第8部 第4話:共犯者のロジカル・ゲート
最終防御を前に、リリィの暴力とエリカの論理が火花を散らす。二人は互いを「最悪の相棒」と罵りながらも、フェリシア奪還という唯一の交差点のために、魂の同期を強行する。
最終防壁は、思考を読み取り「矛盾」を突いてくる精神の鏡だった。
「……っ、あ、ぐ……!」
リリィの脳内に、聖女時代の「偽りの平和」が逆流する。レンチが震え、黒いノイズが霧散しかける。
「情けないわね、リリィ。その程度の迷いで、彼女の隣に立つつもり?」
隣で腕を組み、冷然と言い放つエリカ。第3話でリリィに蹂躙され、ボロボロになったはずの彼女は、しかしその瞳に傲岸不遜な光を宿したままだった。
「……っ、黙れよ、旧型……! アンタこそ、足元が透けてんぞ!」
「ええ、私はもう消えるだけのデータ。でも、この世界の『鍵』を覚えているのは私だけ。……ほら、私に合わせなさい。あなたのその汚いノイズを、私の論理の隙間に流し込むのよ」
エリカがリリィの手の上に、自分の透けた手を重ねた。
冷たい。だが、計算機のような正確な脈動が伝わってくる。
「……仲良しごっこかよ、反吐が出るな」
「勘違いしないで。私は今でも、あなたのやり方は間違っていると思っているわ。……でも、あいつ(フェリシア)がいない世界は、私の計算式でも『退屈すぎる』のよ」
《DUAL LOGIN:CONFIRMED》
《SYNCHRONIZING…》
リリィの「怒り」と、エリカの「秩序」が無理やり一本の線に編み上げられる。
二人の精神が混ざり合い、防壁の「矛盾」を力技で塗りつぶしていく。
「行くわよ、クソ聖女! 世界の心臓を、そのバカげたレンチで叩き割りなさい!」
「言われなくても……やってやるよ、元ラスボス!!」
二人の怒号が重なり、最終防御がガラスのように砕け散った。
開かれたROOTへの道。
エリカは微かに不敵な笑みを浮かべ、リリィを見据える。
「……さあ、ここからはあなたの番よ。私の論理を超えて見せなさい」




