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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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メールの終わり、知らない方が良いこと

 アレは春も近づいてきたある日のこと、一通のメールが届いた。


 そこには『これは読んだらメールを消してください』と、そんな一文から書かれていた。


 何かと怪談を集めているようですが、この怪談を送りたく思いました、読んだらきちんと削除をお願いします。


 それが起きたのは私がまだ幼い頃、友達と遊んでいたときです。当時はものを知らなかったのでお寺の敷地内で遊んでいました。そんなところで遊んでいたときです、おじいさんが近寄ってきて私と友達に話しかけてきました。


「嬢ちゃん達、この辺に○○寺という寺が無かったかな?」


 その寺は何処も何も今私たちが遊んでいるところです。『ここがそうだよ』と子供なりに言うと、そのおじいさんは『おお……そうか、建て替えたんじゃな、久しく帰って来んかったから知らんかった、ありがとうな』と言ったおじいさんは寺ではなく墓地の方へ行きました。


 なんとなく気になった友人とこっそり後をつけておじいさんを追うと、何か大きな石の塊の前にいたんです。なんだろうアレ? そう思っていたら、おじいさんはその岩に吸いこまれていきました。


 子供ながらに訳のわからないことが起きたとその岩に近づきました、子供には読めない字がびっしりと書いてあるだけです。『消えたよね?』、『消えたよ』と友人に確認しても同じものを見たようです。


 なんだかそれが怖くなって二人して帰ることにしました。その時に、いったん寺から出て、遊ぶのに使っていたボールが置きっぱなしなのに気づいたんです。


 友達は『私はやだよ』と言います。私のボールだったので仕方なくまた寺の敷地に入っていったんです。ボールは遊んでいたところにコロコロ転がっていたので、それを回収してさっさと逃げだそうとしました。


 でも、ボールを拾い上げたときです、位置的にあのおじいさんが吸いこまれていった岩の見える位置だったんですが、その時見たのは岩からしわしわの手が一本伸び出してきて、それが私に手招きをしたんです。


 怖くなって泣きながら逃げて、友達が何があったのか聞いてきたのも構わずに逃げました。それきりあのお寺にはお盆のお墓参りくらいでしか行かないんですけど、ある時両親に聞いたんですよ、『あの石って何?』とね。


 そうすると、『あれはね、身寄りの無い人が寝ているお墓だからそっとしておいてあげなさい』と言われたんです。その時に意味はよく分からなかったんですが、アレって無縁仏のお墓ですよね?


 あの時吸いこまれていったおじいさんですが、妙に古い服を着ていたんです。それに、その事があるしばし前に家に来たお寺の人に封筒を渡しているのを見ていました。今思えば、あのお金で本堂を建て替えたんでしょう。


 別に腕に招かれたからって何かあったわけではないですが、そういったものは関わらない方がいいと思います。


 メールにはそう書かれていた。私はそれを読んで、いくつかの情報を消してからこうして内容を書き換え、オリジナルは削除した。


 なんとなくだが、このメールを読んで言ったん筆を置くことにした。またかき集めるのは明らかだが、なんとなくこの世ならざるものに近寄りすぎていたような気がしたからだ。


 こうして一旦この話は終わる。彼女とその友人が今どうしているかも書かれていたのだが、都合上それは削除した。あまり幸せな結果では無かったとだけ書いておく。

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