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掃除人の幸福


まずは、前話からの変化を報告致します。

イヤミな2人は、夕食前後などの団欒で話をなんとなく前よりちゃんと私が受け答えするように。空っ聞かずじゃなくなったら、何だかとても穏やかな毎日になりました。

家族2もそんなに愚痴ばかり言わない感じに。


何だい、やはり私側からコミュニケーションが上手く取れてないってのが、イヤミな2人そもそもの原因だったのかい?そっかー、としみじみする次第です。

とにかくご安心を。些細な、ケンカにもならないやり取りがあったりもするけど、話をして笑ったりもするし、ウチの家族達は穏やかな日常を送っております。


さて、今回は、掃除人の幸福とタイトルをつけました。


私はあまり、掃除が得意ではありません。病を得る前は経理、印刷会社のDTPやる人、派遣でデータ入力や冊子の表を作る人と、やってきた仕事はデスクワークでして、身体は全く動かさない。通勤時に若干歩くくらいでしたね。


それが、色々あって実家に帰り、色々病の状態から、徐々に復活してきた頃、就職ができました。

就職先では、掃除など、身体を動かしてます。軽作業にあたる運動量ですかね。


ここで、障がいのある人の就職にご興味のある方もいると思うので、少し書きますね。

私が就職した経緯は、私と同じ病や、他の病などを抱えた方達が通う施設に行って、社会的にリハビリしていて、そこで、まあ状態が良いのではないか?と認めてもらった事がまずあります。


施設に通った時間は、はっきりとは覚えてないけど、家で朝ごはんを食べて車で送ってもらい、(元気が少し出てきた頃からは自転車で行くようになりました)お昼は持って行ったお弁当を食べて、午後は夕方になんてならない内に帰る、くらいですね。

無理はできない人々の通う場所なので、小学校低学年程度が学校に行ってるのと同じくらいな時間、施設にいた感じだったかなぁ。


施設では、生活を整えるリハビリ的なグループと。そこから一歩進んで、就労の準備として、微々たるお金を貰いながら軽作業をして、実際の就職を目指す、というグループがありました。

最初っから就労準備グループには入れなくて、まずは生活リハビリグループに入りました。そして、そもそも、リハビリしたからといって、全員が就労へ行く訳ではなかったです。年齢も障がいも病も、色々な方がいて、私もそこにいて、働ける、という所まで、自分を大多数の社会のスピードに合わせられる、って人ばかりじゃない、ってのは、行ってて分かりました。


リハビリグループでは、時間割があって、具体的には次のような事をしましたね。


調理実習。

精神の病の方に包丁持たせるの、怖いと思う方もいるかもしれません。でも、そもそも暴れるような感じの人は施設に通う前の段階なので大丈夫です。他の時間で、時折興奮する人があったりした事はあったけど、包丁持って危なっかしい、なんて事は、ありませんでしたよ。班分けして、作業も手分けして。

料理って脳に良いみたいです。段取り考えたり、家でも家族たちに勧められて、お手伝いしました。最初は、玉ねぎの皮剥く、お茶碗洗う、お箸用意する、とかでいいんだよ。


ヨガ

本格的にじゃない軽いものをだと思うんだけど、まあ、身体が弱って整ってない人も多いので、激しくなくて運動できるって事なのかな。


編み物

何か編み物とか料理とか、時間割の中でも選べる時間があって編み物選びました。家でもやってたんだけど、編み物はリズムもいいし手も動かすし、物も出来上がるしで、良かったです。


掃除

日本人ならば、自分が通っている施設の掃除はするよね、学校みたくね。とにかく掃除はよくやりました。でも、身体が弱い、体力がないしすぐ疲れちゃう人も多いので、とてもその辺は配慮されていましたよ。休憩多かったし、長く身体を動かす事はなかったです。無理はさせないし、できないんだな。


あとは忘れちゃったな。もっと細々あったと思う。塗り絵したり、何か簡単な計算したり?とにかく、本当に、一般の大人からすれば、簡単な事からやってましたね。確かラジオ体操もやったよ。時間を区切って、その中で行動をする、人の話を座って聞く、家族以外の他人と同じ場所で活動する、ってのがそもそも大変だったりするので、本当に徐々に慣れていく感じです。

色々な状態の人を、知れたのも良かったですね。

普通の人の中に自分だけ病だと、ガックリしそうだけど、色々な人がいるんだなぁ、って思えました。

残酷で傲慢な事だけど、自分より状態が悪い、どうなるのかな、って人を見て、あー、と安心と、何とも言えない気持ちと両方を思った事もある。

自分がどれくらいな感じか。

知った事は結果として良かったし、出来る事はその人なりにやっていくしかありません。


ただね、助けてくれる、頼りになる身近な家族がいない人もいるんだよ。その施設でも、誰かに助けてもらわなければ、なかなか状態が良くなっていくのに大変な人であっても、状況は様々でした。恵まれている、幸せな人ばっかりじゃない。


自分が頑張りさえすれば助かる、ってそう簡単には言えなくて、だからこそ、他者の助けって人間の社会には必要だな、って私は思っています。現実の社会は、弱っている、人との縁が薄い人に厳しい一面があって、だからもっともっと、色んな人が生きていくのに良くなるために、時代が進むと良いと思う。


就労準備グループになると。


数独やったなー。

簡単な計算問題。

掃除も。

俳句作ったり。

エクセルの簡単な操作。

蕎麦打ち。(蕎麦打ちしてみて、私には才能がない事が分かった。蕎麦は美味かった。)


お金がもらえる作業としては、

こんにゃくの袋の上を、ビニタイでひねる。

ペンなど小物の、傷物チェック作業。

なんかがあって、そんなに沢山やれもしないし仕事も量が沢山はないので、1か月貰えて1500円くらいだったかな?


