第7話
旅の同行者が決まったことを報告に受けたのか、次の日、またグスタフが部屋にやってきた。
「同行者の決定おめでとうございます。こんなにすんなりと決まるとは思いませんでしたよ。さすが絶世の美女と名高いルーディアの娘でいらっしゃる。どの様な手腕を発揮したのかぜひ見たかったものです」
「なっ!」
まるで何かズルでもしたかのような言い方に、カチンとくる。
そんな私に気づいて、グスタフは首を横に振った。
「私は純粋に素晴らしいとお褒めしたのです。何をそんなに恐い顔をされているのです?」
「だって、今の言い方だと、私が何かしたような言い方じゃないですか」
「とんでもない。被害妄想ですよ」
グスタフの小馬鹿にしたような笑みに、私はこれ以上何を言っても無駄だと悟り、口をつぐんだ。
「で、何の用ですか?」
「同行者も決まったことですし、これからどうするかについて話にきました」
「じゃあ、さっさと話してください」
「ええ、そうですね。……では、これから貴女は姫を探しにここを出ますが、無計画に旅をしても時間の無駄になってしまいます。ですからここを出て北に位置する宝珠が納められている神殿に向かい、その宝珠に新たな力を注ぎ、宝珠の力を強化してください。そこで次の姫が見つからなければ、次に北に位置する神殿に向い次の宝珠の強化を、そうやって姫を捜してください」
「……」
姫探しをしつつ、宝珠の補強もしてもらおうと言うのだ。
厚顔無恥にもほどがある。
「詳しい事は私方からローラン殿に話しておきますよ」
「わかりました」
腹を立てるだけ無駄だ。
それは前のスフィアが書いた日記にも記されていた。
彼らは自分たちの利益にならないことにはとことん消極的だが、逆に利益なることには貪欲なのだ。
私もこの数日でそれを痛感している。
私に出来ることは、出来るだけ早く姫を探し出し、その任に就けることだ。
「出発する前に、まず、魔道が使えなければなりません。明日から魔道の使い方をお教えいたしましょう」
「あなたはお忙しいようですし、その教えてくれる方は、ぜひ他の方でお願いしたいですわね」
「おや、心配してくださらなくてもローラン殿が教えてくださりますよ。自分の力を使われるのです。ローラン殿は自分でお教えしたいと思いましたので、その旨も伝えておきます」
何から何までいやらしい人だ。
私は彼が特に好きになれない。
「魔道を覚えられたらすぐに出発してください。それまでに出発の準備済ましておかれますように。ああ、そうそう。道中はあまりゆっくり姫を探しされないようにお願いします」
「! ……話はそれだけでしたら、どうぞお帰りください」
「ええ、これで終わりです」
何から何まで怒りが湧き起こる。
彼は私をわざと怒らせているのだろうか?
私はグスタフをひと睨みし、これ以上顔を見たくなくて背中を向けた。
「リーザ、グスタフさんがもうお帰りになるそうです。見送りをお願いします」
「はい」
さっさと部屋を出て行って欲しくて、リーザを呼ぶ。
グスタフはリーザに付き添われ、感情のこもっていない挨拶だけを残し部屋を出て行った。
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