訓練場にて 後編
お読みいただきありがとうございます。
前回、後半あたりからリュートをリュークと表記していたので、直しました。
ちなみに下書きの時点ではロメオをロミオと間違えて書いたりしています。
*あらすじ:ロメオに連れられて魔法訓練場にやってきました。
ロメオさんに連れられて、魔法訓練場へとやって来た。そこはさっきまでいた訓練場よりも広く作られており、奥の方には弓道で使う的のような物も見える。
「これはまた広いですね」
「そうでしょうそうでしょう。この訓練場だけは他の国と比べても遜色無いですからね」
果たしてそんなことを言ってしまっていいのだろうか?俺が気にすることでは無いんだろうが、色々と心配である。
「ははっ、そうですか」
「えぇ、そうなんです。それじゃあ魔法の方を見せてもらいましょうか」
まぁそのために来たもんなぁ。リンダさんも大丈夫だって言ってたけど、ほんとに大丈夫なのかな?
「えぇと、ほんとに大丈夫なんですか?」
「えぇ、大丈夫です。実はこの訓練場には、特殊な結界が張られてるんですよ。だからどれだけ強力な魔法を使用しても、街の方までは被害が及ばないって寸法です」
へぇー、その話を聞いてからだと、大丈夫って言葉の信憑性も上がるな。
「じゃあ安心できますね」
「えぇ、任せてくださいな。それで何の魔法を見せてくれるんですか?」
「照明です」
まぁこれしか出来ないしな。
そう思っての発言だったのだが、ロメオさんは戸惑いを隠せない様子。
「え?すいません、もう一度言っていただけませんか」
「照明です」
「信じがたいかもしれませんが、この結界は獄滅炎ですら防ぐことが出来るんです。だから・・・」
「あぁいえ、俺は照明しか使うことが出来ないんですよ」
悲しいことに俺は照明以外使うことが出来ない。獄滅炎とかいうカッコイイ単語も聞こえたが、そんなもの出来るわけがない。火炎弾すら使えないのに。
「・・・その魔素量で、ですか?」
「はい」
「・・・わかりました。とりあえず照明の魔法を見せてもらえませんか?」
訝し気に質問した後、その心情をそのまま顔面にコピペしましたみたいな表情で魔法を見せろと言ってきた。
やはり俺の想像通り、俺の魔法ーもっと言うと俺の肉体ーはちょっとおかしいのだろう。
「分かった。ここでいいですか?」
「えぇ、そこでいいですよ。・・・本来魔素量というのは魔法の経験、或いは肉体の進化に連動して成長していく物なんです。だから、こういうと少し失礼なんでしょうけど、リュート殿の言う事が信用出来ないんですよ」
そういうことだったのか。
俺もこの体についてはよく知らないし、この世界での経験も浅い。そう考えるとその連動が上手くいっていないと考えるのが妥当だろう。その理由はよく分からないけども。
とりあえず、このことはあまりばらさない方が良い気がする。少なくとも今は。
「そうだったんですか、知りませんでした。・・・とりあえずもうやっちゃっても良いですか?」
念のため確認しておく。
「えぇ、どうぞ」
良いというお許しが出た。ここがどうなろうが、俺の責任ではない。全てロメオさんの責任である。
「それじゃあ行きますよ!!照明!!」
発動される照明の魔法。魔法は洞窟で使って以降、それっきりだ。当然魔法の技量が上がっているはずもなく・・・。
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案の定というべきか、まぁ絶対こうなるんだろうなと分かっていた。イメージを明確にするとその分強力になると聞いていたので、うまく調整しようと試みたのだが、全く無意味だったようだ。
照明が発動した後、凄まじい閃光が訓練場を駆け回った。これで終わればかろうじて照明を名乗れただろう。だがそのあとに爆音と爆炎が生じ、ありとあらゆるものを吹き飛ばしていった。これはもう獄滅炎を名乗っていいんじゃなかろうか。
なお町のほうへの被害はない、天井にでかい亀裂が入るだけで済んだのでよかった。
ちなみに訓練場の木材に片っ端から引火したせいで絶賛炎上中、どこぞの片翼天使勝利リザルト状態となっており滅茶苦茶熱い。
