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第14章「伯爵令嬢とサイバー馬賊、血風の協奏」

 人類防衛機構の正規装備であるレーザーライフルと大型拳銃の威力たるや、相も変わらずに素晴らしい。

 こうして大量に転がる真新しい賊軍の死体は、その高威力と高水準の証明って所だね。

「おのれ、公権力の犬共め!」

「好き放題に嬲りおって…かくなる上は…」

 そんな友軍の惨状を目の当たりにした紅露共栄軍の兵士達が、怒り心頭の様子で喚き散らしているよ。

 だけど意外と臆病なのか、相当な間合いを取っているね。

「かくなる上は?ふぅん…どうしようっての?」

 それなら私も、即応出来るように準備はしておかなくちゃ。

 割と距離は離れているけど、私とレーザーライフルなら充分に射程圏内だからね。

 戦場では臆病なまでの警戒心と慎重さが生死を分けるんだよ。

 そしてそうした慎重な準備は、今回も身を結んだんだ。

「喰らえ、公権力の犬共め!このグレネードで…なっ!?」

「吹き飛ぶのは君達だよ!」

 その次の瞬間、グレネードランチャーを構えた敵兵の集団がまとめて爆発に飲み込まれたんだ。

「ぐおおっ!」

「アッハハ!薄汚いテロ屋風情の割には、奇麗な爆炎になったじゃないの!」

 私の精密射撃の腕前とレーザーライフルの破壊力があれば、発射直前のグレネードランチャーを爆発させるなんて訳はないんだよ。

「う~ん、もう最っ高!まるでお祭りの爆竹みたい!」

 予備のグレネード弾を始めとする弾薬まで次々と誘爆しちゃって、もう凄い事になっちゃった。

 ちょっと前までの私だったら、「弾薬が無駄になって勿体ない」と感じていたんだろうね。

 だけど友軍と合流して正規装備を手に入れた今となっては、あんな粗悪品なんか鹵獲したいとも思えないよ。

 昔から「貧すれば鈍する」とか「金持ち喧嘩せず」とはよく言うけど、物質的に余裕が出来ると心にも余裕が出来るんだね。


 すると向こうの方から、もはや意味をなさない大勢の叫び声と乱れた足音がこちらに迫りつつあったんだ。

「お、おのれ!公安の犬共め、許さんぞ!」

「せめて…せめて死なば華々しく…」

 どうやら連中と来たら、玉砕覚悟の万歳突撃でもするつもりみたい。

 度重なる味方の惨状への憤りと憎しみか、それとも戦力が切り崩されていく事への焦りと恐怖か。

 どちらのベクトルの感情に突き動かされたかまでは分からないし、興味もないけど。

「おっ、さっきの爆発音に釣られてやって来たな…すぐに仲間の後を追わせてあげるよ。」

「ここは(わたくし)に御任せを、千里さん。」

 そんな私の闘争本能に待ったをかけたのは、血塗られた戦場で聞くには不相応な程に清楚で上品なソプラノ声だったの。

「最高の戦場で、武人として存分に武勇を示したい。それは(わたくし)もレーザーランスも同じ事で御座います。」

 そうしてライトブラウンの長いストレートヘアを戦場の風に翻しながら現れたのは、伯爵令嬢という高貴な来歴と類稀なる槍術の実力とを兼ね備える事で「ランサー・カウント」の異名を持つ生駒英里奈少佐だった。

 その両手で携えられたレーザーランスのエッジは、至る所で煙の燻る要塞の通路で煌々と輝いているよ。

「うん!頼んだよ、英里奈ちゃん!ビシッと格好良く決めちゃって!」

「勿論で御座います、千里さん!それでは参りましょう…レーザーランス・地裂衝!」

 裂帛の気合と共に突き立てられたレーザーランスのエッジは、何の抵抗もなくコンクリートの床面にめり込んでいった。

「はああああっ!たあっ!」

 そして次の瞬間には凄まじい振動を伴い、ジグザグの地割れが床面に生じたんだ。

 その上にあった全ての物を、空中に跳ね上げながらね。

「うわああっ!」

「な、何いっ!?」

 敵兵達の混乱と動揺は、今や最高潮に達していた。

 まあ、それも無理はないよね。

 何しろ只でさえ不安定な足場を出し抜けに崩されたばかりか、いきなり空中に跳ね上げられたんだから。

「あぐっ…ぎゃああっ!」

「がふっ、ぐあっ…」

 オマケに床へ堆積していた仲間の死体や床材の瓦礫までもが跳ね上げられ、自分達を襲う凶器と化したんだからね。

 この質量を伴うダメージはさぞかし堪えるだろうよ。

「今です、千里さん!」

「よし来た、英里奈ちゃん!」

 私がレーザーライフルを構えるのに合わせ、英里奈ちゃんがレーザーランスの銅金に設けられたスイッチを作動させる。

 すると中央のメイン・エネルギーエッジが発光し、その周囲を取り囲む3本のサブ・エネルギーエッジが、口を開けるように大きく展開したんだ。

 これこそ、レーザーランスに搭載された射撃武装である破壊光線砲だよ。

「破壊光線砲、照射!」

「レーザーライフル、高出力モード!」

 レーザーランスから放射された目映い白色の破壊光線と、高出力モードで発射された深紅のレーザー光線。

 この二筋の鮮烈な光は、射線上に放り出された全ての有機物と無機物を飲み込み、完膚なきまでに破壊していったの。

 そして次の瞬間には、重厚な崩壊音さえ響いたんだよ。

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― 新着の感想 ―
まあ相手が全面的に悪いんだけどね。 逆に死体が残らなきゃそこに敵組織があった事の証明にならないぜ……ってくらいもうご愁傷様としか言えないくらいのワンサイドゲーム(;゜Д゜) アムール戦争の時と比べる…
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