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「私は男達に好き勝手させたくない」



「……すぅ……すぅ……」


「……」


「……すぅ……すぅ……」


「……まさか本当にここで寝てたなんて」



私はとある場所で『眠りの姫』を見つけた



腰近くまで伸びた金色の髪をポニーテールにし、少し幼なげが残る女の子。肌が真っ白で顔が整ってる……これは1番と言われるのも納得だった



聖頼高校には、扉が開かない倉庫がある。使い道がなく、ずっと放置されている倉庫が、校門のすぐ近くに置いてあるのだ



そんな開かずの倉庫だけど、卯月はなぜかその倉庫の開け方を知っていて、そこに『眠りの姫』が寝ていることも知っていた



今は授業中だが、私は保健室で休むと言う嘘をついて、この場所にやってきた



『眠りの姫』はずっとここで寝てるわけじゃない。教室で寝ることもあるけど、急に教室から出て行ったと思ったら全然教室に帰ってこないらしい。理由はここで寝ているからなんだけど……



「……にしても結構綺麗だね」



使われていないと言っていたから、ホコリまみれかと思ったが、意外と快適な空間が広がっていた。倉庫内に電気も通っていて、寝てる場所から少し離れた電気を一つだけつけているので、真っ暗ってわけでもない



下には体育などで使うマットを敷き、家から持参してきたのか、毛布に包まって寝ていた



「……すぅ……すぅ……」


「……寝てるのは想定内だったし、起きるまで待つかぁ」



私の用件は一つ。今回の騒動のことで注意喚起しておこうと思ったのだ



意に介していないかも知れないし、おそらく興味も持ってないと思う。なんならこんなことが起きていることも知らないかもしれない



だからこその注意喚起。私は男たちの勝手を許したくない。男達が勝手に決めて勝手に盛り上がってるのだ。だからどうしても『眠りの姫』に手を出されたくはない



気が狂った男たちが何かするかもしれない。ましてやほとんど寝ている状態だから無防備なことが多い。だから私が直接言っておいた方が良いと思ったのだ



「起きたら事情を話して、しっかり対策してもらわないと……」



♢ ♢ ♢



「……全然起きないんだけど」



昼休み明けからずっと居たが、一向に目を覚まさないまま、最終時間の半分まできてしまった……



「まさかこんなに起きないなんて……」



起きないどころか寝返りもしない。熟睡。この言葉が1番しっくりきた



「……んっ……うんっ……?」



身体を伸ばす動作を見せる眠りの姫。眠りの姫がようやく目を覚ましたようだ



「……んんぅ……うにゃー……」


「……可愛い」



起きそうで起きない動作が可愛い。男が見たら発狂ものだろうな



「……うぅ……ふわぁ……」



身体を起こし、目を擦る姫。髪の毛が寝癖で跳ねていた



「……んっ……あれっ?」



目を開けて、私の存在に気がついた様子だが、慌てた素振りは見せなかった



「……誰?」


「私は2年の八幡 由比羽。ちょっとお話があって」


「由比羽……?ああ……加蓮が話してた人……」


「加蓮が?なんの話」


「ううん。こっちの話だから。で、用件は何?」


「あ、そうだった……実はねーー」



私は体育祭で起こる事。そしてその事に自身が絡んでいて、面倒な事になっていることを事細かに伝えた



「というわけなの」


「ふーん……」



すごく興味のなさそうなトーンで返事を返す姫。まあ予想通りの反応ではあった



「一応伝えておこうと思って。なんなら私から先生の方へ対応するようにお願いしようか?」



今回の件では、私は全面的に眠りの姫の為に動くと決めている。男達の好きにさせたくないからだ



「ううん、いいよ。()()()()()()()()()()()()



……意外や意外。面倒ごとには関与したくないタイプかと思っていたけど、思ったより物事をはっきり決めるタイプだったとは……



にしてもどうにかするって……どうするつもりだろうか?



「報告ありがとう。それにしてもこの場所に私が居るってよく分かったね?」


「卯月から聞いたの。ここの入り方も込みで」


「あーそういう事かぁ」


「卯月とはどういう関係なの?」


「私のお姉ちゃんみたいなものです。家が近くって」


「あーなるほどね!」



羨ましい。こんな可愛い子にお姉ちゃん扱いしてもらえるなんて……若干卯月に嫉妬の念を抱いた



その後も少したわいもない話をし、私達は解散した



眠りの姫が人気な理由は直接話してみて感じ取れたし、今回の騒動自体に興味をほとんど示していないことも分かった



……本当にどうするつもりなんだろ?


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