「・・・なるほど」
「あの、軍長?なるほどじゃあないんですけど・・・」
「そーですよ!!早く逃げないと!!」
「あぁ失敬、余りの事に気が動転していた。とりあえず君たちはリュート殿をリンダの所に送り届けておいてくれ。俺は消火活動に勤しむとするよ」
「すいません、なんか・・・」
「あぁ、気にしないで。こんな事日常茶飯事だからね」
えっ、そうなの。ならあまり後ろめたさを感じる必要はないか。
「いやいや、それはあくまで獄滅炎での話でしょ!!照明でここまで燃えたのは初めてですよ!!」
「結果だけ見れば一緒だっちゅうの。とりあえず君たちは俺の指示に従いな」
「・・・分かりました。それじゃあリュート殿、一緒に参りましょうか。ラインも遅れずに付いて来いよ」
それでは後で、とラインとリゲルが挨拶した後、訓練場を出て行った。
いつの間にか日は暮れ、こっちに来てから初めての夜がやってこようとしていた。
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「娘を助けていただいたこと、感謝する」
ラインとリゲルさんの引継ぎの後、リンダさんの案内で連れて来られたのがこの玉座の間。
そして開口一番こんなことを言ってきたのがこの国の国王、ロイド・ギルレオン、その人だ。
想像とは違いやせ形、厳格な雰囲気が漂い、ついつい気圧されてしまう。
「いえ、私がいなくてもきっと・・・」
「む、我の言ったことに歯向かうのか?」
やべ、ミスったかも。背筋に悪寒が走る。やっぱ国王相手に考え無しで喋るのは駄目だな、しかしどう取り繕うべきか。
頑張れ俺!!無い頭をフル稼働させろッ!!
「いや、そういう訳では無くてですね・・・」
「ちょっとお父様!!リュートさんを揶揄うのはやめてください!!」
「あぁすまんすまん。ちょっと魔が差してな」
「もう、駄目ですよ!!全く」
「ハハハハハ、そう怒るでないわ」
いやハハハハハじゃないが、まじで焦ったぞ。お偉いさんのジョークほど、どう取り繕えばいいか分からない物はない。
「さてさて、色々前置きが長くはなったが、我は貴殿に心から感謝しているのだぞ。確かにリュート殿がいなくても問題は解決はしたかも知れないが、我の娘が助けられたのもまた事実。故にそう謙遜する必要もあるまいよ」
「国王陛下のおっしゃる通りです、リュート殿。あなた様は危険を顧みず私の部下を助けてくださいました。私からも感謝を申し上げたい、本当にありがとうございました」
そういわれると悪い気はしないが・・・。
まぁいい、今回は黙って受け取ることにしようか。
「分かりました、その言葉確かに受け取りました」
「おぉ、そう言ってもらえると助かる」
「そういえば、私まだあなたにお礼を申し上げていませんでしたわ。本当にありがとうございました、この御恩絶対に忘れません」
そう言ってアリナが深々と頭を下げる。
「ふむん、礼儀だけはあまりなっておらんと思っておったが、撤回せねばなるまいな」
「あらお父様、そんな風に思ってらしたの?」
「・・・」
「あら、何か言ってみたらどう?」
険悪な雰囲気・・・、ではない。ロイド王もなんだかんだ嬉しそうだし、多分娘に構ってもらえてたまらないんだろう。その後ちょっとした口喧嘩に発展していたが、リンダさんの咳払いによって終わりを迎えた。さすがの貫禄であった。
「して、リュート殿、今日の夕飯は我々にご馳走させてくれ」
「え、国王陛下がですか?」
「うむ、そこのリンダから要請を受けてな。急遽シェフたちに作らせた。即興とはいえ味は保証するぞ」
別に味の心配をしていたのではないのだが・・・、まぁいいか。
「是非ご相伴にあずかりたく」
「それはよかった。後、寝室もこの城の一室を用意させてもらった。ぜひそこを使ってくれ」
おいおい、そこまでしてくれるのか。なんだか申し訳ないな。
「ありがとうございます。・・・なんだか申し訳無くなってきますね」
「む?そうなのか。まぁ気にするな、来賓の待遇はいつもこんな感じだ。むしろがっつり我らに甘えてもらったほうがこちらとしても助かるぞ」
