、かつ自身に忠誠、あるいは生涯を共にする誓いを立てた者のこと。眷属契約は絶対であり解消不可。
各種耐性
物理攻撃耐性:物理的外傷による攻撃への耐性。ただし”能力”の性質を含むものには干渉できない。
魔法攻撃耐性:魔素による攻撃の耐性。ただし”能力”の性質を含むものには干渉できない。
精神操作耐性:精神操作への耐性。”能力”の性質を含む場合にも効果がある。
自然影響耐性:雷や炎など、魔素を含まないものへの耐性。
各種能力内訳
創造者:
*解析・鑑定:対象を解析し、データを導き出す。”能力”による妨害を受ける。
*膨張・縮小:対象を膨張及び縮小する。代償に魔素を消費するがこの能力に上限制限はない。生物には使用不可。
*結合:二つ以上の物質を結合する。生物には使用不可。
*変換・創造:魔素を消費することで対象を全く別の物質に変換する。また魔素を消費することで物質を作り出す。生物は対象外。
*能力改造:魔素を消費し所有する権能に新たな機能を追加できる。
*能力模倣:解析・鑑定により、魔法と基本能力の模倣が可能になる
破壊者:
*分離・崩壊:二つ以上の物質同士が結合したものを分離させる。また魔素を消費することで物体を崩壊させる。生物は対象外。
*弱点看破:対象の弱点を察知する。特性や”能力”による妨害を受ける。
*破壊身:触れたものを破壊する。”能力”も対象内だがこれによる妨害も受ける。
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中々とんでもないことが書いてあるな。特にこの破壊身はいささか危険すぎるのではなかろうか。
「ふむん、なるほどな」
「いやぁ、思ったよりも化け物だなぁ」
「なかなか物騒ですね」
皆様言いたい放題言いなさる。でも一番驚いているのは間違いなく俺だ。
何せ昨日までこんなものはなかったのだ。しかし目が覚めたら、こんなにも危険な力を秘めてしまっていた。こんな風に感じるのも無理はないだろう。
「あはは、なかなかすごいですね」
「えっ、把握してなかったの?」
ロメオさんが驚いたような表情で尋ねてくる。しかしそれはこのイカれた文字列に対してというよりも、俺がそのことを知らなかったことに対して驚いているようだ。
「えぇ、初めて見ましたので」
「リュート殿は異世界人なのだ、だから本当のことだと思うぞ。むしろこんなものを見せられて驚いているのではないか?」
「えっ、そうなの?」
リンダさんが横からフォローしてくれた。ていうかロメオさんにはまだ俺が異世界人だって伝えてなかったな。
「はい、向こうの世界で死んだと思ったらいつの間にか・・・」
「ちょ、ちょ、ちょっと待て」
「え、死んだんですか?」
あれ?ロメオだけでなくラガルトも驚いている。ラガルトにはもう伝えたはずだけど・・・。
「おう、そうだぞ。向こうで死んでこっちに来た、異世界人って言うか転生者の方が適切かもな」
その言葉を聞いて二人そろってうんうん考え込んでいる。俺とリンダさんは置いてけぼりだ。
「おいロメオ、考え込むのは後にしろ。リュート殿を待たせているのだぞ」
「おっと、すいません」
そう謝りつつこちらをどうぞ。と言って渡してきたのは先程の水晶玉、こちらをどうぞじゃないんだが・・・。
「あの、これをどうしたらいいんです?」
「・・・あれ、おかしいな。持つだけで動くはずなんだけど」
どうもロメオさんには想定外のことが起こっていたらしい。不思議そうに俺の持っている水晶玉をまじまじ見つめている。
「壊れたか?」
「うーん、それって人間用に作ったからなぁ。もしかしたらうまく適応できてないのかも」
「やっぱそうなのかなぁ・・・」
またしても二人で考え始めた。その後ああでもないこうでもないという議論の末、結論が出た。
「リュート殿、取り敢えず私たちの研究室に来てください。そこで魔人専用の水晶玉を作ります」
なかなかにぶっ飛んだ結論。しかし二人の目は自信に満ちていてまるで失敗するなどと考えていなさそうだ。断る理由もないし、当然YESである。
「わかりました。すぐに向かいます」
「あぁいえ、昼食の後にしましょう。少し準備がしたいので」
「昼食の後、分かりました。ただそうなると少し時間が空くな・・・」
「でしたら僕が城下町を案内しますよ。まだ行ったことないんですよね?」
おお、それは嬉しい提案だな。城の窓から活気にあふれる街並みを眺めていた。しかしずっと眺めるだけってのも嫌だから、実際に行ってみたいと思っていたのだ。
「でしたらラインとリゲルを念のため」
「わかった、よろしく頼むね」
「かしこまりました。それではリュート殿」
「あぁ、お仕事ご苦労さん」
リンダさんが一礼した後訓練場を出て行った。あの人も結構苦労人だな。・・・考えなくても分かってたか。
「よし、それじゃあ私は自分の研究室に戻るとします。ふたりはここで待っててください」
「はい、よろしくお願いしますね
「はい、お任せを」
それだけ言ってロメオさんも訓練場を出ていく、こういうときだけはかっこいいな。
「ふふ、楽しみですね」
ラガルトが嬉しそうに笑う。
「あぁ、しっかり持て成してくれよな」
はい!!と元気な返事が返ってくる。
俺の異世界生活は始まったばかり、不安なことも多い。だけれど今この瞬間、確かに俺の心は前だけを向いていた。
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時は少し遡り昨夜、日はすっかり沈み月明りが雲の隙間から差し込んでいる。
そんな夜、アズリア領の果て。
「や、やめ、ギャアアアッ!!」
男の悲鳴が木霊した。
それが最後の言葉、”彼”に胸を貫かれ、再び叫び声をあげることは叶わない。
だがそれはその男だけではなく・・・。
「フハハハハ、やはり人間の魂は素晴らしい」
あざ笑う彼ー赤髪の魔人ーの周囲には、おびただしいまでの血が飛び散っていた。たった一夜で村全員が殺された。しかし死体は一つとして残されていなかった。彼にとって人間の死体は大変貴重な実験材料なのだ。
「・・・だがしかし」
飛び散った血の中央で、魔人は不満げにつぶやく。
「まだ足りぬ、殺したりぬ」
その風貌も声も、底の知れぬ狂気をはらんでいた。
迷いの森で魔物を殺し、なぶり、痛めつけ、そして魔物どもの王となった。その時”上位魔人”へと進化し、凄まじいまでの力を得た。
しかしその時から、いくら魔物を殺しても強くなることは出来なかった。だがしかし、迷い込んできた人間を殺した時に気が付いた。自分の中の”何か”が人間を殺し、より強くなったこと、つまり人間を殺せばまた強くなれるのだと。
それゆえ彼は人間を殺し続けるだろう。彼には強くなる理由も意味も何一つとしてない、自らに刻まれた本能を満たすため、彼はただひたすらに殺し続けるのだ。
「フハハハハ、”あちら”のほうからドギツイ人間の気配がするなぁ」
そう嗤い、彼はまた歩き続ける。向かう方角はギルレオン王国、当然その道中にも町はある。その町で彼は殺戮を繰り返すつもりなのだ。
今の俺も十分強い、だがドギツイあれを殺すにはもっと強くなりたい。そう考えていた。
今まで殺してきた人間どもの比ではないあの強力な気配。あいつを殺せばもっと強くなれるだろう。だから彼は歩みを止めない。
意味を持たぬ殺戮は始まったばかりなのだ。
次回は幕間、そのあと新章です。




