「夏場なら」
「着いたよー」
休憩あがりに歩き始めて約1時間。私と太一の登るスピードが遅すぎたせいで、予定より15分遅れてしまった
「きゅ、休憩……」
「お、俺も……」
余裕の二人とは裏腹に、私と太一の体力はすっからかんだった
「まだ涼しい時期で良かったよ……夏場なら私、死んでる自信があるね」
「……同意だわ」
私と太一は少し汗を垂らしていた
「飲み物いる?」
「え?持ってきてたっけ?」
持ってる物は、太一の背負う籠と軍手のみ。飲み物の存在をすっかり忘れていた
「そこに自販機があるから、買ってきてあげるよ」
「え⁉︎なんで自販機あるの⁉︎」
標高の高い山ではないが、結構上まで登ってきたはず。自販機なんて……
「まあここまで車で来れるからね。道もちゃんとあるし」
「……叔母様とかはこの道使って来てるの?」
「うん。おばあちゃんはトラックの免許持ってるから。本当は今日、警察からトラックの荷台に乗っても良いっていう許可貰ってきてたんだけどね」
トラックの荷台に乗る時は、荷台に置いた荷物の看守をする場合と、警察からの許可が降りた時以外に乗ることは出来ないのだ
「……なんで私達自力でここまで登ったの?」
「そりゃ、ちょっとでも運動不足を解消しないとね。……由比羽。ちょっとお腹がぷっくりしてきたしさ」
私はバッとお腹を隠した。そ、そんなぷっくりなんてしてないはず……ぐうたらはしてたけど、気をつけてはいたはずなのに……
「でも、帰りはさすがに迎えに来てもらうように頼んだから。とりあえず、休憩終わったら探そうか」
楽な方法があったことを知り、私の疲れは更に増えた……
♢ ♢ ♢
「キノコってどこ探せばいいの?」
「木の周辺かなぁ。切り株とか、倒れてる木とかにも生えてるよ。まあでも基本的にどこにでも生えてるかな?」
経験者の琴乃に助言をもらいつつ、採取をする私達
「毒キノコの見分け方はー?」
「それは私にも分からないから、帰ってからおばあちゃんに確認してもらうね」
そういうことなら、生えている物を片っ端から籠に入れていくか……
「金ピカのキノコっていうぐらいだから目立つはずだよね……」
周りの景色見渡しても、緑と茶色しか見えない。この景色内に金色に光っていれば、すぐに見つかるだろう
♢ ♢ ♢
……なんて甘い考えをしていた私がバカだった
見つからない。一向に。キノコと栗は多少見つけたけど、金ピカのキノコは全く見つからない
10年に一度しか無いって言ってるぐらいだし、生えてない可能性だってある。今のところ、見落としもないはず
「疲れたよぉ……」
「……まだ30分しか経ってないよ?」
採取開始から30分。もう足腰が限界に近い
「金ピカのキノコも30分も探して見つからないし……やっぱりないんじゃ……」
「だから……まだ30分しか経ってないよ?」
「……30分ってしかなの?もじゃないの?」
「少なくとも、今日に限って言えば、しかかな?」
私にとってこの30分はまるで拷問の如き時間だった。琴乃が部活したいって言い出した時に、部活に入る!なんて暴挙に出なくて心底良かったと思う
私の体力的に、長距離走ランナーになったりなんかしたら、1日かかっても完走出来ないかもね
「とりあえず休憩させて……足が限界だから……」
「もう……早すぎだよ……。でも仕方ない。しっかり休憩して、また頑張ってね?」
「バンバン働くから任せてよ!」
「信じていいのかなぁ……その言葉」
私はその場に座り込んだ。汚れてもいい服装だったし、衣服に土がついても問題ない
「私も少し休憩しますわ」
と、私の横に同じように座り込む伊津
「伊津も疲れたの?」
「少しだけ疲れましたわ。まあ由比羽ほどではないですが」
確かに息切れをおこしてる様子も、足に疲れがきてるようにも見えない
「暗くなるまで時間はあります。ゆっくりやっていきましょう。元々、食材を取りに来たというより、楽しむ為に来たのですから」
「伊津……」
たまに確信をつくようなことを言う伊津。確かに、楽しみながらやらないとね