「わかりました、でしたらお言葉に甘えさせていただきます」
「うむ、それでよいのだ。それではアリナ、リュート殿を食堂へ案内しなさい」
「あら?お父様はどうなさるのですか?」
「あぁ、このあと少しやらなければならないことがあってな。今日は後で食べることになるそうだから、先に食べていなさい」
実際の王族って結構大変なんだな。向こうの世界で抱いていたイメージとはまるで違う。
「わかりましたわお父様。それではリュートさん、食堂に向かいましょう。城は広いですからはぐれないようについてきてくださいね」
アリナはロイド王に一礼した後部屋を去っていく、ここでもまた遅れることの無いよう後ろに付いて行くのだった。
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ギルレオン城のとある一室、王族とごく一部の者しか知らないその秘密の部屋で、緊急の会議が行われようとしていた。議題は”リュートと件の赤髪の魔人は同一の者か否か”。
用意された席は五席、うち三席はもうすでに着席済みであった。
その一つに座るのは、ギルレオン騎士軍長リンダ。髪の色は白いものだらけだが、その腕前は衰えることを知らず未だ王国最強の地位を維持している。王国の危機を何度も救ってきた生ける英雄、それこそがリンダ・カルガスなのだ。
次に王妃ウルスラ・ギルレオン。髪の色はアリナと同じく銀色、時の流れを感じさせないその美貌はかつて多くの男を魅了してきた。当然それだけではなく学問も魔法の腕もトップクラス、文武両道を体現したような存在、それがウルスラ・ギルレオンなのだ。
最後に第一王子ライナス・ギルレオン。次代のギルレオン国王である彼は、父親の血を色濃く受け継いでいる。髪の色は金色、年はまだ若いがそれでも厳格な雰囲気がにじみ出ている。剣技に優れ、学問も優秀、特に剣術は騎士軍の中で比べても何ら遜色なく、リンダには劣るもののそれに続く最強格。それがライナス・ギルレオンなのだ。
「お前たち、待たせたな」
厳かにそう宣言し、入ってきたのはこの国の現国王ロイド・ギルレオン。その肩書に恥じぬ雰囲気を醸し出しているが、実は妻の尻に敷かれている。まぁそれは置いといて・・・、彼はこの場にいる者たちの大半とは異なり、学問は得意であるものの、戦いの方はあまり得意ではない。
しかし交渉や会談といった心理戦場においては無敗を誇る。それは彼の所有する特質能力”統率者”の恩恵、その能力の主たる機能である”表層心破”による物だ。この機能はその名の通り対象の表層心理を読み解くことが出来る、しかも相手に気付かれることはほとんどない。
この国は歴代の王によって長きにわたる安寧を手に入れてきた。軍は力を、王は頭脳をもってこの国を守ってきたのである。彼こそが現ギルレオン王国国王であり守護者、ロイド・ギルレオンなのだ。
「いえ、私も今来たところですわ」
「そうですね。それにもう一人来てませんから」
「ロメオの奴は何をやっておるのだ。時間だけは守れとあれほど・・・」
「そう言ってやるではないぞ、リンダ。奴も何かあったのかもしれん」
何かあったといえばあったのだろうと、この場にいる全員考えている。
つい先ほど魔法訓練場で起こった閃光と爆音、あれほどの規模の魔法を使えば多少遅れるのも無理はない、多分やってきた客人に良いトコ見せたかったんだろうな。というのがこの場にいる者たちの共通認識であったのだが、実際はその客人がやったのだということをあと少しで知る羽目になる。
「何やらとんでもないことが起こってましたしね・・・、あれは獄滅炎でしたっけ?」
「えぇその通りですわ。火炎系魔法の最上位、アレを扱うことが出来たら文句なしで一人前ですわね」
「しかしロメオが言うには工夫次第でさらに上を目指せるらしいの。それこそ火炎弾から派生して、火炎誘導弾が生まれたそうだしな」
「・・・その情熱をもっと他のことにも注いでほしいんですけどね」
その通りだと心の中で全員が頷く、この場にいる全員の願いだった。
