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最強傭兵団活動録:異世界編  作者: 怪物mercury
異世界戦争《攻戦》
31/32

28、ティンケの発明

どうも皆さんおはこんにちばんは!怪物mercuryです!

今回で、もはや何回目になろうか、というティンケ回です!

前回の終わりがどうしてこうなったか、というところから、ぜひお楽しみくださいませ!

「この体には、様々な偉人の遺伝子が詰まっている。その中には、ナイチンゲール、ガンディーといった人格者のものも含まれている。」


 ドウエの新しい剣に仕掛けた盗聴器から、クリアーなボイスが聞こえてくる。


 なるほど、その発想はなかった。


 てっきり、クワクワの超つよマジチートはおくしゅりかサイボーグ化か、そこらへんだと思っていたのに。


 予想が外れたのは悔しいけど、今はそれどころじゃない。先ほどの即席レーダーAIを急いで改造し、そのAIができるまでにウーノを呼ぶ。


「ウーノ。」


「なんだい。いま、集中しているからなるだけ話しかけないでほしいのだが。」


 ウーノがこういうのは、相当にいら立っている証拠だ。なぜなら、ウーノにも未来なんて見えないのだろう。


 つい先ほど、セーイとした会話がよみがえる。




「どうしたの?

今まで、どこに行ってたの?

その異世界美少女ちゃんは何者?

もしかして、魔法って私でも使えるようになる感じ?

ていうか、そもそもなんで出かけていたの?

言い忘れていたけどお帰り!

セーイってば、その子に手なんて出していないよね?

まさかもう寿だったりする感じ?ぐふふふふ」


「おちつけ!あと、その笑い方怖いから!とりあえず落ち着け!」


「わかった落ち着く。」


「急だなおい!」


「落ち着きなよ。」


「ああ分かった……ってお前には言われたくないよ!」


「それほどでも~」


「ほめてないよ!」


 そんな、私たちなりのいつものノリから始まり、やがて、セーイに何があったのか、主に旅立った後のことについて聞いた。


 どうやら、「この女の子とは単なる知り合いで、決してやましいことはない!」そうだけど、その慌て方は怪しいぞ、セーイどんよ。


 そして、クワクワとセーイが戦い、この、ソリアちゃんが負傷したことを教わる。もちろん彼女のことは、オットが慣れた手つきで連れて行った。


 クワクワに刺されたのは、改めて思い返すと、やっぱり痛かった。気を取り戻した後の記憶の混乱もなくなり、痛みはより鮮明に思い出される。


 そりゃ、酷いとは思うけど、だから殺したい、とは思わない。


 今までクワクワがしてきたことは聞いたし、それ自体は決して許されないことだけど、本当にクワクワはそうしたくてしていたのだろうか。


 それが何かあることは、それ自体が免罪符になるとも思ってない。けれど、それを発見することで、殺す以外の解決策は見つからないだろうか。必ずしも、物事の解決策は一つとは限らない。


 数学や物理でさえ、解が複数あったり、解き方がいくつもあったりするのだ。より複雑でたくさんの要素がある現実が、解決策が一つでたまるか。


 私は苦手だが、決して未来予知的なことが全くできないわけじゃない。もちろん、少し予想する、程度の域を出ないし、どちらかというと幼稚な悪だくみの域を出ないが。


「私は、クワクワを殺したくない。あの子も、って言ってもおっさんだけど、苦楽を共にしてきた仲間だし、私にとっては数少ない本当の友達。」


 やはり、セーイは苦い顔をするか。そりゃそうだ。友達を殺されて、自分の思い人にも重傷を負わされたんだから。


 それでも、クワクワを殺すのはあきらめてもらおう。


「私がそれを望むの。一度殺された私が。だから、協力して。」


 セーイは少し照れたのか、顔を赤らめ、


「わかった。」


 と答える。


「じゃあ、まずは考えるところから始めよう。クワクワを殺しうるのはドウエかトレちゃんだよね。トレちゃんのことは、理央ちゃんが殺しを嫌がるだろう話をすれば、きっと止められる。問題は、ドウエだね。」


