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見つけろ砂漠の村のバグ探し4

「……またか」


 壁透過バグを指摘した瞬間、日本家屋に飛ばされたプレイヤー穂高大介です。

 いやー、まさか指摘速攻でこうなるとは。

 別にさ、緊急メンテ行うのはいいんだよ?

 でもさっきメンテしたばっかじゃん。


「うっわ。見てダイスケ。今回のメンテすっごい時間かかるっぽい」


「へー。んじゃここでしばし寝とくか」


「ダイスケ。貴方がここで寝ても他のキャラは個別行動してるけど、いいのかしら?」


 イリスがそんな事を言う。

 そっか、全員暇になるんだよな。


「んじゃー、皆、ストックに戻りたい人いる?」


「そうだな。暇になりそうだし時間止めとくわ」


「儂も節々が痛いでなぁ、待っとくのもきついわい」


「私はここで祈りを捧げたく思います」


 アニキとケンウッドはストックに行くらしい。

 二人を仕舞って残っているリーハとサクヤに向く。


「ふむ。まぁ我はこのままでよい。日本家屋とかいう場所でゆっくりするのも良いモノだ」


「わたくしは貴方と共にありますので」


 リーハもサクヤもストックに向かう気は無いらしい。

 なので二人は自由にして貰って僕は布団を敷いて寝ることにした。

 リーハ、サクヤ、シークレットがちゃぶ台囲んで会話を始め、イリスが隅の方で本を読み始める。

 余ったルーカはどうしよう? と戸惑っていたが、どうでもいいのでさっさと目を瞑る。


 ……

 …………

 ………………


 おはようございます。6時間きっちり寝ました。

 目を開けば、なぜかシークレットの顔がドアップ。

 一瞬で眼が冴えました。


「うおぁ!?」


 慌てて飛び起き布団から飛び出すと、背後にふにょんと柔らか触感。


「御館様ったら、大胆です」


「うおぇ!?」


「くはは。なぁにが大胆だ蛇女め。自分から抱きつきに行ったではないか」


「お黙りペチャパイ魔王」


「ブチ殺すぞ駄蛇ッ!!」


 僕が間に居るので取っ組み合いになれない二人ががるると火花を散らす。

 えっと、まだ理解が追い付かないんだけど、なにがあったの?


「簡単に言えば……話し疲れたシークレットがダイスケの布団に潜り込んだだけよ。そのまま寝たみたいね。サクヤはダイスケが飛び退いた瞬間背後に回り込んで自分の身体で受け止めただけ」


 傍で見ていたイリスがどうでもいいという声音で答える。

 成る程、なんとなくわかった。

 で、ルーカは何してんの?


 なんか空中で逆になりながら腹筋っぽいのをやっている。

 聞けばやることが無かったから筋トレしてるんだとか。

 それ、筋トレになるの? つかそもそもサポーターって筋力付くの?


「残りの時間は?」


「3時間延長だからまだ6時間残ってるわ」


「……おかしいな。寝る前も6時間じゃなかったっけ?」


「延長2回目よ?」


「神様苦戦してるなー」


 他人事のように告げる。

 もともと他人事なので問題は無いだろう。

 んじゃ、もう一眠りするかなぁ。


 ……

 …………

 ………………


「きろ……起きろダイスケー」


「ごふっ!?」


 お腹に鋭い衝撃が襲いかかり、僕は強制的に目覚めさせられた。

 目を開けば、ルーカの足が僕のお腹にダイレクトアタックしている。

 このヤロウっ。

 足を掴んで引き寄せる。


「え? ちょ、ダイスケ!?」


 あ、なんかこう丁度抱き枕にいいかも。


「きゃーっ、エッチ、スケベ、変態っ。犯されるぅーっ」


「ほらシークレット、こいつぎゅーっとしてみろよ。なんか抱き枕にいいぞ?」


「え? え? ……あ、ほんとですね」


「ぎゃー。凶悪な胸に包み殺されるぅーっ」


 ルーカよ、それは僕に代わってください。

 ルーカをぎゅーっと抱きしめていると背中から凄い恐怖が襲って来たのでルーカを生贄に差し出すことでなんとか躱す。

 ルーカに手を出すつもりはないという主張と、ルーカの背丈が抱き枕に丁度良いことを教えることで僕への嫉妬を逸らさせて貰う。


 思いのほか気に入ったらしいシークレットがルーカを抱きしめるのを見ながら、さっさと起き上がる。

 まだ日本家屋だ。

 イリスに聞くと、もうすぐ終わるようなので起こしたのだそうだ。

 洗面台に向かい顔を洗ってさっぱりしておく。


「お、そろそろだな」


 僕が呟いた次の瞬間、僕らはどこかの宿屋に転移した。

 ベッドの上でシークレットとルーカがプロレスごっこしている。

 ルーカがタップしているのだが、その動きが徐々にゆったりになっていく。


「あ、シークレット。そろそろルーカが死ぬぞ」


「ふぇ!?」


 慌てて引き離すとぐったりとしたルーカは震える手で拳を造り、僕に親指を立てた。

 そしてそのままがくりと気絶する。

 一体彼女は何を体験したのやら。まぁ満足そうだからいいか。


「また来たようだな。なにが起こっている?」


 護衛兵のA子さんがそんな事を告げる。

 うん、気付いてました。

 またイケニエ国王のいる宿の一室に連れて来られるって。


 神ェッ!!

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