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幕間1
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パーランダ社、局長室。ミフラが話をしている。しかし、局長室にいるのはミフラただ一人であり、室内に響く声はミフラのものだけである。
「例の石はまだ見つかっていません。この町にあることは間違いないと思いますが、なにせずいぶんと時間が経っていますからね。石に封じられた力が弱まっているのでしょう。そちらは?
――そうですか。やはりそちらでも石の感知は難しいのですね。
――ふむ。気長に情報収集するしかありませんね。一応、捜索活動も続けますが。
――難儀なものです。
――とはいえ、こうしてささやかながら現地人と交流を持つのも楽しいものです。
――ええ、もちろんわかっていますよ。『言葉は残せど実体は残さず』でしょう。しかし我らはもとより旅する種族。ふれあいもまた旅の妙味です。そう神経質にならずともよいではないですか。
――はい。それではまた連絡します」
話しながら虚空を見つめるミフラの目は、いつもの黒色ではなく、透き通るような淡い緑色をしていたが、話し終わると元に戻った。
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