「ドウエはきっと、いや、絶対にクワトロを殺したがるよ。」


「そうだね。だから、ドウエが殺す前に戦いを終えちゃおう。」


「どういうこと?」


「まず、ドウエのための新しい剣を作る。」


 もちろん、セーイどんには魔法を酷使していただこう。


 次に、その件で戦闘の状況を監視して、お互いに膠着したタイミングでトレちゃんに麻酔銃を撃ってもらい、その間に戦争を止めるのだ。


 おそらく、ウーノは私の頭の中は完全には覗けていない。だから、この計画がばれる前に戦争を止めてしまおう。




「ウーノ、ごめんね。もしかしたら、ウーノにはクワクワを許せない事情があるのかもしれないけど、これは止めさせてもらうよ。」


「何のつもりだ。」


「おっさんは黙って若いのに任せていればいいの!」


「おっさ……!」


 さすがにおっさん呼ばわりされたのは初めてだったようだ。ぴちぴちのJKなめんな。高校通ってないけど。


「じゃあ、ごめんあそばせ!」


「ま、待ちたまえ!」


 そう言われて素直に待つのは、やましいことがない人だけだ。悪いけど、あるんだよなぁ。


「セーイ、トレちゃんに連絡は?」


「とれたよ。でも、理央を人質に取っているようで申し訳ないんだけど……。」


「そんなこと後回し。まずは人命第一だよ。」


 パソコンをバチバチ打ちながら会話する。頭の使い過ぎで鼻血が出てきたが、今は拭いてくれるラプっちはいない。


「できた!遺伝子無効化薬!」


「何それ?」


「遺伝子に書き込まれた、基本的な人間以外の要素を無効化するの!これを打てば、チートキャラのおっさんから、単なるおっさんになるよ!副作用として、少しだけ平凡になりすぎちゃうかもだけど、今よりましなはず!」


「でも、それじゃあいつの性格は変わらないよな。」


「だからこそ、平凡なおっさんになったクワクワを見極めるの。逆に、悪いほうの性格が作られた方かもしれないでしょ。」


「もし、悪いほうが本当の性格なら?」


「その時は、ドウエやウーノを止める権利はなくなるけどね。」


 さすがに、どこまでもわがままを突き通すつもりはないし、できないのも分かっている。




「できるよね?」


「当然。」


 さすがトレちゃん、狙撃に対するプライドだけは高いからなぁ、この子。


 パッと私の持っている特殊弾を奪うと、スコープも使わずに撃った。


「ちょ、ちょっ!」


「命中。」


「確かに当たってるよ!どこに当ててもいいって言われたのに、見事眉間に。」


 望遠鏡をのぞいているセーイが報告してきた。


 ジジッ。通信機のノイズが聞こえる。


「何のつもりだ。」


 相変わらず行動が早いな、トレが返答しようとしたところをパッとさっきの仕返しに取ってやって、言い放つ。


「落着きなさーい!」


「なんのまねだ。」


「何年か前に流行った芸人の……。」


「……。」


 沈黙がこわい。


「ごめんって。」


「ごめんでは済まないこともあるぞ。」


「殺しちゃいないよ。それは、遺伝子無効化薬。チートなおっさんを普通のおっさんにする薬。」


「どういうことだ。」


「つまり、今のクワクワは、完全にただのおっさん。戦う力も、せいぜい普通のおっさんだし、頭の良さも平凡なおっさん。」


「俺とこいつは同い年なのだが……。まあいい。それで、どうするつもりだ。」


「もしかしたら、この子の性格は遺伝子のせいかもでしょう?それなら、見逃してあげようって話。」


「断る。」


 すげなくフラれた私の手から、再びパッと通信機がとられる。


「待って。」


「と、トレちゃん!?」


「トレ!?」


 トレちゃんがまともに話すのは、初めて聞いた。いつも、9割漢字でしか話せないのに。そりゃ、ドウエも驚きますわ。


「私は、殺したくない。」


 初めて聞くまともな会話に、みんな驚く。


「お、お前が殺すんじゃない。俺が、俺の意思でこいつを殺すんだ。」


「見殺しにするのは、同じこと。私は、それも嫌。」


 冷静に考えれば、トレちゃんが理央ちゃん以外のことで感情を出してくるのも初めてだったかもしれない。


「彼に、チャンスを上げて。」


「し、しかし……。わ、わかった。」


 さすがのドウエも押し負ける。


「こいつを回収し次第、帰投する。」


 それだけ言うと、ぶちっと通信機の電源を切った。




 戦争は、ワルキューレとクワクワを駆けさせた状態で、戦闘機に勝てなかったらしい、オーディン側が敗走し、ユミルと、セーイが連れてきた女の子のお兄さんという人が圧倒して勝利を収めた。


 女の子はソリア、お兄さんはヨルさんというらしく、かなりのシスコンなのか、セーイがぼこぼこにされていた。


それからは残党狩り、帰還へと移っていった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!いかがでしたでしょうか!

次回で、最終回となります「最強傭兵団活動録:異世界編」ですが、お楽しみいただけましたでしょうか?

最後を飾るのは、団の中心の、彼でございます!

もうしばらくお付き合いください!

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