ロメオは魔法と研究が大好きなのだが、それ以外に関しては適当なのだ。一応王族やその関係者の命令には従うが、それ以外の者からの依頼は受けなかったり部下に回したりと自分でやろうとしない。それでも重職に置かれているのは研究に対する真摯さと、彼の持つ異常なまでの魔法の才能、偏にそれだけなのである。
「・・・遅れてすみません」
「ロメオ、時間にだけは注意しろとあれほど・・・」
「いやぁ、言い訳できないっす」
そう言いながら空いていた席に腰を下ろす。
やつれた顔で謝りながら入ってきたのが、魔法軍長ロメオ・アズリア。彼はギルレオン三大貴族の一家であるアズリア家の次男で、本来であれば継続争いに巻き込まれるはずだったのだがそれを破棄。幼いころから有していた有り余る魔法の才能を発揮する場として、ギルレオン魔法軍を選択し、史上最年少でその軍長の座へと上り詰めた若き天才である。
彼はこの国で唯一リンダとタメを張ることが出来、ロイドの”統率者”の表層心破を抵抗できる存在である。つまりそれは彼もロイドと同じく特質能力を有しているという事であり、その能力の名を”研究者”といった。
その名の通り分析に特化した能力で、いかなる情報も適切に整理、判断する機能を有する。彼はこの機能を戦闘にも流用し、相手の攻撃に対して適切な対応をとることが出来る。それゆえこの国最強格であり、自分より圧倒的に技能熟練度が上であるリンダとタメを張れるのだ。
「ロメオ、貴方今日はえらく調子が良かったみたいね。音と光が訓練場から漏れてましてよ」
「ふむ、お前も成長しているということだな」
「えぇ、その姿勢、僕も見習わないと」
三者三様で労いの言葉をかけているが、ロメオの顔はやつれたまま。
「ロメオ、お前にしては元気がないな?」
そのことをさすがに不審に思ったのか、ロイドが問いかける。
「はい、訓練場の後片付けも原因の一つ何ですが、少し信じがたいことが起こりまして・・・。まぁ会議中にお話ししますよ」
「ならばよい。それでは会議を始めるとしよう」
ロイド王が高らかに、会議の始まりを宣言した
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「我が進行役を務めることにするが、取り敢えずロメオ。そちらの報告から聞くことにしよう。おそらくリュート絡みなのだろう?」
「ははっ、流石ですね。その通りです」
それじゃあお話ししますけど、と前置きし、とんでもないことを証言し始める。
「さっきの爆音と閃光は、皆様ご覧になったと思うですが、アレ実は私がやったんじゃないんですよね」
しかも結界にヒビ入っちゃったしと補足する。
「・・・リュート殿が?」
「そうだよ、リンダ。・・・なぁあいつが使った魔法なんだと思う?」
ロメオが半分笑いながら質問してくる、普通は早く帰りたがってこんなことしない。
ロメオは自分以外の人間とこの問題を共有したいのだと、ロメオが自分では処理しきれないほど異常な事が起きたのだと、この時全員が理解した。
「むぅ、獄滅炎以外思いつかないのだが・・・」
「そう思うだろ。・・・なんとな、照明だ」
「ちょっとお待ちなさい!?照明ですって!?」
横から割り込んできたのはウルスラ、彼女にしては珍しく驚愕の叫びをあげているが、その気持ちもロメオには十分で理解できた。だからどうやったら信じてもらえるのだろうかと頭を回転し始める。
「私もびっくりしましたよ。ありえないぐらいの保有魔素量でどんな魔法を見せてもらえるのかって思ったら照明ですよ。舐めてんのかって話でしょ?」
「お待ちなさい。いろいろ突っ込みたいですが保有魔素量って一体どの程度の・・・」
「私よりもずっと多かったですよ。っていうか多すぎて底すら見通せませんでした。」
「むう?お前の能力はどんなものでも見通せる能力のはず・・・、ってまさか。」
「そう、おそらくそのまさか。リュート殿もおそらく、私と同じ特質能力を有していると思われます」
