ケンウッドが強過ぎる
ケンウッドの自宅でしばしゆったりする。
お爺ちゃんが若返り過ぎた違和感はまだ拭えないのだが、というか試しの試合が長すぎるだろ。
帰ってからも1時間以上掛かってるんだが。
これ、もしかして寝ないとダメなパターンか?
―― 次話タップしないとケンウッド動かないにゃー ――
なん……だとっ!?
意識していなかった次話タップの事実に愕然とする。
気付けば簡単なことだった。
イベント起こすのは次話タップに決まってるじゃないか。
何を律義に終わるの待ってたんだ僕は!?
さっそく次話をタップする。
すると試合を終えたらしいケンウッドが戻ってきた。
うん、まぁ、なんだ。これは多分ルート分岐って奴だね。
お爺ちゃん状態ならさっさと自分たちで次に向うルート。
若い状態ならお爺ちゃんに歓待されてから向うルートって奴だろう。
それからしばし、精進料理みたいな歓待を受けた僕らは、次話の戦闘を行うためにケンウッドの家から暇を告げる。
だが、元気になった元じいちゃんは遠慮がなかった。
せっかくだから儂も手伝おうとかいいだして強引について来たのである。
セルジュさんも仕方ないと着いて来て、なんかオリジナルキャラが大量に仲間になってます。
魔王様にパルマにサシャ二人だろ。シークレットもだし、多くね?
いや、別にいいんだけど。既にアニキのバギーに全員乗らないのでここからはずっと歩きである。
森の中は危険が一杯。
早速現れたのはコボルトさん4体。
折角だからNPCにケンウッドを加えてナルタ、ナイチンゲルダ、アニキ、サボ、レスティスのメンバーで出撃する。
……?
…………サボぉっ!?
いつの間に戦闘班に紛れ込みやがった!? そういえばアイツもオリジナルだ。消えたり出現したりで忘れてたぞ。
何気に戦闘本格参戦は初めてだよなサボも。
折角だし闘い方を見ておこ……
「行くぞ小っ童どもォ!!」
開幕一番、ケンウッドが咆え猛る。
いの一番に突撃したを思った瞬間、視界がブラックアウト。
なんだ!? と一瞬パニックになった視界に、光が瞬いた。
打撃の光だと気付いたのは、視界が戻った瞬間ドパンと謎の音が響いてケンウッドが敵陣通り抜けた後のこと。
コボルト4体に9999のダメージを叩きだし壊滅させていた。
うん、予想はしてた。
だってセルジュさん言ってたもん。お爺ちゃんは有名な格闘家だったって。
まさに二の打ちいらずだね。
武神ケンウッド Lv100
必殺:
秘奥・壱打
武の頂きにて習得せし至高の一打。敵全体に至高ダメージ。防御無視付加。
スキル:
虚空菩薩掌
離れた敵を一撃粉砕。
閻魔断罪蹴
敵前衛を一撃粉砕。
天下唯一
敵単体に連続攻撃。気分により1~99連撃を行う。
パッシブ:
鋼の肉体
防御力UP。精神系異常無効。即死無効。
明鏡止水
攻撃を受ける際高確率で明鏡止水発動。
先手必勝
開幕直後に必殺が放てる。
若返ったジジィ強ェえ!?
何このチート存在? ちょっと神様、いくらなんでも盛り過ぎだろ!?
あ、しまった。今神様寝てるや。
それに指摘してケンウッドの能力下がったら嫌だし。これは報告しなくていいかな。
なんだよイリス? そんな目で見るなよぉ。いいじゃん。強い仲間がいるんだから。いいじゃん、どうせ皆チート存在だし。
ほら見ろよ魔王にサシャ二人も仲間に居るんだぜ? おかしいだろ。魔王倒すためにソシャゲ進めてるのにラスボス既に仲間入ってんだよ。これどうなってんの?
初めからおかしいんだよこの世界は。
だからケンウッドがなんか一人だけで魔王様ぶっ殺せそうでも無言の圧力込めて見つめなくていいんだよ。
彼は昔は強かった。そして今昔に戻った。それでいいんだ。
ほら、仲間に居るケンウッドは爺ちゃんのままだから、アレはオリジナルだから多分最後まで仲間にはなってないって。
森の中を散策しながら次話をタップする。
どうやら6話目にしてようやく山を下るらしく、徐々に坂を下り始める。
出現した敵はイノシシとウリボウの群れだった。
ケンウッドにより一掃されるのは変わらずだ。またチート存在、しかも魔王様より強い生物が仲間になってしまった。
7話を選ぶと山から麓へ。
畑が広がり遠くに国が一つ見えた。
アレが皇国らしい。
畑では村人たちがせっせと畑を耕している。
って、こいつ等全員村人Aじゃないか。
そうかっ! 村人Aが多かったのはただ出現率が多かっただけじゃなかったんだ。
神様が面倒臭がって農村部で働く奴は全員村人Aにしたからその分村人Aの出現率が高まったんだ。
この世界に何人の重複した村人Aオリジナルがいることか。
ここに見えるだけでも100体以上がいることは確かであった。




