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捨て石として、使えばいい!
次の授業までの休み時間。
二年三組の教室では、二宮が白石美奈に向かって、バスケットボールの話を続けていた。
美奈が自分のプレーについて尋ねたことが、そもそもの始まりだった。
「小柄なプレイヤーには、小柄なプレイヤーの支配の仕方があります。僕は、白石さんがポイントガードに向いていると思います」
二宮は美奈が試合中に周囲をよく見ていることや、相手の動きを読んでいることについて、細かく説明し始めた。
美奈は、二宮の勢いに少し圧倒されていた。
近くの生徒たちも、二宮の話を聞いていた。
笑うには真剣すぎる。
感心するには、少し変すぎた。
「ちょっと待って」
美奈が思わず口を挟んだ。
二宮は止まった。
「それ、私のこと?」
「はい」
即答だった。
「白石美奈さんのことです」
美奈は、二宮の顔を見た。
話し方は相変わらず変わっている。
けれど、自分のプレーをよく見ていることは分かった。
二宮は、最後に強い口調で言った。
「僕を女子バスケットボール部のマネージャーにして下さい。捨て石として、使えばいい!」
近くの生徒が、小さくつぶやいた。
「……捨て石?」
その言葉は、教室の空気とは全く噛み合わない。
なのに、妙に残った。
美奈は、二宮の顔を見た。
間違いなく変な人だと思う。
けれど、自分のプレーを、これほど真剣に見ている人がいるとは思わなかった。




