第5章開始、攫われた皇女
ふはぁ。と宿屋に戻った僕は息を吐く。
正直疲れた。
セフィーリアにホーメリーとか新キャラもそうだけど、なんか色々あり過ぎて一先ず眠りたい。
「折角だから情報を収集したいわ。ストックから適当なメンバーを出しておいてくれる?」
セフィーリアに言われて適当に仲間キャラを出す。レゴウやオーライは出さなかったけどね。ややこしくなるから。
情報収集って何するつもりなのかとか、僕が寝てる間動けないんじゃ? とか思ったけれど、とりあえずそういう疑問は後からで、今はゆっくり寝かせてください。
メンバー全員戻ってきたから凄い大人数になってるけど、まぁその辺りは放置でいいよね?
セフィーリアさんが一人一人尋も……げふんげふん。お話を聞いている声を聞きながら、まどろみの中へと沈んでいく。
……
…………
……………………
うーん。寝た気がしない。
なんかさっきからガタガタ煩いぞ?
ふあーっと起き上がった僕は窓を見る。
黒ずくめの誰かがパルマを小脇に抱えていた。
「は?」
呆然とする僕の目の前で、そいつはパルマを攫って行った。
他のメンバーは? なぜかそれを見守りながらも行動を行おうとすらしていない。
セフィーリアさんすらも何もしていないのはどういうこと?
「ど、どどど、どうしようダイスケ、パルマが攫われた!?」
「いや、止めれただろ。オリジナルのリーハとかサシャとかセフィーリアさんとかいたじゃん。サボも何で止めなかったの?」
「そういうイベントだから、でしょ」
イリスさんごもっとも。
つまり、パルマを連れた状態で宿屋に泊まるとパルマ拉致イベントが起こるってことね。
どうりで皆微動だにしないはずだよ。
「んじゃ、パルマを助けるために次話タッチってことで……あれ?」
サボの後ろにいたそいつを見付けて僕は思わず小首を傾げる。
「なんでパルマがそこにいんの?」
「え? ダイスケがストックから出したからでしょ?」
「あ、コピーのパルマさんか」
「え? いえ、その、私オリジナル、です」
んえ?
僕ばかりかルーカやイリスまで驚きに目を見開く。
「フッ、しっかりとパルマは私が守っていたさ」
サボ煩い。
ん? でもそうなると、連れ去られたのはコピーのパルマ?
「そうなるな。私と話をしていたところを連れ去られたわ」
セフィーリアさん、なんかちょっと怒ってる?
「いくらイベントとは言え、目の前で連れ去られるのは虫唾が走るわね、行きましょうダイスケさん。私に敵対した愚か者に等しい死を与えに」
ヤバい、奴ら、眠れる獅子を怒らせやがった。
もうどうなるか知らないぞ。僕は匙を投げるよ。
とりあえず追わないことにはその怒りが僕に向かって来る訳だから、行かない訳にはいかないね。
えーっと、イリス、案内よろしく。
「そうですね、まずは第1話をタップ。その後宿屋から出ればイベント再開です」
「了解」
ストックから出していたコピーキャラをストックにしまい、僕らは宿屋から出る。
「あ、見てダイスケ、あそこ」
なぜか既に脱出ずみのはずの黒ずくめの後ろ姿が向いの屋根の上にあった。
着いて来いってことか?
多分神様が追えっていってるんだろう。
仕方無いので黒ずくめの後を追って行く。
一定距離離れると立ち止まり、僕らが追い付くのを待ってから逃げていく。
一瞬罠かと思ったが、イリス曰く神様が道に迷わないようにしたんだろうとのこと。
拉致成功したのにわざわざ逃走ルートを教えながら逃げる黒ずくめ。
アホにもほどがあるだろ。
まぁ、追う側からすれば楽でいいけども。
「あれ、パルマごと撃ち殺してはいけませんか?」
「セフィーリアさんやめてください」
この人は面倒臭くなると人殺すことで最短解決目指そうとするよね。
たまには冷静に迂回してください。マジで。切実に。
「それにしても、まどろっこしいですねこの世界は」
「それに楽しみを見つけないとこの世界は生き辛いよ。バグ結構多いし」
「そのバグというのがよくわからないのですが」
「そうですね、普段ならありえないことが起こる、とかですかね」
と、告げた瞬間だった。
今まで走っていた僕とセフィーリアが一瞬で森の中に踏み込む。
「んん?」
「あー、今度は転移バグだ」
「転移?」
「ある場所を通ると別の場所に強制移動させるバグだよ。本来行うべきものではない行動を起こす事をバグといいます」
「なるほど、こういうモノが沢山ある訳ね。で、ここはどこかしら?」
「とりあえず神様にメール送ります。せめてどこか分かればいいんですが……」
というか、頼む神様、今僕はセフィーリアさんと二人きりである。
そう、迷わず殺人犯す頭がおかしくなってる女性と二人きりなのである。
下手したらまた殺されるんだけど、どうしろっての神様?




