大森林から城へ
小一時間経った。
神様からの連絡はまだない。
おそらく城内を必死に作ってるか、作り終えて力尽き眠っているかだろう。
正直お疲れさんと言いたい反面、こっちのバグ重要だろ早く直せよ。と思ってしまう。
これ、どうすんの。つかここどこよ?
どうやって元の場所に戻ればいいの?
「神からの連絡、ありませんね」
「そう、ですね」
「では、行きましょうか?」
行く? どこへ?
「神が当てにならないのはいつものことです。あとは自力でなんとかするしかないでしょう?」
そういえばこの人殺伐とした世界から来たコラボキャラだった。
ジャキンと銃器の安全装置を外し、いつでも撃てるように身構える。
何が出るかも分からない森の中だ、こういう時ポジティブシンキンな人がいると頼りになるよね。
森の中を迷わず進んでいくセフィーリア。更なる迷子になるのか、それとも運良くどこかに脱出出来るのか、運が良いのか悪いのか、今の所魔物と遭遇なんてことは無い。多分戦闘が実装されてないからだろう。
戦闘があるのはデイリーミッションとかメインミッションだけだろうから一般的に世界を探索中に遭遇する敵が居ないのだろう。
「何か出そうな密林なのに何も出ませんね?」
「そ、そうっすね」
なんとなく理由は分かるけどそれ告げたらなんか腹いせに消されそうなので黙っておく。
ひたすら二人で探索した後は、そろそろ日も暮れるということでキャンプを始める。
交代制で寝るとセフィーリアに提案されたけど、僕が寝ると世界が止まることを伝えると、嫌そうな顔をしながらさっさと寝ろと言われてしまった。
襲うなよ。とか言われたけどそんなことしたら僕が死ぬだけなので丁重にお断りしておいた。
なぜか蹴られたけど命にかかわる程のダメージじゃないから甘んじて受け入れておいた。
畜生、もうこの人とかかわりたくないっす。
起きた後はキャンプファイヤー。森の中で大丈夫かと不安になるが、適当な木の実をセフィーリアが取って来て一部を僕に手渡してくれる。
食べれるかどうかも分からないのでまずは果汁を腕に少し垂らせと言われた。
それで痒くならないなら次は舌で果汁を触る。舌先が痺れるなどすれば毒だ。
問題無ければ少し食べる。数時間問題無ければその実は食べれる。とかセフィーリアに言われ、一先ず実践してみる。
一応問題ないっぽい。
お腹を満たした後は再び探索である。
深い森の中を二人きりで探索する。
神様、まだですか。もう六時間くらいたったんじゃないか? さっき寝たし、数時間は経過しているから起きてても不思議じゃないはず。もう一回メールしてみるか?
強制転移できれば……あ。
あった。強制転移出来る方法が。
でも、強制転移出来たのは一回だけなんだよなぁ。あの城に戻ることはできてもゾンビ関連クリアしないと……そっか、あの後エンディングに向かえば……行けるぞ!
「あのセフィーリアさん」
「何かしら?」
「転移で見知った場所に行きませんか?」
「ん? もしかして何か方法がありましたか?」
「ええ。一つ強制移動の場所がありまして。それで飛べばちょっと遠いですけど見知った場所に向かえます。そこからならアニキのバギーとかで一気に向えますし」
「そう、ならそれで行きましょ」
了承を得られたので早速タップ。
選択した瞬間だった。
自分が居る場所が唐突に切り替わる。
石造りの廊下にガラスの入っていない吹きっ晒しの窓。壁は青色のレンガのように組み合わさった石作り。
すぐ前には豪奢な扉があって、二人の兵士が左右に立っていた。
「な、何奴!? ここはシークレット王女の部屋よ!」
確かA子とB奈だったっけ?
二人の出現に、セフィーリアは即座に反応した。
手にした銃で迷いなく二人を撃ち抜く。
容赦がなかった、隙が無かった。僕は震えているしかできませんでした。
戦闘は一瞬で終わり、無傷の二人がどさどさっとその場に崩れ落ちる。
なるほど、シークレットに会うときはこうするのが常道だったのか。
まぁいいや。とりあえず2部エンディングをタップしてっと。
崩壊する城を見送る僕ら、両手に抱くのはシークレット。
シークレットははっと我に返って周囲を見回し、え? え? と困惑する。
哀しげな顔で崩壊する城を見送る国王陛下を見て今どんな状況なのかを納得し、どういうことですか? と視線で僕に訴えかける。
とりあえずその場でシークレットに現状確認。
どうやら僕らと共にマルボリック皇国で黒ずくめ追ってたら僕とセフィーリアが消えて皆が混乱。そうこうしているうちに気付いたらここに居たのだとか。
よし、とりあえず外出れたし、アニキのバギー乗って皇国まで一気に向おう。
今更ながらだけど、エンディングだけ選択すればよかった気がするな。無駄な犠牲が出た気がするよ。