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怪談集「暗中」  作者: にとろ


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ゲームと記憶喪失と名前の話

 その日はソシャゲをプレイしていた。サ終をしようかと噂が立っていたゲームをプレイしながら、サ終まで付き合ってやるかと思いながらその日のデイリーガチャを回した。


 そんな時、きゅいーんとメールの着信音がした。幸いデイリーミッションはクリアしていたので、PCの前に行きメーラを開いた。さて、今回はどんなゲームが入っているかな?


 そんなメールの内容はなんとも言えないものだった。


 このメールを読んでもらえると嬉しく思う。これは俺の子供の頃の話だ。昔、ゲームをプレイしていたのだが、まあ所謂レトロゲーだった。と言っても当時は最新のゲームだった、そんな頃のことだ。


 その時にプレイしていたのはシューティングゲーム、当時は流行っていたものだ。そのゲームをプレイしていたのだが、途中でなかなかクリア出来ないところに行き当たった。


 難所として有名なところが難しすぎてクリア出来ない。敵の攻撃がいくらでも飛んでくるようなボスに勝てない。しかもその弾がいくらかホーミングしてくるという厄介さだ。


 勝てねーなと思いながら、その日ゲーム機の電源を切ってカセットを抜いた。その時に油性ペンで書かれたと思われる所有者の名前だろうものが書いてあるのに気が付いた。


 その子がどうしてこのゲームを手放したのかは分からない。クリアしてしまったのか、親に怒られて売られたのかは分からない。


 とにかくそのゲームが俺の元へ回ってきたわけだ。まあ前所有者の事情なんて詳しく知ろうとは思えないし、それでいいと思っていた。


 翌日、先日は即死ギミックに引っかかったところを今度は先手を打って通過し、ボスを倒した。


 そこで『代わって』と声がしたような気がする。そこで意識は途切れて気が付くと「THE END」と画面に表示されていた。


 自分の意識が途切れてクリアしてしまっていた。なにが起きたんだろうと思いながらしらけてしまいゲームを終えた。


 どうしてこのゲームを手放したかは今でも若らいのだが、なんとなく先ほどの自分の意識が途切れたところで前の持ち主が俺に変わってクリアしたのかと思った


 そうしてそのゲームを一度クリアすると、次のプレイからはそこで意識が飛ぶようなことはなかった。どうしてそのゲームが手放されたかは分からないが、きっとプレイしたりなかったんだろうなと思った。平和にクリアしてしまうと、後はそのゲームがどうして手放されたのかは考えたくなかった。


 出来ることなら平和的に話し合いでこのゲームを中古ショップに売ったのだと思いたい。


 結局、あのゲームに何があったのかは不明のままだが、自分の意識が残ったまま一度クリアすると、親に頼んでそのゲームを売ってもらった。せっかく買ってやったのにとか言われ、売ったお金は親の懐に入ったのだがそれでいいと思う。あのゲームを売った金を自分で持っているのも嫌な気がしていた。


 結局、何も真相なんて分からないんですが、ゲーム中に意識を飛ばすこと何てあるのだろうか? 良ければ昔のゲームカセットに名前を書かれていたものが珍しくなかったのかも教えて欲しい。


 最後にそう書かれていたので『少なくとも当時は珍しいものではなかったですね。カセット時代のゲームだとすると健康にも心配ないと思われます』と書いて返信しておいた。


 ところでそのゲームが当時人気であり、手放す子がほとんどいなかったのに中古市場に流れて、それが運が良いのか悪いのか、彼の手に渡ったのだろう。なんとも奇妙な偶然だが、前の持ち主にも思うところがあったのかもしれないと思っていた。

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