「腰痛っ……」
「……寝過ぎた」
現在、朝11時。寝過ぎてしまった。私以外、まだ布団に入ったままだ
寝過ぎた理由は夜更かしし過ぎた事。そしてあまりに布団の感触が気持ち良過ぎたからだ
夜更かしした理由?……思い出したくない
……布団が散乱してる?……気のせいじゃない?
……みんな汗をかいた形跡がある?……気のせいじゃない?
全部気のせい。何もなかった。健全。オールグリーンだ
……そんなことよりも、3人を起こさないと。別に急ぎの用があるわけじゃないが、タイムリミットの5時は迫っている。遊べる時に遊んでおきたい
「琴乃ー?起きてー」
「……んんっ……うっ……んっぅ……?」
さすが琴乃。一声かけただけで目が覚めるとは
「おはよう。琴乃」
「んー……おはよ……」
まだ若干寝ぼけているが、身体は起き上がっていた
「んっ……あれっ?なんだかスースーする……はっ!」
琴乃は着物の隙間が隠れるように押さえ込んだ
「あー……えっと……そこに落ちてる」
琴乃のある物が地面に落ちていた。琴乃だけじゃなく、3人分だが……
琴乃はささっと拾い、更衣室へと駆け込んだ
「……私も拾っておこ」
さてあと2人。まだ樹咲の分が落ちたままだし、多分太一に見られたところで動揺もしないだろうが、一応の配慮ということで、樹咲から起こすことにした
「樹咲ー?起きてー」
「…………」
目が覚めない……やっぱり一声かけたぐらいでは起きないか……
「樹咲ー!樹咲ー!」
身体を180°の回転するぐらい大きく揺らした
「んん……や、やめっ……よ、酔うからやめっ……」
寝起きに大きく揺さぶられ、若干顔色の悪い樹咲
「ほらっ!起きてっ!」
身体を無理矢理引っ張り起こした
「うがっ!あ、荒っぽくない……?もうちょっと優しく起こして……」
「うるさい!早く起きないとまた身体揺するからね!」
「わ、分かったからやめて……」
荒っぽい起こし方をしたのは、昨日の恨みを若干晴らしたかったからだ
昨日、樹咲があんなことを言い出さなければこんなことにはならなかったのに……
「……腰痛っ」
それには私も同意だ。多分、琴乃も太一も痛いと思う
「ほらっ。樹咲のあそこに落ちてるから拾っときなよ」
「……あ、あんなとこに」
樹咲は立ち上がり、落ちていた物を拾ってその場で着けた
「……恥じらいぐらい持ったら?」
「……?何を恥ずかしがるの?」
つくづく思うが、樹咲と琴乃は正反対すぎる……
「……さて、最後は太一か」
うつ伏せに寝る太一の背中を揺すりながら、私は声をかけた
「おーい。起きろー太一」
「うん……んっ……あー……」
「もう11時だぞー。早く起きろー」
「……もう11時?」
まだ完全に開ききっていない目を擦りながら、身体を起こす太一
「……起きるかぁ」
と、その時、私と太一の目があった
「「……っ///」」
お互いに顔を見つめ合った瞬間、私も太一も一気に顔が赤くなった
「……由比羽ちゃん。私の洗面具どこ置い……あっ……」
更衣室から戻ってきた琴乃も、太一の顔を見るなり顔が赤くなった
「いやー。昨日は激しかったね」
ここで狙ったかのような(おそらく狙ってる)樹咲の一言により、私達の顔から煙が噴きそうなほど赤くなった
「「「…………」」」
私達は気まず過ぎて、言葉が出ない。4人いるとは思えないほど静かになっている
「しかも気もーー」
「「「それ以上はなしで」」」
♢ ♢ ♢
「……」
「……」
「……」
宿のチェックアウトの時間が過ぎていたので、皆で店の人から注意を受けたのち、私達はお昼ご飯を食べていた
気まずさから、私達の会話は弾まず、ただ黙々とご飯を頬張っていた
「美味しー!この食べ物は何て言うの!」
……ただ1人を除いては
「それは納豆だよ」
「こ、これが納豆と言われるものっ……!臭くてマズイと聞いていましたが……その臭いが癖になる!この食べ物は革命です!」
初めて納豆を見た人がここまで納豆を褒めるのは珍しい。……それよりも、樹咲ったら、自分も初めてだったはずなのに、何故そんなに平気そうなのか?それとも平静を装っているのか?
どちらにしろ、いつも通りにいられることが、今は羨ましく感じた




