「あ、サングラスかける?」
休憩を終えて再開。私達はまた秋の味覚を求めて散策を始めた
「あ、つくし生えてるね。取っておこうかな」
「え?つくしなんて取ってどうするの?何かの飾りにでも使うの?」
「ううん。食べるの」
「食べるの⁉︎」
私は予想外の答えに驚きを隠せなかった
「つくしって食べられたんですね」
「本当にね……めっちゃビックリしたんだけど」
「どんぐりも食べれるんだよ。帽子って呼ばれてる部分は無理だけどね」
「どーやって食べるの?」
「つくしなら天ぷらとか、醤油炒めとか。どんぐりはそのまま食べるんじゃなくて、砕いてどんぐり粉って言われる状態にした物をパンとかクッキーにするの。ただ、お腹の調子が悪くなっちゃう成分がちょっと入ってるから、今日は取らないけどね」
さすが、叔母様の手伝いで何回も秋の味覚の採取をしてただけはある。知識量が私達とはまるで違う
「でもまあ今日のメインは普通の栗とキノコだから、しっかり探してよ?ただ無理しない程度にね」
「はーい!」
ちょっとした雑学を教えてもらった所で、採取を再開した
「キーノコキノコー。キノコはどこだー?」
「栗発見!」
「ナイス伊津!この調子でキノコも見つけて行こう!」
「そうですわね!」
♢ ♢ ♢
「栗発見!」
「またぁ……?」
私と伊津は一向にキノコを見つけられない。あるのは栗ばっかりだ
私は一応持ってきた太一の籠の3分の1程度の大きさの籠に入れた
「……栗しか入ってない」
私のイメージだと、キノコの方が多くて、栗が滅多に見つからないと思ってたんだけど……私達の運が極端に悪いだけ?
「キノコォ……キノコはどこぉ……」
私は落ち葉の重なる場所をひたすら散らして探し回った
「……ん?」
なぜか一箇所、やたらと眩しい場所があった
「……もしかして」
私は全員を呼び出し、光る場所へと急行した
「これ!多分金ピカキノコじゃない⁉︎」
「……確かにキラキラしてる」
大量の落ち葉の隙間から溢れる光
「てか、何で俺らこれに気づかなかったんだ?」
「……確かにそうですわね。光の柱みたいなのが立ってるのに……」
この場所から空高くめがけて光の柱が立っていた。それはもう誰が見ても明らかで、あからさまに伸びていた。なぜ気づかなかったのだろうか?私達は全員盲目?
「とりあえず落ち葉避けてみる?」
「……だね」
私は落ち葉を避けていく。覆う物がなくなってきたからか、光はどんどん強くなっている
「……眩しすぎるんだけど」
そろそろ目が当てられなくなるぐらい眩しくなってきた
「あ、サングラスあるからかける?」
「何で持ってきてるの?」
「いるかなー?って」
「……まあ使わせてもらうよ」
私は琴乃からサングラスを受け取って、作業を再開した
ただ、サングラスをかけても完全に光をシャットダウンしたわけではなく、それなりに眩しい。もう既に、琴乃達は、私から離れた位置にいた
「……もうそろそろ」
この葉っぱをめくれば……‼︎
……ピトッ
「「「あっ……」」」
……動いた?えっ?キノコって動けるの?
金色の物体は、私のおでこ辺りに張り付いた
「由比羽……その光、キノコの光じゃなくて、ジンガサハムシっていう虫だよ……」
「……虫?」
「うん……端的にいえば……カメムシ」
……バタッ
私の意識は……そこからなくなった
「ゆ、由比羽ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
♢ ♢ ♢
由比羽は気絶してしまったようだ。前回はカブトムシに、今回はカメムシと本当にかわいそうに……
「もうちょっと右に寄って!」
「こ、これぐらいか?」
「そのまま真っ直ぐ進んでくださいな」
俺達は、由比羽救出作戦を決行した。カメムシが顔にひっついたまま、気絶した由比羽。今、グラサンをかけた女性が意識を失っているという、世にも珍しい現象が起こっている
そしてカメムシが離れていないので、直視出来ず、後ろ向きで由比羽の方向へと向かっていた
「てか眩しすぎだろ!なんだあの虫!」
「おそらくこの山にはあるものをすごく金色に光らせる力があるのかも……前回はキノコだったけど、今回は元々金色の虫だったから、それにさらにその力が加わって、眩しすぎる光を放ってるのかも……」
側迷惑なことこの上ないな……
「そこにいますわー!もう真後ろです!」
「……本当だ」
後ろに手を伸ばすと、由比羽の髪に手が触れた。俺は顔の方へと手を持っていき……
「おらっ!どっか飛んでけ!」
カメムシを追い払った
「おおっ!ナイスですわ!」
「カメムシ取れた⁉︎」
「ちゃんと取れてるよ!」
「よし!じゃあこのまま由比羽を最初の休憩地点まで運ぼう!」
俺はいわゆるお姫様だっこをし、由比羽を運んだ
「……くっーー」
「カメムシのせいとはいえ、由比羽に向かってその言葉は許さないよ?」
「……ごめんなさい」
こうして俺達の波乱だらけの旅行?は、幕を閉じた……
♢ ♢ ♢
「……あれ?私今日寝過ぎてない⁉︎てか、ここどこ⁉︎」
「あはは……」
由比羽は叔母さんの家で目覚め、また今日の記憶が飛んでいたようだった……




