「混浴しかなくてな」
「……何言ってるの?」
「だってそうじゃない?琴乃さんと太一の為に結婚した……でも私が加われば、結婚する為の条件はクリア出来る……ならわざわざ好きでもない太一と結婚しておくメリットは由比羽にはないわけでしょ?」
確かに樹咲が妻に加われば、私はいなくても結婚生活は続けられる。妻は2人迎えなければならないという条件はクリアしているからだ
「……いいんだよ。私はこのままで」
「いいの?本当にいいの?」
念押しして聞いてくる樹咲
「いいの!どうせ好きな人も出来ないし、作る気もない!親は私が結婚するって言ってすごい喜んでたし、1ヶ月程度で離婚して帰ったら、何言われるか分からないからね」
私の懸念点はそこにある。確かに別れられるんだろう。ただ、祝ってくれた人達や親にどう説明する?どう示しをつける?
そんな事を考えると、別れるに別れられないのだ
「……ふーん。まあ由比羽がそういうならいいけどね」
樹咲も納得してくれたようだ
「……」
「……」
少しシビアな話をしたせいか、少し空気が重たくなった
「ほらー。樹咲が重たい話するから変な空気になったじゃん」
「ええっ⁉︎わ、私のせい⁉︎」
「間違いなく樹咲のせいでしょ?これはもう……」
「……もう?」
「胸を触らせてもらうしかないなぁ」
「な、なんでそうなる……ってキャー‼︎」
樹咲の背後にすかさず回り込み、後ろから身体にぶら下がる丸い物を鷲掴みにした
「ふむふむ……琴乃よりは小さい……けど柔らかさは琴乃より……」
「人の胸を勝手に触って、勝手に人と比べるなぁ‼︎」
樹咲は私の手を振り解き、お湯を目一杯私に向けて飛ばしてきた
「わっぶ!め、目がぁ‼︎」
唐突な攻撃に対応出来ず、目に温泉が直撃した
「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎痛いぃぃぃ‼︎」
「ご、ごめんなさい‼︎やり過ぎましたわ!」
心配そうに私に近づく樹咲。……かかった
「おりゃー‼︎」
「キャー‼︎」
またも不意を突いて後ろに回り込んだ。目に水が直撃したなんてウソ。心配して寄ってくる樹咲を捕まえる為の罠だ
「だ、騙しましたわね!」
「騙してませんー。欺いただけですー」
「意味は一緒じゃない!」
大浴場なら大迷惑なほど騒いだ私達。……一応個別用の温泉に入って正解だったと思う
♢ ♢ ♢
「あ、やっときた」
集合時間の6時を迎えた。時間ギリギリで、太一と琴乃は宿にやってきた
「ごめん。遅れたか?」
「いや間に合ってるよ。樹咲が先に部屋で待ってる。料理ももう運んで貰ってるよ」
太一達と合流し、樹咲の待つ部屋まで2人を案内した
「……広っ!」
「……大きい」
「やっぱりその反応になるよねー」
畳が敷かれ、座布団が置かれ、無駄に高そうで大きな壺が置かれ、何を書いてるか分からない掛け軸があるTHE和風な部屋。大きさは10人は余裕で寝られる程の幅があった
「待ってましたよ。料理はもう全部きてますよ?」
机の上には、豪華な料理がズラリと並んでいた。肉、魚、野菜……見たことない食べ物など机いっぱいに並んでいた。確かに樹咲の言う通り、自由行動中に食べ過ぎたら食べきれなかっただろう
「それじゃあ……樹咲に連れてきてもらった事を感謝して」
「「「「いただきまーす!」」」」
♢ ♢ ♢
「……で、汗流して風呂入っての繰り返しだったかな」
「ボウリング面白かったよね」
「樹咲は全部ガーターだったけどね……」
今日のお互いの行動内容を話した。私達はレジャー施設で遊び倒していたこと。樹咲がどれも初体験だったが為に、全く出来ていなかったこと。樹咲の胸の感触……にはさすがに触れなかった
「そっちは?2人で何してたの?」
私が尋ねると、2人は見合った後に、お互い顔を赤くした
「あー……えっと……」
少し顔が紅潮したまま、太一は今日の出来事を話した
「まずとりあえずパンフレット取りに行ってな、そっからオススメの温泉に行ったんだよ」
「あ、やっぱり最初に入ったんだ」
「まあな。温泉街だし、まずはな。で、そこに着いて、受付の人からタオルを貰ってな。さあ入るか‼︎ってなったんだけど……」
ここで言葉を詰まらせる太一と顔が更に赤くなる琴乃
「何何何?何でそんな言いにくそうなの?」
「……その温泉な。混浴しかなくてな」
琴乃が耐えきれなくなったのか、顔を手で隠していた
「タオルも受け取ってたから出るに出られなくて……その……2人で入ったんだよな」
「で、でも!個別に用意されてる小さな浴槽のやつだったから‼︎ほ、他のお客さんとかと一緒に入った訳じゃなくて!ふ、2人で入っただけで!お、お互い大事な部分は隠してたから‼︎」
琴乃があたふたしながら話していた
ただ、私達は冷静に落ち着いて聞いていた
「な、なんでそんな落ち着いてるの?」
慌てふためく2人とは対照的な私達の態度に琴乃は不思議がった
「いや、驚いたよ?まあ驚いたけどさ」
「違う意味でね」
「そうそう。違う意味で」
もしかしたらとは思っていたけど、まさかまだだったとは……
「普通さ、結婚したんだからお互いの裸ぐらい見たことあるって。私は例外としてもさ。もう1ヶ月経ってるんだよ?」
「そうですわ。健全なのは良いことですが、学生婚を広めようとしてる国の考えは少子高齢化を見据えての行動。2人は国の意向に反しすぎですよ」
「そうそう。混浴ぐらいで恥ずかしがる夫婦なんていないから。普通は」
冷静な返答。まあ琴乃の裸を太一が見た時点でぶち○してやろうかとも思ったけど、よくよく考えてみれば夫婦。もう私が口出し出来る状況ではない。ならばもういっそのこと、さっさとやることやって、子供を作ってほしくもある
「子供を作るには肌と肌を重ねなければなりません。それなのにお互い見ただけで、しかも大事な部分を見てないのにそんな状態でどうするんですか‼︎」
「ちょっ、今ご飯どき……」
バンッ!
樹咲は机を叩いて立ち上がった
「……今日、4人でしますよ!」
「「「は、はぁぁぁ‼︎」」」
血迷う樹咲
「お、落ち着いて樹咲!」
「ええい離してください‼︎やるったらやるんです‼︎」
暴れる樹咲をなんとか3人がかりで押さえ込んだ
……え?やるって何をやるのかって?
……なんだろうね。良い子には分からないかもね