会場は再び沈黙に包まれた。しかしそれも無理もないことである。特質能力を持つ者と持たない者とではその力の差に大きく隔たりがある。無論勝算が無い訳ではない、その事実をリンダが証明してくれている。だがしかし・・・。
「それでロメオ、あなたはリュートに勝てると考えているのですか?」
これが問題であった。この国には特質能力を持つものと、それに匹敵する実力者がいる。普通であれば勝てる可能性のほうが高いのだが、何せロメオ以上の魔素を持っており”研究者”をもってしても見通せないときた。
このようなことは今まで一度も起きたことはない。それゆえロメオが答える前から、会場にいる全員薄々答えがわかっていた。だがもしかしたらという願いもあった。もっともその願いはその後のリュートの言葉によって、打ち砕かれることになるのだが。
「言いたくはないですが、天と地がひっくり返っても無理でしょうね」
答えはNO、会場が再び重苦しい空気に包まれる。今回の議題は”リュートと件の赤髪の魔人は同一の者か否か”である。仮に同一の者であるという答えが出た場合、この国の滅亡は必至であった。
ただし、そうではない可能性も当然あるわけで・・・。
「ロイド王、発言してもよろしいですか?」
「いちいち確認せんでもよい、自由に発言せよ」
「感謝します。では発言しますが、私は件の魔人とリュートは同一人物ではないと考えております」
「して、その根拠は?」
「ございません。ただ一つ申し上げるならば私の勘です」
怖じけることなくそう発言するリンダ。この論理に根拠はないため、希望的観測の域を出ない。だが不思議と彼ーリュートーは件の魔人ではないという考えに至っていた。最初はあまり信用していなかったが、一緒にいるうちに何故だか信用できる気がしてきたのだ。だが結局は彼が赤髪の魔人だと信じたくないだけなのかもしれない、しかしそれは彼だけの気持ちではなかった。
「まぁ我もそう思って居るから安心せい」
「僕もそうだね、根拠はないけど」
「あら、そうですの?」
「その通りだ。強いて根拠を挙げるなら、あの人間性は信用できる。それだけだな」
リュートに会った三名は不思議と彼の持つ魅力にとりつかれていた。彼の持つ人間性であったり、或いは彼の持つ力への憧れだったりと、三者三様ではあったものの、不思議と彼を信用したいと思っていたのだ。
「へぇ、お父様がそんなこと言うなんて珍しいな。だけど今の僕たちからしてみれば、信じるしかないってのが現状だろうね」
「まぁそうでしょうね。勝てる相手ではありませんから」
半ば諦めも交じっているが残る二人も信用する方向性へと進んだ。
これによって今回の議題は答えが出た。
「よし”リュートと、件の赤髪の魔人は同一の者か否か”、これの答えは別人。これでよいな」
発問者であったロイド以外全員がうなずき、この答えは可決される。
「うむ、ではこれでこの会議を終了する・・・。と言いたいのだが一つ、私から軍団長である二人に頼みたいことがある」
しかし一つだけ、ロイドにはやっておきたいことがあった。
「何なりとお申し付けくださいませ」
「国王陛下の頼み事であれば断りませんよ」
「そう言ってもらえると助かるよ。で、その依頼ごとなのだがロメオ、お前は魔法軍の倉庫から魔素測定器を、リンダはアビリティボードを持ってきてくれ」
ロイドの言うアビリティボードと魔素測定器は、使用者の能力を確認するための道具である。
「なるほど、リュート殿の力を丸裸にしてしまおうってわけですね。ご安心ください、しっかり準備しておきますよ」
「私もしっかりと用意しておきます。おそらく彼も断ることはないでしょうから、無駄に終わることはありますまい」
「助かる。それではこれにて会議を終了する。皆の衆、今宵はしっかり体を休めるように」
こうしてこの会議は終了。もうすっかり日は沈み、月が顔を出し始めていた。
ちなみに議題の中心であったリュートこと、イカルキ・ユウキはアリナ含めたギルレオンの王族の質問攻めにあい、タジタジになっていたのだが、それはまた別のお話。
お読みいただきありがとうございました。
名前の間違いだけは減らしていきたいですね。