施設の夏祭りやバス旅行(近場)もあったと思います。


この施設、通うのに料金は、というと、私は県での、何だったかな、補助金的なもので相殺されて、(申し込んだと思った)調理実習の材料費以外は払わなかったという記憶。


こんな感じで年単位で通った気がする。

曖昧で申し訳ないのですが、病の状態が悪くなり回復していった頃の事は、自分でも混乱したり判断力がなかったり弱っているので、何をいつどのように、などをしっかり把握できているか、というと、難しいってとこはあります。また10年以上前の事なので、記憶が遠くもなっております。


この施設に通っている時、状態としては、貧乏ゆすりをしてないといられない、だとか、座っていると背中に芯が入らない、椅子ならまだましだけど炬燵なんかだと姿勢がもたなくて、すぐ寝転びたくなっちゃう、とかありました。だからそもそも、デスクワークはもうできないな、って思っていましたね。長時間黙って椅子に座っているのが辛いんですもん。


就労準備グループで毎日を過ごしている内に、その施設に、同じ地元の障がい者の就労支援団体の方がみえて、私の状態が落ち着いている、大丈夫そうかな、という事で就労に向けて支援してくれる事になりました。


仕事するのに、大人だと、ずっと働いてなくて焦っちゃう事もあるかと思うんですけれども。無職って、ひー!ってなるよね。周りも心配するし。

就労支援団体の人が言ってたのには、仕事に就いても、なかなか上手くできなくて、すぐ辞めてしまうような無理をしては、結局よくない。って事でした。

だから簡単に、その時の気持ちで本人が働きたいって言っても、就労支援団体とはいえ、すぐには仕事を世話してはくれないんですよ。様子を見て、ゆっくり物事は進みます。


私も就職先を紹介してもらう前に、一回、地元のドラッグストアの品出しなんかを短時間、それはドラッグストア側のご厚意もあったのかな?仕事じゃなくて研修って形で、やった事もありましたね。1週間くらいやったかな。


その研修も経て、就職先を紹介してもらい、ちゃんと履歴書も書いて面接もして、採用してもらいました。


どういう職業に就いているか、は、詳しくは書けないのですが、とにかく毎日、掃除はします。


就職してからも、足が引き攣ってたりとか、全くの普通の状態になってからじゃないし、お医者さんから働ける時間はこのくらい、って許可をもらって、最初は9時から16時まででしたかね。それでも働き始めて随分たつまで、慣れるには時間がかかりました。身体的にも精神的にも。


働き始めても、良くなるには、って出来る事の中で、一つ。

歌を歌う、ってのをやっていました。

テレビかなんかで、歌っていいよ、ってやってて、そうかもなーって始めたんだったかな。呼吸にも良いんだろうし、快があるのも良いんだろうし、リズムがあるのも脳に良いかもですね。眉唾だと思うかもなんですけど、お金がかからないで簡単で楽しげな事は、やっても損じゃないです。


とはいえ、働きながら声に出して歌うと、変な感じですよね。だから、口の中で、声が出ない程度に、口を開けずに鼻から空気を抜いて、喉だけで歌います。鼻歌の音が出ないバージョンですかね。誰も自分に注目してないし仕事場は密室ではないのと、そもそも音楽が流れているので、気付かれません。大丈夫なんですよ。


掃除しつつ鼻歌歌って、良い天気で、なんつーとですね、あぁ、働いてるなぁ、って気持ちと。掃除人の幸福って、こういうのかなぁ、なんて思ったものです。


穏やかな毎日が過ごせるようになった頃に、ふんふん♪と手を動かして、良いなぁ、って本当にしみじみ思ったですよね。

今はもう、働くのに慣れて、毎日幸せだとか特別には高揚して思わないんですけど、本当に働くってのは、こういうのなんじゃないかなぁ、なんて。

自分に合ってるなぁ、って思いました。


お金が沢山もらえる訳じゃない。

仕事は出世をするっていう類のもんでもない。

障がい者雇用なので、すごく責任がある仕事は他の人がやってます。

でも、徒歩で帰れるくらいの仕事場で。

通勤電車にも乗らないで済むし。

いつも定時で帰れて。

帰ったらプライベートもちゃんと楽しんで。

家賃に汲々ともしてないし、のんびり生活できてる。

仕事場でも、皆が忙しくてやれない事をやって、助かるよーって言われる。やりがいも、そこそこあります。


一般的に言う成功者じゃないけど、私は私を、幸福な掃除人だと思っております。これはこれで、成功だなー、って。


これからも毎日、鼻歌を歌って掃除します。


障がい者を雇用すると、会社も税金でトクしたり、同僚の人たちもサポート的にポロポロ溢れる細かい事をしてもらえたりするので、仕事が円滑に進むのに一助となります。そもそもその障がい者雇用に対してのサポートもいるんだけど、(私もサポートしてもらっています)もっと普通のお仕事に混じって障がい者雇用が進んだらいいなー、って思っています。


色々な人があり、上手くいく事ばかりではないけれど。

沢山のものを手に入れるのとはまた別の、地に足のついた自分なりの幸せについて、伝えられたら、それもまた幸せです。






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